スウェーデンできのう1月30日、ある男性が殺害される事件が発生。
これだけなら、世界中で起こる不幸な出来事の一つとして、第三者は「R.I.P.」(お悔やみ申し上げます:rest in peace)とつぶやいて終わる出来事だ。
しかし、彼は“ただ者”ではなかった。
2023年に、2023年、イスラム教への抗議としてコーランに火をつけた人物だったので、米CNNなどが報じる世界的なニュースとなる。(January 30, 2025)
Man who staged Quran burning protests in Sweden shot dead, authorities say
*「クルアーン」はアラビア語で、イスラム圏ではそう呼ばれている。でも、日本では英語の「コーラン」の方が知られているので、以下、その呼称を使うことにする。
まだ犯人は特定されていないが、イスラム教徒以外の人が犯人だとは考えにくい。イスラム教の信仰の篤い国では、イスラム教を冒とくした罪はとても重く、コーランを燃やした人物に死刑判決が言い渡されることもある。
さて、ここからは日本の話。
海外に比べると、日本では信仰心が薄く、宗教に関心がない人が多いから、宗教をめぐって争いが起きることはほとんどない。
たとえばインドではイスラム教徒とヒンドゥー教徒の対立がよくあるが、日本に住んでいるインド人の知り合いは「日本は宗教に対して寛容だから、安心して生活できる」と喜んでいた。
しかし、だからこそ日本では、宗教に対する知識があまり無い人が多く、無知が罪を生むこともある。
2001年に富山県で、ある日本人女性がコーランを破り捨て、イスラム教徒を激怒させた。
その結果、東京、大阪、愛知などから数百人のムスリムが富山に集まり、抗議集会が開かれ、パキスタン大使館は犯人の逮捕を求めた。この騒動は海外にも広がり、当時の小泉純一郎首相は国会でこう言った。
「富山県におけるコーランの破損事件において、イスラム教を信仰する人々の感情が大きく傷つけられたことは誠に残念なことであり、深い同情の念を有するものである。」
くわしいことはこの記事をどうぞ。
その後、日本に住むイスラム教徒の数は増え続け、モスク(イスラム礼拝所)の数も 1999年には 15カ所しかなかったのに、2021年には 113カ所に増えたという調査結果もある。
この流れとともに、日本でもイスラム教への理解が進み、もはや公の場でイスラム教を侮辱することをする日本人はいなくなった…と思っていた時期が俺にもありました。しかし、2017年に有名ユーチューバーがコーランを燃やす企画を行ったから、これには驚いた。
その動画の内容は本当にむごい。
画面には、「コーランを燃やしてみた!」という日本語のタイトルと「Let’s burn the Quran」の英語、さらにはアラビア語のタイトルも表示されていた。
コーランが登場すると、それがポンと投げ捨てられ、バーナーを使ってコーランを燃やすシーンが映し出される。動画からは「うおおー」「マジでマジで」と驚く声や笑い声が聞こえて、画面には「よい子はマネしないでね♥」というテロップも流れていた。
ユーチューバーはアクセスが収益に直結するから、目立って注目を浴びないといけない。常識の範囲内でそんな動画を作成できる能力とスキルの高い人は例外的だから、ギリギリの線を攻めて炎上覚悟で動画を作って公開するユーチューバーは本当に多い。
しかし、コーランを燃やす行為はイスラム教徒への挑発で、国によっては犯罪とみなされる。有名なユーチューバーなら、動画を公開する前に、どんな影響が出るのかよく考えるはずなのに、平気で公開したことに驚いた。
しかし、実は、これはよくできた偽造動画だったことが判明。
このユーチューバーには高い知名度と収入があったから、それにシットした何者かが嫌がらせでこんな動画を公開したらしい。
これは明らかにやり過ぎだ。動画が海外にまで拡散されたことで、この有名ユーチューバーは殺害予告までうけた。
ニセ動画だったしても、イスラム教やコーランを軽視する発想はまだ日本にあるらしい。
スウェーデンで起きた悲劇が日本でも起こるかもしれない。
ところが、この動画は実は偽造動画だったことが後に判明した。このユーチューバーは高い知名度と収入があったため、何者かが嫌がらせとしてこのような動画を作ったらしい。動画が海外にまで拡散され、ユーチューバーは殺害予告を受けた。
この一件からは、ニセ動画だったとはいえ、イスラム教やコーランを軽視する考えが日本にもまだ存在していることが分かる。もうそんな風潮を無くさないと、スウェーデンで起きたような悲劇が日本でも起こりかねない。
自殺に“冷たい”日本社会:インドネシア人が感激/失望したこと
日本の多様性 LGBT法案に在日イスラム教徒が不安になるわけ
コメントを残す