ドイツ観光で日本人に人気のルートに、数百年前の街並みや古城、さらにアルプスの自然などを楽しめる「メルヘン街道」がある。ことし2025年は、ドイツ・メルヘン街道ができてちょうど50周年だ。
ドイツに行ったことがないボクでも、この有名な道の名前だけは知っていた。友人のドイツ人は街道の終点であるブレーメンに住んでいたから、メルヘン街道について質問すると、「それは何?」と逆質問され、予想外の展開にとまどったことがある。
最近、日本に住んでいた経験のある彼と話をした。
ーー昨日の夜は何を食べた? 「夕食」というボケはなしで。
「中国料理を食べたい」って言う友だちがいたから、彼と中国料理店へ行って、私はチャーハンと春巻きを食べた。春巻きはドイツでも人気で、スーパーでもよく売っている。
ーー春巻きはドイツ語で何て言うの?
そのままだよ。
Frühling(春)と Rolle(巻いたもの)をくっつけて「Frühlingsrolle」(フリューリングスロレ)と言う。
ーー春巻きはドイツでも人気ということだったけど、ベトナムの生春巻きは?
え? 生の春巻きなんてあるの? そんなの見たことない。
ーーそっか。油で揚げる春巻き(スプリングロール)がすでに有名で、生春巻きは後から登場したから、欧米の一部では「サマーロール」と呼ばれると聞いたのだけど。
それは初耳だ。私だったら、生の春巻きなんて食べたいと思わないな。
*「サマーロール(夏巻き)」という名前は、アメリカでベトナム系アメリカ人のレストランで、マーケティングしやすいように、「春」に対応する形で作られて広まったものだった。(Gỏi cuốn)
ーー前にスウェーデン人からこんな話を聞いた。彼は日本に住んでいて、旅行で中国に行ったことがある。三カ国で食べ比べた結果、スウェーデンの中国料理が一番おいしいという結論に達した。彼には、スウェーデン化した中国料理が舌に合っていたらしい。
日本にある中国料理店も日本人に合わせているから、「コレジャナイ」と不満を言う中国人は多い。
そこでクエスチョン。ドイツと日本の中国料理ではどっちがおいしい?
いや、特に違いを意識したことはない。私にはどっちもおいしい。間違いなく言えることは、日本でソーセージを食べて「コレジャナイ」と思った。
*ラーメンや焼き餃子など、日本人に合わせて考案された中国式料理を「中華料理」、本場中国にある料理を「中国料理」と呼ぶことがある。ただ、「ガチ中華」という言葉もあって、この辺の言葉の使い分けはハッキリしていない気がする。
天津には無い天津飯はリッパな中華料理
ところで、私からも質問がある。春巻きは日本料理? それともあれは中国か韓国料理?
ーーうん? 中国料理店で食べたんだから、中国料理の一択しかないのでは?
いや、ドイツの中国料理店には中国料理だけじゃなくて、日本、韓国、ベトナム料理もあるから、どれがどの国の食べ物かわからない。私は日本でたくさん春巻きを見たから、日本料理かなと思ったんだ。
ーーそういうことか。春巻きは中国料理で間違いない。
【Spring roll】邪気払いで、春の植物を食べるから「春巻き」
海外のレストランでは「あるある」だ。中国料理店や韓国料理店という看板を出していても、利益を最優先にするから、ボーダーレスで売れるものをメニューに取り入れる。
普通のドイツ人は安くておいしかったら何でもよくて、料理の国籍なんて気にしない。私は日本に関心があるから、知りたいと思った。
ーー「料理は味と値段が正義」という考え方は世界共通だからね。
その話で、あるアメリカ人を思い出した。彼女は日本に住むようになってから、トンカツが韓国料理じゃなくて、日本の食べ物と知ったと言っていた。彼女の地元の韓国料理店のメニューにトンカツがあったから、ずっとそれを韓国料理と思っていたらしい。
それはよく分かる。
ーーまあ、日本人もイタリア料理店のメニューにさりげなく、マイナーなフランスやドイツ料理がまぎれていても気づかないし、それと同じか。
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