はじめに、慰安婦問題について簡単な説明をさせてほしい。
まず慰安婦だった女性はいた。
それは疑う余地がない。
ただ、「日本軍が朝鮮人の女性を強制連行した」とか「慰安婦が性奴隷にされた」という事実は確認されていない。
その根拠は何もないから。
また、慰安婦は日本軍に特有の存在でもない。
アメリカ軍や国連軍の兵士の相手をする慰安婦もいたのだ。
戦地の軍人を相手に売春する施設である慰安所でそれを行った女性であり、1980年代までは主に米軍・国連軍慰安婦の慰安所設置によって生じた用語である。
(中略)日本軍、韓国軍、アメリカ軍および国連軍の軍人・軍属に対して売春業を行っていた
「ウィキペディア」
前にこんなことがあった。
「慰安婦はいろいろな軍隊にいて、韓国軍や国連軍の兵士も相手にしていた」と話すと、「それは知らなかった!」とビックリする人がいた。
その人は「慰安婦=日本軍だけのもの」という間違ったイメージを持っていたのだけど、そう思っている人は他にもいるような気がする。
慰安婦問題は長い間、日本と韓国の最大の外交問題だった。
それでも両国で話し合いを重ね、2015年の日韓合意にたどりつく。
慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的に解決される」ということを日韓両政府が確認した。
慰安婦問題について、もう日韓で話し合いことはない。
だから、実質的にこの問題は終わったことになる。
この合意にもとづき、日本では安倍首相が「心からおわびと反省の気持ち」を表明し、10億円を韓国側にわたしている。
当然、次は韓国の番だ。
日韓合意にもとづいて、韓国は日本大使館前に置かれた慰安婦像(韓国では少女像)を動かす必要がある。
でも韓国政府はこの像を動かしていない。
それどころか、市民グループが釜山の日本総領事館前に新しい慰安婦像を建てることを認めてしまった。
こうした韓国の行為は日韓合意の精神に反している。
そのことついて、安倍首相は今年の1月にこう言っている。
毎日新聞の記事から。
次は韓国にしっかり誠意を示してもらわねばならない」と述べて撤去を求めた。
「韓国は誠意を」 少女像問題、大使きょう帰国
8月になった今でも慰安婦像は動かされていない。
韓国政府にはこの像を建てた市民グループと話し合う様子もない。
しかも最近では、慰安婦問題についてよく分からない動きが韓国で見られる。
まずは、慰安婦だった女性が韓国のプロ野球の始球式をつとめることが決まった。
聯合ニュースの記事(2017/08/03)から。
旧日本軍の慰安婦だった李玉善(イ・オクソン)さんが10日、ソウル郊外の京畿道・水原で行われる韓国プロ野球KT―起亜戦で始球式を務める。KTが3日発表した。韓国プロ野球で慰安婦被害が始球式を行うのは初めて。
芸能人やアイドルが始球式をおこなうことなら日本でもある。
だからそれは分かるけど、なんで元慰安婦の女性なのか?
始球式の前にはマウンドでインタビューなども行われる予定だ。
ということらしい。
まあ韓国の野球のことだから、韓国が好きなようにしたらいい。
ただ残念なことに、当日は雨で中止になっている。
くわしくはこの中央日報の記事を見てください。
旧日本軍慰安婦被害者、パク・オクソンさんのプロ野球特別始球行事が雨天により取り消しになった。
聯合ニュースでは名字が「イ」になっていて、中央日報の記事では「パク」になっている理由は分からない。
ちなみに日本で初めて始球式がおこなわれたのは、1908年11月22日といわれている。
この時は大隈重信(おおくま しげのぶ)が始球式をつとめた。
早稲田大学をつくった人ですよ。
始球式をつとめた元慰安婦の女性がいれば、歌手デビューを果たした人もいる。
それが90歳の吉元玉(キル・ウォンオク)さんという人。
中央日報の記事(2017年08月11日)で、「歴代最高齢の新人歌手になった吉さん」と紹介されている。
14日に発表される『吉元玉の平和』アルバムには吉さんが普段から好んで歌う『恨み多き大同江』『アリラン』『舟歌』『岩のように』など15曲が入った。ヒューマネジメントのチャン・サンウク代表、リュ・ミンソク音楽監督、コーラスとして参加した20代の学生たちなど多くの人々の協業で作られた。
