【日中逆転】“冥土インチャイナ”も今は昔 日本を追い越す中国メーカー

ボクが初めて中国に行ったのは1990年代で、旅行中に何度も感じたことは「安かろう、悪かろう」だった。意味のない買い物を何度もさせられた。
たとえば爪切り。商店で爪切りを買って、宿に戻ってから爪を切ろうとしたら、刃は爪に食い込むだけで、切断することができなかった。よく見ると、爪切りを上下から押しても刃がくっつかず、途中に空間ができているから、これでは爪を切れるわけがない。「ふざけんな」と別の部分がキレて捨ててしまった。
ほかにも、友人に頼まれた印鑑を専門店で買ってビニール袋に入れてもらい、それを持って宿まで歩いて帰る途中で、ビニール袋が破れて印鑑が地面に落ちた。しかも、その衝撃で箱が壊れて、閉じることができなくなってしまった。「どうせダメなんだろうな」とあきらめモードで店に戻ったら、やっぱり何の補償もなく、箱を買い直さないといけなくなった。
こんなガッカリ経験をガッツリした。

 

しかし、それも今は昔の話で、その後の中国社会の変化はすさまじい。
昇竜拳の勢いで経済は成長していき、たくさんの中国人が日本へ旅行にやってくるようになって、2015年には「爆買い」が流行語大賞に選ばれた。
当時、中国人観光客に人気が爆発していたアイテムのひとつが炊飯器。収入が増えると、消費者はより高いレベルの生活を求めるようになり、中国ではおいしいお米を食べたい人が激増した。中国製の炊飯器は、ただお米に熱を加えて炊くだけの単純なものであったが、「メイド・イン・ジャパン」は違った。コンピューターチップを搭載した高機能な炊飯器は、ご飯を炊く際に加熱方式や温度を自動で調整し、米のうまみや食感、香りなどが最も良い状態になるようにコントロールしてくれる。だから同じ米でも、中国製の炊飯器とは味もつやも違った。

炊飯器を1人で数台買う中国人も珍しくなく、日本の空港には「最後のダメ押し」として炊飯器を並べる免税店もあった。
*トップ画像はたしか中部セントレア空港のもの。
電気ポットも、倒れても中身が出ないように作られており、自国製品との違いを感じる中国人も多かった。
このころの中国製品、特に電化製品や充電ケーブルなどの質は劣悪で、爆発したり火が出て家事になったりする事故が多発していたから、日本のネットでは「冥土インチャイナ」と揶揄する人もいた。
中国人が中国製品を信頼していないこともあって、高品質な日本製品は熱烈に支持された。

 

「一个」は「1個、1つ」の意味だから、「真実はただひとつしかない!」ということか。

 

最近、充電ケーブルが壊れて使えなくなったから、新しく購入する必要が出てきた。でアマゾンを見ると、充電ケーブルが洪水のようにあふれていて、どれを選べばいいのか分からなくなった。でも、真実はただひとつしかないと、中国製品だけは買わないと決めていた。
昨年、「◯◯認証済み」というお墨付きがあり、元値約1万円のものが半額以下で売られていたから、中国製という点に不安を感じつつも冷風機を買った。届いた品はジャンク品で、何の役にも立たなかったから、怒りの高速返品をして日本製品に買い替えた。値段は高くても、やっぱりこれが正解だった。

そんな経験がほかにもあったので、充電ケーブルは「アンカー」製のものを買うことにした。だからその後、たまたまネットで「Anker」が実は中国の会社だと知って絶句した。
そのことに驚いた日本人は多いらしく、ネットでは「Ankerって中国製だったんですか!?!?!?」と驚いて質問する人がいたし、「9割の人が間違っている」と題するサイトもあった。
しかし、モバイルバッテリーで信頼できるメーカーを紹介するサイトでは、アンカーが日本のエレコムやサンワダイレクトと同じ扱いを受けている。個人的に、以前からアンカーの評判を聞いていたから、その性能や質が高いことは間違いない。

「中国製品=地雷」という認識は時代遅れだ。
インド人やトルコ人などと富士山を見に行ったとき、「どのスマホが一番キレイに撮れたか?」大会を開催したところ、アイフォンや日本製、韓国製ではなく、中国製スマホの写真をナンバーワンに選んだ外国人が多かった。

今でも日本製品は高品質&高性能で、世界的にも高い信頼性がある。しかし、中国メーカーも技術力を向上させ、製品の質はどんどん高まっている。全体的、客観的に見れば、残念ながら日本メーカーは中国に押されているのが現状だ。
朝日新聞の記事によると、少なくとも日本メーカーは5年ほど前には、家電や車などで中国メーカーに追い越されていたらしい。(2021年12月20日)

中国に負けじと日本政府も国内メーカーの支援に乗り出すが、「メイド・イン・ジャパン」の復活は簡単ではない。

「安かろう悪かろう」だった中国製 いつの間に日本は席巻されたのか

 

もう、中国製品を「冥土インチャイナ」とバカにすることはできない、と思うのはまだ早い。アンカーやファーウェイなどの有名なメーカーなら問題ないと思うが、まだまだ地雷もたくさんあって、中国メーカーは「玉石混交」の状態にある。だから、自分の選択能力を高めることが大切になる。

 

 

中国 「目次」 ②

中国 「目次」 ③

ルール厳守に正直さ 中国人が日本人を信頼するポイント

日本と中国の歴史の違い 「唐王朝を見たかったら京都へ行け」

中国との違い③日本人の強み「変える力」唐の着物を日本の文化

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメント一覧 (2件)

  • > アンカーが日本のエレコムやサンワダイレクトと同じ扱いを受けている。

    何を言ってんだか。
    エレコムやサンワサプライの製品だって、どれをとっても「原料・部品の最初から最後まで100%日本製」なんてものは、ひとつもありませんよ。
    たとえば最近の「トランプ関税」で有名になった話ですが、Apple社はiPhoneを設計しているけれども、自社工場を一つも持っていません(これを「ファブレスメーカー」と言います)。その多くは実は中国工場産製品(もしくは完成品直前まで中国で作ってから部品として輸入して、米国内でシールを貼って米国製にするとか)なのです。ですので、もしもトランプ大統領が当初指示していたように145%もの関税を中国からの輸入品に課すと、iPhoneの価格は1台で\50万~\60万にもなってしまうのだとか。さすがにそれじゃあ米国民も怒るでしょう。
    メイド喫茶インジャパンか冥途インチャイナかの違いは、もはや、本社がどの国に所属しているかの違いに過ぎません。

  • これは部品メーカーではなく、製品を販売しているブランドの話です。もし、本社の位置が違うだけなら、朝日新聞の記事は成立しません。

コメントする

目次