前回、ヨルダン旅行で行った死海の話を書いた。
塩分濃度が高い死海では、体が浮いてしまう。
すると、「海に浮かびながら新聞を読む」という日本では考えられない体験をすることができる。
これがその写真。
死海の話をかいたついでに、世界的に有名な「死海文書(しかいもんじょ)」のことも書いておきたい。
しかい‐もんじょ【死海文書】
《「しかいぶんしょ」とも》1947年以来、死海西岸の遺跡クムランとその付近で発見された、ヘブライ語およびアラム語の文書の総称。
その多くはユダヤ教の一派クムラン教団に関係ある写本類で、旧約聖書のほか同教団の諸規則を含み、イエス時代のユダヤ教を知る貴重な資料とされる。死海写本。クムラン文書。
デジタル大辞泉の解説
死海文書の発見が、世界にあたえた衝撃(しょうげき)はすさまじい。
「20世紀最大の発見」とよばれることもあった。
死海写本は,《イザヤ書》《ハバクク書註解》などを含み,20世紀最大の発見とさえいわれた。
世界大百科事典内の死海写本の言及
死海は、ヨルダンとイスラエルの国境にある。
下の地図に死海はのっていいないけど、「死海はヨルダンとイスラエルのあいだにあるんだなあ」ということぐらいを確認すればじゅうぶん。
ふつうの日本人にしてみたら、死海の正確な位置を知ることより日本と中東の大きさを知ることのほうが大切だと思う。
世界には、宗教や歴史とは関係がない分野もある。
そうした分野からしたら、死海文書は「20世紀最大の発見」というほどの価値はない。
だから今では、死海文書の発見は「二十世紀最大の考古学的発見」といわれている。
ウィキペディアには、「死海文書の意義」としてこうかいてある。
死海文書の発見によって聖書テキストが、時代を経てどれほど変遷しているかを確認することができるようになった。
死海文書が発見された時の様子を再現したもの(ウィキペディア)
まずは、死海文書を見つけたベドウィンという人たちを確認しておこう。
ベドウィン(Bedouin)
アラビア半島を中心に中近東・北アフリカの砂漠や半砂漠に住むアラブ系遊牧民。ラクダを中心として羊・山羊(やぎ)を飼育する。
デジタル大辞泉の解説
彼らはベドウィンではない。
でも、イメージとしてはこんな感じの人たち。
1946年ごろ、イスラエルで羊飼いのベドウィンが洞窟(どうくつ)のなかでつぼに入った古い巻物を見つける。
このとき、ベドウィンは気づいていなかったはず。
自分が20世紀最大の発見をしたことを。
その巻物の価値がわかる人間だったら、その場で気絶していたかもしれない。
ベドウィンたちは、四つの写本(巻物)をベツレヘムで古物商をしていた「カンドー」という人物に持ちこんだ。
カンドーはベドウィンから手に入れた四つの写本を、シリア正教会の大主教だったアタナシウスに見せる。
エジプトのシナイ半島にもベドウィンがいる。
彼らは、じつはヨーロッパ人(ルーマニア人)なんだけどね。
アタナシウスは、四つの写本を24パレスチナポンド(現在の価値で約100ドル)で買い取った。
アタナシウスはこの写本をもってアメリカにわたった。
そして、写本を買い取ってくれるところがないか、アメリカ各地をたずねてまわる。
でも、どこからもことわられてしまう。
そこでアタナシウスは、別の手を考える。
1954年に、アメリカの有名メディア「ウォール・ストリート・ジャーナル」に「この写本を売ります」という広告を出した。
そしてついに、写本を買ってくれる人を見つけ、25万ドル(現在の価値で200万ドル以上)で売ることができた。
こうしてアタナシウスは、1万円で買ったものを2億円で売ることに成功する。
ここまでの流れは、かなり大ざっぱに書いている。
くわしいことは本かネットで調べてください。
1万円で仕入れて2億円で売った。
これは世界の歴史に残るようなできごとだから、ふつうの人には縁のないはなし。
でも、この逆なら聞いたことがある。
海外旅行で買った物を日本で売ろうとしたらら、「これ、ゴミみたいなもんだぞ」といわれた人に会ったことがある。
その人は、タイの宝石商から30万円で宝石を購入した。
「その宝石は、日本で売ったら150万円はしますよ」
宝石商はそんなことを言ったらしい。
ここでなにもツッコまないでほしい。
彼の名誉のために。
次にすすもう。
その人は日本に戻ってから、宝石の価値がわかる知り合いに見てもらった。
すると、その知り合いはあきれてこう言いう。
「おまえ、これニセモノだよ。ゴミみたいなもんだぞ。1000円で買ってくれるところがあるかなあ?」
この話をしてくれた旅行者は、今でもこの「ゴミ」を大切に持っていると言っていた。
もう二度と、おなじあやまちをくり返さないために。
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