今はセントレア空港にいる。
大連(中国)行きの飛行機のチケットは手に入れた。
けど、出発にはまだ時間がある。
ということで、おにぎりを食べることに決定。
空港にあるローソンでおにぎりを選んでいると、同じくおにぎりにを買いに来たアメリカ人と出会う。
彼は日本に住んでいて、今は民間企業で働いているらしい。
前に日本の中学校や高校で英語を教えていた経験もある。
そのアメリカ人とおにぎりを食べながら、日本の食文化(米やおにぎり)の話をしていた。
ここは海外の空港。
でもこんな感じのところで、そのアメリカ人と話をした。
「日本の文化に興味がある」と彼が言うので、ボクが今食べているお米の話をする。
「イネはもともと、中国の南部で生まれたんだ。日本には縄文時代に伝わった。それで2000年ぐらい前には、日本各地で米がつくられるようになったと言われている」
と、ボクが話すと「へえ、そうなんだ」と彼が言う。
この後、彼から日本の食文化について学ぶことになった。
「なあ、なんでおにぎりが三角の形をしていると思う?」
おにぎりが三角形である理由?
知らん。
そんなことを考えたこともなかった。
単純に考えたら、丸くにぎったほうが簡単にできる。
おにぎりの三角には意味があるのか?
「それはな、日本の神道の影響だよ。三角は山の形をあらわしている。神道の考えでは、山には神がいて山自体が神聖なるものだろ?それで米を山とおなじ三角の形にする。それを食べることで、そのパワーを身体に入れることができると考えたんだ」
「あ、ああ、そうなんだ」
マジかよ。
そんなこと初耳だ。
まさかセントレア空港で、アメリカ人からおにぎりについて教わるとは思わなかった。
世の中、なにが起こるかわからない。
だからおもしろいし、生きる価値がある(←やや大げさ)。
後から調べたら、「日本おにぎり協会」のホームページにこう書いてあった。
神の力を授かるために米を、山型(神の形)にかたどって食べたものが「おむすび」。
「おにぎり」は「にぎりめし」の転じたものと言われています。つまり「おむすび」は三角形でないといけなくて、「おにぎり」はどんな形でも良いというの説が濃厚です。
アメリカ人が話したこととほとんど同じ。
アメリカ人にとっては、パンケーキが身近な食べ物。
たぶん、日本人にとってのおにぎりと同じような感覚だと思う。
「それとな、日本で初めての給食はおにぎりなんだぜ?知ってた?」
そんなん知らんわ。
それを知っている日本人なんて、どのぐらいいるんだ?
調べてみたら、これもあっている。
明治22年に日本初となる給食が提供されていて、そのときのメニューが「おにぎり、塩鮭、菜の漬物」だった。
山形県鶴岡町の私立忠愛小学校で貧困児童を対象に無料で学校給食を実施する。これが我が国の学校給食の起源とされる。
おにぎりは保存に適しているし、「給食にはもってこい」というメニューだったのかもしれない。
「ひょっとしたら?」と思って日本初の駅弁を調べてみたら、これも同じ。
おにぎりがあった。
商品としてのおにぎり第1号は、1885年に現在の東北本線の宇都宮駅で販売された駅弁です。梅干し入りのおにぎりにゴマをふったものでした。
この1885年(明治18年)は、伊藤博文が内閣総理大臣になった年でもある。
自由の女神像がニューヨークに着いたのもこの年。
「よく知ってますね」
お世辞ではなくて、本当にそう思った。
「学校で働いていたときに、いろいろな先生から教えてもらったからね。職員室で給食を食べているときに、その学校の教頭先生から日本のことをたくさん聞いた。給食のメニューで不思議に思ったことを彼に質問すると、それ以外のことまで話してくれたよ」
なんとなくその場面は想像できる。
彼が日本語を話すことができたからだろうけど、心がまえもちがう。
知り合いのALTは、職員室で給食を食べているときにネットしかしていない。
ヤツは日本語はできないし、日本のこともほとんど知らない。
まあ本人がそれでいいならいいけど。
でもアメリカ人におにぎりの話を聞くために、セントレア空港に来たわけじゃない。
そろそろ飛行機に乗りに行かなきゃ。
「じゃ、行きますよ」とボクが言うと、彼は「Safe journey」と言う。
たぶん、そんな英語だったと思う。
直訳したら「安全な旅を」だけど、「いってらっしゃい」ぐらいの意味だろう。
「そういや、ジャーニーとトラベルとトリップってどうちがうんだ?」なんて思いながら彼と別れた。
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