誰かが質問すると、それについて知識のある人が答えてくれる海外の「Q & Aサイト」を見ていたら、ある人が「本物のすし」を食べたいと思ったらしく、こんな質問を投じた。
「How can I tell if the person making my sushi actually comes from Japan ?」
(寿司を握っている人が、本当に日本から来た人かどうか見分ける方法は?)
これに対し、外国人からはこんな返答が寄せられた。
・値段でわかると思う。中国人、タイ人などアジア人のシェフは通常、かなり安いすしを出すけど、本物の日本人シェフが握るすしはかなり高い。もしすしが安ければ、そのシェフは日本のすし職人ではないだろう。
・日本にいなければ、日本人のすしを食べることはむずかしい。代わりに、ピザか何かを食べた方がいい。しかし、待ってほしい。それはイタリア人が作ったものではないかもしれない。
・なぜシェフの国籍が重要なのでしょうか。
本物のすしを見分ける一番の方法はシンプルであること、つまり、良質な魚と酢飯を使っていることです。店がそれを複雑にしていれば、技術不足を隠している可能性が高いです。
そんな意見の中で、海外経験が豊富で、英語の達人っぽい日本人は次元の違うコメントをした。
・すしを提供されたら、両手を胸の前で合わせて 「いただきます 」と言う。すし職人がそれを見て喜んだら、彼は日本人であるか、日本の文化を知っている人だ。
また、食事の後、職人に少し頭を下げて「ごちそうさま」と言って、同じように頭を下げたら、彼は日本人の料理人である可能性が高い。
「本物のすし」の定義は人それぞれ違うとしても、外国人は一般的に「日本人が握ったすしならホンモノ」と考えているようだ。
15年ほど前にタイを旅行したとき、日本語ガイドと首都バンコクを歩いていたら、こんな店を発見した。
日本から新鮮な魚介類を空輸し、厳しい修行を経て日本のすし職人と同じクオリティーのすしを出す。とことん“本物”にこだわって、タイ国内にある有象無象のすし店とは一線を画すため、日本語で『本物すし』と名付けられたこの店をバンコクで何軒か見た。
ここはタイでも最上位クラスにあるすし店で、日本人が食べても納得&満足できる一品を出していた。ただ、値段もぶっ飛んでいて(当時の日本に当てはめれば、感覚としてはおそらく一度の食事で5万円ほど)、一般のタイ人が行ける店ではなかった。
このとき一緒にいた日本語ガイドはわりと裕福な人だったのだけど、
「日本人のお客さんに連れて行ってもらったことがあります。ここは本当においしいんです! でも、家族を連れて行こうとは思いませんね」
と苦笑いを浮かべた。
それでもこの店のすしは「レベチ」だったから、現地の日本人を中心に金持ちタイ人のあいだで人気が爆発し、店舗を増やしていったらしい。
しかし、好事魔多し。
成功の階段をのぼっていたこの店に、突然、悪夢がやってきた。
2011年に東日本大震災が起こり、巨大津波によって福島の原子力発電所で事故が発生すると、タイでは「日本の魚介類は放射能に汚染されている」というウワサが流れた。こうなると、「ホンモノ」へのこだわりが特大ブーメランになる。
メインターゲットだった富裕層の人たちは健康志向で、そのためにお金を使っていたから、『本物すし』からは一気に離れ、店は壊滅的なダメージを負う。
ガイドはそんなことを話し、店を見ながらこうつぶやいた。
「店舗が次々と閉店に追い込まれています。この店はもうダメかもしれません」
冒頭の「本物のすし」にこだわる外国人の質問を見て、以前ガイドが立てたこの「不幸フラグ」を思い出した。
ネットを見てみると、タイの『本物すし』はデマや風評被害を乗り越え、華麗なる復活を果たして今は良い感じで営業しているようだ。
握っている人の国籍にこだわる必要はないが、日本の「本物のすし」を提供する海外の店は貴重だ。もう、あんな悪夢に襲われることはないだろうから、ガンガンがんばってほしい。
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別に日本人である必要は無いですけど、日本人なら刺身用と加熱調理用の魚は別物扱いが自然と身に付いてますからね。
あと日本人の常識では料理人なら、取り扱う魚付いて正しい知識(捌き方以外にも可食可能な部分や下拵え、保存方法など)を持っていて当たり前ですし。
寿司ポリスと批判されて頓挫しましたが、和食を許可制にというのも単純に生魚を提供すれば良いと怪しい保管の魚や生食に向かないものを提供されて風評被害が起こったら困るからという理由も…。
特に刺身は漁獲から消費者まで生食前提で、正しい下処理や流通過程を経た物じゃないと寄生虫や食中毒の可能性が跳ね上がります。
バラムツ(オイルフィッシュ)みたいに数切れなら問題無くても、大量に食べて人間の尊厳に関わる事態へと追い込まれるケースだって有りますよ。
もう20年以上前のことになりますが、アメリカ各地で、あるいはシンガポールでも、寿司を握っているのは韓国人ばかりでした。
それでも、シンガポールの高級すし店で出る寿司は(値段相応に)とても美味しかったです。客はほとんど日本人のビジネスマンでした。その店の寿司ネタは、全て日本から空輸したものを使っているとのことでした。そりゃ高いはずだと納得。
タイやバングラデシュで聞いたのですが、現地では日本人を対象にした本格的な日本料理店と、庶民を対象にした「ナンチャッテ日本料理店」に二分化されているようfでした。