ヒンドゥー教で最強レベルの女神、ドゥルガーとは?

 

10月12日、コルカタ(旧カルカッタ)に住んでいるインド人が、SNSにこんなお祝いのメッセージを投稿した。

「Now, we Hindus are celebrating our holy Durga Puja」

ヒンドゥー教には戦いの女神ドゥルガーがいて、信者はこの時期に彼女をたたえる「ドゥルガー・プージャ(祭り)」を行っている。
上の派手な建物はドゥルガーが祀られているヒンドゥー寺院で、彼はここへ行った。
ということで、今回はドゥルガーとこの祭りについて紹介しようと思う。

ドゥルガーについての説明は、日本語と英語のウィキペディアでは内容が違っている。海外のものは英語版ウィキペディアのほうが信頼できると思うので、ここでは「Durga」を参考にする。

 

千手観音のように、手が何本もある女神ドゥルガー。
その理由はおそらく、千手観音はすべての人を救うためで、ドゥルガーはすべての悪をほろぼすため。

 

ドゥルガーとは「通ることができない(impassable)」や「無敵(invincible)」を意味する。ヒンドゥー教の神々の中でもこの女神は最強レベルにいるから、道に立ちはだかったら、誰も彼女を倒してその先に進むことはできないということだ。
(長坂橋で仁王立ちして、曹操軍を撃退した張飛みたいな?)
ドゥルガーの伝説で有名なものは、悪魔のマヒシャを倒したというもの。
マヒシャは創造神ブラフマーを喜ばせるために、厳しい苦行を続けていた。するとある日、彼の気持ちに応えるためにブラフマーが現れると、マヒシャは「不死の体」を求めた。しかし、ブラフマーはすべてのものに死は避けられないと断ると、マヒシャは、女だけが自分を殺すことができるようにしてほしいと願い出る。
ブラフマーはその望みをかなえると姿を消した。
「女は無力で弱い。これでもう、自分を倒せる者はこの世に存在しないのだ」とマヒシャは不敵な笑みを浮かべる。
もちろん、これは死亡フラグだ。

 

それにしても、この設定はギリシャ神話のアキレスと似ている。
アキレスはかかと以外は不死身だったが、その唯一の弱点であるかかとを矢で射られて死んだ。悪魔マヒシャにとっての「アキレスのかかと(弱点)」は強い女性だ。

 

悪魔のマヒシャと戦うドゥルガー

 

このあと、マヒシャは罪のない人々を苦しめ始めた。
しかし、彼を止めることは神々(デーヴァ)でも不可能だったから、彼らは、シヴァ・ヴィシュヌ・ブラフマーの三神が融合した「トリムールティ」のもとへ行き、あの悪魔を何とかしてほしいと頼むこむ。すると、トリムールティは多くの腕を持つ女戦士をつくり出した。
彼女がドゥルガーで、神々から破壊力のある武器をいくつも授かり、さらに乗り物としてライオンを与えられて、ドゥルガーはチートレベルに強い神となる。
彼女はマヒシャと戦い、この悪魔が水牛の姿となったときに、シヴァ神の武器である三叉で突き刺して倒した。

この女神が悪の化身であるマヒシャを倒したことを祝って、毎年10月ごろに行われるのがドゥルガープージャ(祭り)。
冒頭のお祝いのメッセージをしたインド人によれば、この勝利を喜び、ドゥルガーに敬意や称賛を捧げることで彼女の加護を得ることができる。

 

 

インド 目次 ③

外国人から見た不思議の国・日本 「目次」

カーストと平等 ヒンドゥー教とイスラム教の“決定的な違い”

インド人とバングラデシュ人が見た日本:治安と秩序が違う!

バングラデシュ人の清水寺・金閣寺・伏見稲荷大社の感想は?

イギリスの植民地支配、インド人が話す「闇=光」のワケ

 

コメントを残す

ABOUTこの記事をかいた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。