イギリス人のカップルが新婚旅行で日本にやってきた。
そのカップルと話をしていたとき、ボクのこんな言葉を聞いて、彼らは「え?」と驚いていた。
「日本人のボクの友人には、ヴェジタリアンやヴィーガンは一人もいません。そもそも、ヴィーガンという言葉を知らない人もたくさんいます」
「本当に?」と彼らは目を丸くする。
ホントですよ。それがなにか?
肉を食べないベジタリアン(菜食主義者)という言葉は日本でも知られている。
でも、ヴィーガンという言葉を知っている人はあんまりいないだろう。
もちろん、「知っているからエライ!」ということはない。
日本ではヴィーガンという言葉を知る必要性がない、というだけのこと。
ヴィーガンという言葉を知らなくても、日本での生活で困ることがない。
生活に必要なことなら、自然に覚える。
でも、海外では珍しくない。
ボクの知人にも、イギリス人やインド人のベジタリアンやヴィーガンがいる。
日本にもそうした人たちはいる。
これから先、日本でもベジタリアンやヴィーガンの人たちは増えていくだろう。
だから、知らないよりは知っておいたほうがいい。
そういうわけで、これからベジタリアンとヴィーガンについて書いていく。
ちなみに、ボクはそのどちらでもない。
肉は大好き。
ボクが初めてヴィーガンという言葉を聞いたのは、ヒンドゥー教徒のインド人からだったと思う。
ヒンドゥー教ってのはこんな宗教でしたね。
ヒンドゥー教
バラモン教に、先住民の土着信仰が吸収・融合されて成立した宗教。特定の経典を持たない。多神教であるが、三大神のうちのシヴァ神とヴィシュヌ神が中心となっている。冠婚葬祭など日常生活に関わっている。
「世界史用語集 (山川出版)」
ちなみに、ヒンドゥー教と日本の神道には共通点がたくさんある。
どちらも多神教の民族宗教で、特定の経典も持っていない。
ヒンドゥー教徒は牛を神と考えている。
だから、牛肉は食べない。
でもボクが会ったこのヒンドゥー教徒は牛肉だけではなくて、鶏肉も豚肉も食べられなかった。
卵もチーズもダメ。
彼は肉も乳製品も食べることができない。
「ボクはヴィーガンなんだ」と言う。
ヴィーガンという言葉をこのとき初めて知った。
「ヴィーガンやベジタリアンでも食べられますよ」ということをあらわすマーク。
知人に、日本で住んでいるヴィーガンのイギリス人がいる。
そのイギリス人がスーパーで買い物をするときに困っていた。
「いろいろな食べ物がならんでいるけど、ヴィーガンの自分が食べても大丈夫な物が分からない」という。
肉や乳製品が入っていないように見える物でも、じつはそれが含まれていることがある。
食べ物の説明を読もうにも、日本語が分からない。
そういう人には、上のようなマークがあると助かる。
これは「イスラーム教徒が食べても大丈夫ですよ」といことをあらわすマーク。
浜松市のスーパーにあったもの。
ヴィーガンは菜食主義者より厳しい。
「完全菜食主義」なんて呼ばれている。
肉を食べないのはもちろん、牛乳やチーズもダメ。
ヴィーガンとベジタリアンの違いには、「ヴィーガンは酪農製品も食べない」ということがある。
「ヴィーガン」という言葉は、「酪農製品を食べない菜食主義者」を表すために、1944年にイギリスにおいてヴィーガン協会の共同設立者であるドナルド・ワトソン(英語版)によって作られた言葉である
「ウィキペディア」
酪農製品を食べないのは、ヴィーガンの人たちが動物をとても大切に考えているから。
ヴィーガンは「動物を守りたい」という気持ちがとても強くて、動物を使った製品も使わない。
欧米で、裸になって毛皮製品に抗議する人たちが時どきニュースになる。
あの人たちがヴィーガンだ。
ふつうのベジタリアンなら、毛皮に抗議することはないだろう。
この記事のはじめに出てきたイギリス人のカップルで、奥さんのほうが日本のペットショップの犬を見て「あれはかわいそう」と言っていた。
イギリスのペットショップでは、犬を売っていないらしい。
だからその人は、犬がオリに入れられているのをその時初めて見たという。
イギリスで犬を買うときは、ブリーダーから購入することが多い。
イギリスのペットショップで犬をオリに入れて売っていたら、ヴィーガンの人たちはきっと黙っていない。
先ほどのインド人も知人のイギリス人もヴィーガンだけど、そうなった理由は違う。
インド人の場合はヒンドゥー教の教えでそうなっている。
イギリス人の場合は個人的な考えからそうしている。
ヴィーガンといっても宗教的な理由からそうなった人もいれば、自分の主義としてそれを選んだ人もいる。
そのイギリス人はキリスト教徒だったけど、今は特定の信仰をもっていない。
ウィキペディアによると、インドでは40%(約5.2億人)がベジタリアンだという。
これは世界でもっとも多い。
インドは世界最大のベジタリアン大国だった。
日本でのヴィーガン率は2.7%。
ヴィーガンを抜いたベジタリアンの率だと2%。
ヴィーガンをふくめたベジタリアンの率は4.7%になる。
ボクが驚いたのは、日本の10代でヴィーガンが多いこと。
日本人全体では2.7%だけど、10代で見ると9%もいる。
今の日本の10代では、10人に1人がヴィーガンらしい。
これはかなり意外だった。
この数字はNPO法人アニマルライツセンターが公表したデータから。
コーラならヴィーガンもベジタリアンも飲むことができる。
でも「うなぎコーラ」はダメ。
今回この記事を書くにあたって、ベジタリアンやヴィーガンについて書いてあるサイトをいくつか見てみた。
それで思ったことだけど、もしこうしたサイトの内容を信じるなら、それが正しい情報かどうかをしっかり確認したほうがいい。
たとえば、あるサイトでは日本のヴィーガンやベジタリアンの率をこう書いていた。
「日本のヴィーガン率は2.7%で、ベジタリアンは4.7%」
これだと誤解を招きやすい。
4.7%はヴィーガンの人たちを含めた数字だから、ヴィーガンを抜いたベジタリアンだけなら2%だ。
上のような書き方だと、「日本のヴィーガンとベジタリアンを合わせたら7.4%になる」とかん違いしてしまうかもしれない。
ベジタリアンのサイトを見ると、ベジタリアンの人たちが書いているものがよくある。
「日本にもっとベジタリアンを広げたい!」と考えているせいか、ベジタリアンに都合の良い書き方をしているようなものもある。
これにはちょっと気をつけたほうがいいと思う。
あるサイトによると、今の日本ではベジタリアンについてこんなイメージが広がっているらしい。
ベジタリアンのイメージが「cool(かっこいい)」に変わってきているといいます。
「ベジタリアンはcoolだ!」
そんなことをインド人やイギリス人のベジタリアンから聞いたことがない。
ベジタリアンなら「卵はOK」という人がいる。
ヴィーガンなら卵もダメ。
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