友人のイギリス人(40代・女性)は千葉と静岡県に住んでいたことがあって、今は帰国してロンドンからおよそ80キロ離れた剣橋に住んでいる。
世界トップレベルの大学で有名なケンブリッジ市は、漢字で表現すると「剣橋」となるのだ。
最近、そんなイギリス人と話をしたので、今回はその内容をお届けしよう。
ーーこんにちは。
最近の日本はおかしくて、11月中旬なのに気温は23度を超えて、半袖で歩いている人もいる。イギリスはどんな感じ?
えっと、今は朝11時で気温は10度。
ーー日本ならそれはもう冬だな。
千葉や静岡に比べたら、ケンブリッジは一年を通して涼しくて、夏と冬の気温の差も小さいから過ごしやすいの。日本の蒸し暑さは、汗がたくさん出て気持ち悪かったし、控えめに言っても地獄だった。
ーーそれはヨーロッパ人あるあるだ。
リトアニア人は「巨大なサウナの中で生活しているみたいだ」と言っていたし、アルプスから北のヨーロッパ人にとっては、日本の夏は毎日拷問を受けているような気分だと思う。
それに、日本の夏は長い!
イギリスにいたころは冬の寒さが嫌いで、短い夏を楽しみにしていたけど、日本に来てから、それが逆転した。日差しも強烈だし、夏が大嫌いになった。
ーー日本に住んでいて、夏の概念が変わったんだ。
知人のドイツ人も日本の夏には全面降伏をした。8月に彼と京都旅行をしていたとき、清水寺まで歩いて向かっている途中で、あと5分ぐらいで清水寺に着くというところで、「もうダメ。清水寺はユーチューブで見る」と言って近くの喫茶店に入ってしまった。
そのドイツ人としては「命を守る行動」だったかもしれないけれど、ちょっと信じられないね。
その点、アジア人は強い。
ベトナム人や台湾人と8月に京都旅行をしたとき、彼らには蒸し暑さへの耐性があったから、笑顔を絶やさず観光を楽しんでいた。
8月の京都・嵐山のモンキーパークにいた白人女性
ーー日本に住んでいたころ、いろんな場所へ行ったと思うけど、良かったところってある?
長野がとても気に入った。
ーー長野といっても広いけど、具体的にどこ? 上高地とか?
長野は夏でもわりと涼しくて乾燥していたから、長野県ならどこでもいい。私はクーラーが嫌いだから、長野では、夜にクーラーを使わないで過ごせたのはすごく良かった。イギリス人の夫もすごく快適で景色も良いから、長野のファンになったと言っていた。あと、同じ理由で北海道も良かった。
ーーつまり、避暑をしたかったと。長野や北海道が良かったというよりは、日本の夏は熱地獄だから、そこから逃れたかった。
そういえば、避暑って英語で何ていうの? ネット翻訳では「Summer escape」と出てくるけど。
それでも分かるけど、私なら「Escape the summer heat」って言うかな。
ーー長野県では観光地に行かなかったの?
松本城は見たし、高山の旧市街にも足を運んだ。でも、私にとって旅行の目的は名所めぐりじゃなくて、リラックスすることにあるの。落ち着いた環境で本を読んだりして、まったりゆっくり過ごすことが好きだから、快適な長野県は最高だった。
ーー静岡や千葉に比べたら、長野の夏はイギリスに近い。
それに、それはヨーロッパ人らしい過ごし方だと思う。ドイツと京都を旅行したときは、彼にいろんな神社やお寺を見せてあげたくて、きついスケジュールを組んでしまったと反省した。
ヨーロッパ人は夏の日本(特に京都)を歩くだけで、ヒットポイントがなくなるから、回復のためのリフレッシュ休憩をとればよかった。
それは日本人らしい発想だと思う。日本人の友だちが鎌倉を案内してくれたとき、彼女も事前にしっかり計画して、効率よくたくさんの場所に連れて行ってくれた。でも、正直言えば、数を減らして、もう少し余裕をもってゆっくり回りたかった。
ーー日本人は1日でたくさんの名所を見て回る「詰め合わせツアー」が好きだけど、ヨーロッパ人の場合は、一つ一つの場所に滞在する時間を長くとって、のんびり過ごしたい人が多い気がする。
友人のアメリカ人は、日本の旅行会社が提供する海外ツアーの中で、「名所をバスの窓から眺める」というのがあって、理解できなかったと言っていた。
日本人ならそれを見て、写真を撮って満足する人が多いかもしれないけど、ヨーロッパ人は価値観が違うから、「それなら、プロが撮ったきれいな写真を見たほうがいい」と思う人が多いと思う。
ーーですよね〜。
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