韓国の「ニュースルーム」というニュース番組が、このアルバムにある曲「岩のように」をエンディング曲に決めたという。
韓国でおこなわれるキャンペーンに参加して10万ウォン(約9500円)以上寄付した人に、このアルバムがわたされることになっている。
これをおこなうことで、慰安婦問題はどう解決するのか。
最後はこれ。
慰安婦像が路線バスにデビューした、というニュース。
朝日新聞の記事(2017年8月14日)から。
ソウル市内を循環する151番バスの座席に14日、慰安婦問題を象徴する少女像のプラスチック製レプリカが設置された。
少女像、ソウル路線バスの座席に 市が設置認める
日本大使館前に置かれた慰安婦像がこの像のモデルになっている。
この像はソウル市ではなくて、バス会社が設置している。
今ソウルでこのバスが走っているという。
1台だけではなくて5台のバスに慰安婦像を乗せ、10月4日までそのバスが走る予定だ。
この路線バスはソウルの日本大使館の近くや日本人観光客が訪れるエリアを走っている。
観光で訪れた日本人がこの像を見ることは、じゅうぶん考えられる。
それだけに韓国人の中にも「これはやり過ぎ」と言う人や日韓関係に悪い影響をあたえることを不安に思う人もいるらしい。
そんな良心的な声は少ないと思うけど。
こんな反日活動の盛り上がりを見ると不安になる。
韓国人の激しい反日感情をぶつけられたかわいそうな日本の女子大学生がいる。
朝鮮日報という韓国紙でその人のことを知った。
1999年に日本と韓国の大学生が交流をおこなったときのこと。
このとき日本の大学生が慰安婦問題のことで韓国の大学生から責められる。
すると一人の女子大学生がその場で土下座して謝罪したという。
朝鮮日報のコラム(2016/01/04)から。
すると突然、日本の女子学生の一人が冷たい床で土下座を始めた。「こうすれば気が済むの?」と。
「日本から謝罪を受ける韓国の意志と戦略」
くわしくはこの記事を読んでほしい。
これは20年ほど前の話。
今では慰安婦問題についていろいろなことが分かっている。
日本軍による強制連行なんてなかったし、慰安婦の人たちが性奴隷だったという事実もない。
この女子大学生が謝罪する理由は何もなかった。
そう思うと気の毒になる。
こんなことは日本と韓国のためにはならない。
日本人が韓国を旅行をしているときに、慰安婦問題についての話を聞いたり、慰安婦像や慰安婦の人たちをテレビで見たりするかもしれない。
なんせ韓国の社会では、元慰安婦の人たちが始球式をつとめたり歌手デビューしたりするぐらい身近な存在だから。
日本で慰安婦問題についてのニュースを聞くこともあると思う。
そうしたときに、その日本人が「罪悪感を感じてしまわないだろうか?」という不安がある。
2017年8月7日に、河野太郎外相がマニラで韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相と会談している。
そのとき河野氏は慰安婦問題の日韓合意について、「着実な実施が重要だ。康外相の尽力をお願いしたい」と韓国の外相要請している。
日本はこの問題についてはいま、韓国に謝罪するのではなくて要請する立場にある。
韓国はこれに弱い。
安倍首相が「次は韓国にしっかり誠意を示してもらわねばならない」と言ったとき、韓国は反論することができずに困っていた。
中央日報にその記事がある。
外交部は8日、これに反論する公式の立場を出さなかった。外交部の当局者は「いちいち反応するのは適切でない」と述べた。しかし悩みは大きい。
改めて書くけど、慰安婦問題はすでに終わっている。
韓国政府が解決を確認したのだから。
日本は韓国に「約束を守ってください」と求め続けるだけでいい。
慰安婦問題について、日本人が謝罪をしたり罪悪感を感じたりする必要はない。
もうそういう時代ではないし、それが日韓関係に良い影響をあたえることもないから。
こちらの記事もいかがですか?
日韓歴史戦:日本の強みは、韓国の間違いを指摘して事実を示すこと。
約束を守らない国には行きたくないですね。
その気持ちはわかります。
でも、そう思う人が韓国に行って、韓国の様子を日本の人たちに伝えるのも良いことだと思いますよ。
ふつうの旅行者は韓国の食べ物や建物を紹介するだけですから。
慰安婦や日本に対する見方なんかも知らせるのは大切です。