ルワンダ人の「日本体験」 印象的なこと・価値観の変化

 

面積は日本の約14分の1(北海道の3分の1ほど)、人口は1380万人でおよそ10分の1。経済力は133億ドル(2022年)だから、日本(4兆2609億ドル)の約320分の1になる。
東アフリカにあるルワンダってそんな国。
ただし、経済成長率で見ると日本の1.0%に対し、ルワンダは8.2%(2022年)だから、ルワンダはいま昇龍拳のように発展していて、日本経済は世界的に見ると低迷している。日本の大学に留学していて4年目になる知人のルワンダ人が、もうすぐ卒業して母国に戻る予定だから、先週末に彼と会って話をしたので、これから彼の日本体験について書いていこう。
彼は日本に住んで、「発達」の概念が変わったらしい。

 

 

ーー日本に来て、印象に感じたことは何かある?

工事現場に人が少ないこと。

ーーは?

たとえばセメントや砂をバケツに入れて、人が並んでそれを手渡しで運んでいくから、工事現場にはいつもたくさんの人がいてにぎやかなんだよ。
日本の工事現場は人が少ないし静かだから、すごく違和感を感じた。

ーールワンダは人海戦術か。
日本でそういうバケツリレーは、直近で戦時中のドラマの火災現場で見た気がする。

そういうやり方にはメリット・デメリットがある。
知識や技術のない人でもできるから失業対策になるけれど、効率は悪いから工事にすごく時間がかかるし、建物の質も悪くて壊れやすい。
ルワンダは貧しい国だから仕方ないんだ。

 

ーー日本に住んでいて、「良いな」と思ったことは?

それはたくさんある。いちばん良いことは社会の安定感だね。
この4年間で、一度も電気や水が止まったことがない! 日本人にとっては当たり前のことでも、私にとっては奇跡のようなすごいことなんだ。

ーーインド人もそんなことを言ってた。そういう外国人の話を聞くと、何でもないようなことが幸せだったと気づかされるよ。インフラストラクチャーの充実ぶりは、日本とルワンダの最大の違いなんだろうな。

それに日本はサービスもいい。
今朝、家を出るとき、ポストに郵便物が届いていた。
ルワンダにはZIPコード(郵便番号)がないから、手紙などは自宅まで持ってきてくれないんだ。

ーー郵便番号のない世界か。ちょっと想像できないな。じゃ、どうやって手紙なんかを受け取るの?

郵便物が届いたことを知らせるメールがくるから、指定された郵便局へ取りに行かないといけない。

ーーそ、それは面倒くさい…。
日本に住んでいたアメリカ人は再配達してくれることに感動していた。日本の郵便は地味に神サービスなのかな。

*日本で郵便番号の制度が導入されたのは1968年(昭和43年)。それ以前の日本でも、郵便物は自宅まで届けられていたと思うけれど…。

 

――日本に住んでいて、いろんな影響を受けて価値観や考え方が変わったことはある?

「発展」に対する考え方が変わった。
ルワンダは貧しい国だけど、いま社会はどんどん変化している。日本に来る前は、最新のアイフォンや車を持つことが「発展」と考えていたけど、日本に住んでいてその考え方は間違っていたと気がついた。本当の意味の発展とは、どんな国民も安心して生活できる安定した社会を築くことにある。
これはアフリカにいたころは見えなくて、日本に住んでみて初めて分かったことなんだ。

ーー最近の日本の経済はドイツに抜かれて世界4位になったとか、年収で韓国に抜かれたとか、暗いニュースが多くて、ネットでは「もう終わりだ猫の国」って誤変換がはやるほどだったけど、底力はすごいのかな。
日本の良さを再発見した気がする。今回は貴重なお話をありがとう。

こちらこそ、ムラコゼ・チャーネ。

*「Murakoze Cyane」はルワンダ語で「ありがとうございます」の意味。

 

 

アフリカ 「目次」 ①

アフリカ 「目次」 ②

日本にいるルワンダ人の話 有名なもの・治安・驚いたこと

【最高峰】タンザニア人が比べた、キリマンジャロと富士山

アフリカ人と日本人の宗教観 神社で「恐怖」を感じたわけ

【白人の責務】アフリカ・中東で直線の国境が多い悲しい理由

 

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ABOUTこの記事をかいた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。