実はスパイ? インド・中国西域を調査した大谷探検隊

 

現在の日本人が「オオタニ」と聞けば、ほとんどの人が野球界の世界的スターを思い浮かべるはずだ。でも、今回は別の大谷さんを紹介させてほしい。20世紀のはじめ、探検家で僧侶でもある大谷 光瑞(こうずい)をトップとした大谷探検隊が存在したことを、日本人としてぜひ知ってほしい。

彼は1903年(明治36年)1月14日、仏典に記されてはいたものの実際の場所がわからなかった霊鷲山(りょうじゅざん)をインドで発見した。霊鷲山は、釈迦が『法華経』を説いたとされる山で、仏教の世界ではかなり有名なところ。
それを発見した大谷は、ギリシャ神話に登場する伝説の都市「トロイア」の遺跡を発掘したドイツの考古学者シュリーマンに匹敵すると、個人的に思っている。
大谷探検隊はその後、シルクロードで貴重な文化財をいくつも発見し、シルクロード研究において重要な業績を残した。

 

大谷探検隊がシルクロードで撮影したキジル石窟

 

英語版ウィキペディア(Ōtani Kōzui)を見ると、面白いことが書いてある。

「British and Russian intelligence both suspected that his archaeological expeditions were little more than covers for espionage activities.」

大谷探検隊が活動していたのは、日露戦争から第一次世界大戦が始まるころだったこともあり、イギリスとロシアの諜報機関は、彼らは考古学的探検に見せかけて、実はスパイ活動(espionage activities)をしていたのだろうと疑っていたという。
もちろん、そんなことはなかった。大谷光瑞は探検家で浄土真宗のお坊さんでもあり、仏教伝来の調査という宗教的な目的で探検を行っていたのだ。もしスパイ説が本当だったら、『SPY×FAMILY』の大谷が登場し、どこかでアーニャと絡んでいたかもしれない。

*ウィキペディアにはその記述はないが、大谷をスパイとして扱っているサイトもあるから、その可能性はゼロでないかも。

ということで、今年もドジャースの「オオタニ」の話題が世間を占めるだろうけど、インドで霊鷲山を発見した大谷探検隊のこと、時々でいいから思い出してください。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。