フランス人の料理評論家ミヨー氏が亡くなったらしい。
AFPのニュース(2017年08月08日)でそれを知った。
1970年代に生まれたフランス料理の新潮流「ヌーベル・キュイジーヌ(Nouvelle Cuisine)」を世界に知らしめたクリスチャン・ミヨー(Christian Millau)氏が死去した。
このミヨー氏については聞いたことがなかったけど、「ヌーベル・キュイジーヌ」なら知っている。
「ヌーベル・キュイジーヌ(Nouvelle Cuisine)」とは「新しい料理」という意味のフランス語で、文字どおりフランス料理に革命を起こした。
このヌーベルキュイジーヌは、それまでの伝統的なフランス料理とは大きく違っている。
その違いを生み出したのが和食。
ヌーベル・キュイジーヌは和食の影響を受けて生まれたフランス料理だった。
ヌーベル・キュイジーヌを大成させたのがポール・ボキューズというフランスの料理人。
彼は「フランス料理の帝王」とも呼ばれていた。
今、世界でもっとも高齢の3つ星シェフは日本人の小野二郎氏(91歳)で、その次がこのポール・ボキューズ氏になる。
このボキューズ氏が提唱したヌーベル・キュイジーヌは現在のフランス料理に決定的な影響をあたえた。
「一般社団法人日本エスコフィ協会」のホームページにはこう書いてある。
今日、私たちが食べているフランス料理の原型は、ボキューズが旗頭になりフランス全土を巻きこんだヌーヴェル・キュイジーヌ・フランセーズにある。
ポール・ボキューズがヌーベル・キュイジーヌという新しいフランス料理を作り出したきっかけは、1970年代に日本を訪れた時にあった。
彼は大阪の辻調理師専門学校に招かれて来日する。
ボキューズは前から、それまでの伝統的なフランス料理とは違うフランス料理をつくりたいと考えていた。
従来のフランス料理は味の濃いソースをたっぷり使っていて、とても「重い料理」で調理法も複雑。
ボキューズはもっと軽くてシンプルなフランス料理を理想としていた。
そんな時、出会ったのが懐石料理です。
農林水産省は和食の特徴として次の4つをあげている。
・多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重
・健康的な食生活を支える栄養バランス
・自然の美しさや季節の移ろいの表現
・正月などの年中行事との密接な関わり
ボキューズはこの中の「多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重」という和食の良さをフランス料理に取り入れた。
ソースで味付けをするのではなく、食材が持つ本来的なおいしさを活かすような料理法を考案する。
ここがそれまでの伝統的なフランス料理とは違う。
素材の良さを引き出そうとする点がヌーベル・キュイジーヌ(新しい料理)の大きな特徴になっている。
そのきっかけは、ボキューズが日本で見た懐石料理だった。
ではここでクエスチョン。
ボキューズが懐石料理にでてくる汁椀のふたをヒントにして作ったと言われる料理はなんでしょう?
答えはこれ。
昨夜のボキューズのスペシャリテのスープはほんと美味しかった
fond自体美味しいし、トリュフとフォアグラとか具沢山だし生地も美味しいし熱々だったし
これいっぱいで1万の価値があるのはまあわかる pic.twitter.com/hyE8chJTA2— 星くず (@_hoshikuzu_) December 20, 2014
このパイ生地のふたをどこかで見たことあると思う。
これはポール・ボキューズが開発した料理で、汁椀のふたに見立てたものと言われている。
また、ボキューズは和食の盛りつけ方にも注目した。
和食では季節や料理に応じて、盛りつける器を変えている。
ボキューズはこのアイディアもフランス料理に取り入れた。
盛りつける皿を料理ごとや季節ごとに変えたりするなど、地味だったフランス料理の盛りつけを根底から変えて新たなフランス料理の時代を作りあげた
「ウィキペディア」
これは農水省があげた「自然の美しさや季節の移ろいの表現」という和食の特徴に当たる。
ボキューズはフランス料理で使っていた皿の形も変えている。
それまでのフランス料理では、丸い皿だけを使っていたという。
ボキューズは和食で使っているお重やお膳の漆器から刺激を受ける。
それでフランス料理でも、四角や楕円などいろいろな形の器に料理を盛りつけるようにした。
巨匠ポール・ボキューズが和食とフランス料理をうまく組み合わせることによって、ヌーベル・キュイジーヌというフランス料理の革命を起こすことができた。
ちなみにフランス料理で和食の「だし」の技術が使われるようになったのも、ヌーベル・キュイジーヌがはじまったころだという。
この記事を書くにあたり、以下のサイトを参考にしました。
日本との交流で生まれたフランス料理「ヌーヴェル・キュイジーヌ」
【西洋料理・佐藤先生コラム】フレンチの手法にだしの“概念”を読む
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