「世界で最も解決が困難な外交問題」と数十年前から言われ続け、状況は好転するどころか、むしろ破滅に向かっているのがパレスチナ問題。
2024年10月、パレスチナのイスラム組織ハマスがイスラエルに奇襲攻撃を仕掛け、1000人以上の市民を殺害し、200人以上を拉致した。これが「終わりの始まり」になる。
これに対して、イスラエルが「極めて遺憾である」と抗議して済ますわけはなく、ハマスの拠点があるガザ地区に大規模な報復攻撃を開始した。イスラエルに自衛権があるのは当然だが、彼らはやり過ぎる。ガザ地区の保健当局は現在までに、一般人を中心に5万人以上が死亡したと発表した(2023年パレスチナ・イスラエル戦争)。
ガザ地区はすでに壊滅状態になったが、イスラエル軍の攻撃は続き、死傷者は増え続けている。
SNSを見ていると、知り合いのインドネシア人、バングラデシュ人、トルコ人、インド人などのイスラム教徒がこの問題を取り上げて、「ガザは世界最大の墓地だ」と嘆く人がいれば、次のようにイスラエルを憎悪する人もいる。
「I want to see the ruins of Israel with my own eyes. May Allah grant me this good fortune.」
(イスラエルが滅亡するのをこの目で見たい。アッラーがこの幸運を私に与えてくださいますように。)
ほかにも「ヒトラー、おまえの仕事は不完全だった」と、恐ろしいことを言う人もいた。これは600万人のユダヤ人が虐殺されたホロコーストを指している。ヒトラーはユダヤ人をこの世から絶滅させるべきだったと、彼は主張しているのだ。
これはヘイトスピーチにあたると思うが、SNSがこうした差別発言を特に規制していないのが不思議。
イスラム教徒たちが怒りを向ける対象はイスラエルだけでなく、どんどん広がっている。
「Shame on all Arab nations. Shame on Arab leaders for abandoning your brothers in Palestine.」
(すべてのアラブ諸国は恥を知れ。パレスチナの兄弟を見捨てたアラブの指導者たちは恥じるべきだ。)
「The international community is silently watching the worst ever atrocities and genocidal crimes in Gaza.」
(国際社会は、ガザで行われている史上最悪の残虐行為と大量虐殺犯罪を黙って見ている。)
最近見たニュースによれば、モルディブがガザでの「ジェノサイド」に抗議してイスラエル人の入国を禁止した。
73年のきょう4月16日、マサダの要塞に立てこもってローマ帝国軍と戦ったユダヤ人が集団自決し、ユダヤ戦争が終結した。このユダヤ戦争に負けた結果、ユダヤ人は祖国を失い、虐殺されるか奴隷にされるか、遠くに追放されて苦難の生活が始まった。
*マサダ要塞にいたユダヤ人が自決したか、それともローマ帝国軍に殺害されたかは不明。
日本では弥生人が森でドングリを拾っていたころ、中東ではこんな悲劇が起きていたのだ。
そして約2000年後、イスラエルは再びパレスチナの地に戻ってきてイスラエルを建国した。
現代のイスラエルではマサダを「民族的な聖地」と見なすことがあり、イスラエル国防軍の軍人たちはマサダに登り、頂上で宣誓式を行い、「マサダは二度と陥落しない!」と誓う。
イスラエル人からまた滅亡するよりは、イスラム教徒を激怒させ、世界中から嫌われても生き続けることを選ぶのだろう。だから、パレスチナ問題は最も解決困難な外交問題のままでいる。
*「ココ」をクリックするとマサダの動画にとぶ。
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