「日本の夏を味わいましょう!」
という言葉を見たら、何を思い浮かべますか?
浜松市にある昆虫食倶楽部というグループの場合、日本の夏とは「セミ」だった。
この団体がおこなった「セミをとって食べる」というイベントを紹介するページにこの言葉がある。
このイベントは文字どおり「セミをつかまえて料理して、みんなで食べよう!」というもの。
写真で見るとセミを油で揚げた「セミ・フライ」がお皿に並んでいる。
画像は昆虫倶楽部のホームページからどうぞ。
「人が集まるのか?」と思ったら、じつはこのイベントは大人気。
すでに定員オーバーで、キャンセル待ちという状態だった。
この昆虫食倶楽部では、これまでにも「外来種をとって食べる」というイベントもしている。
「外来種」とはウシガエルのこと。
浜松にある湖(佐鳴湖)でウシガエルを釣って、これまたおいしくいただくという。
これも人気で、定員に達して募集を打ち切っている。
「セミをとって食べよう」という企画は、浜松市の「みんなのはままつ創造プロジェクト」の一つしておこなわれている。だから市としても、昆虫食を応援しているということなんだろう。
ネットをのぞいてみると、日本の各地でこうした昆虫食イベントがおこなわれている。
昆虫食はブームとまではいかないけど、じわじわと日本に広がっているらしい。
ボクがウシガエルを食べるとしたら、少しの勇気と考える時間がほしい。
でも子どもなら、そんなに抵抗なく食べてしまうのだろう。
こうしたイベントが日本中でおこなわれていたら、日本の食文化が変わるかもしれない。
世界的に見ても昆虫食は広がっている。
なんせ国連がすすめているぐらいだから。
今、世界には約76億人の人間が住んでいる。
人類はこれからさらに増える。
国連の報告書によると、30年には86億人になって50年には98億人に増えるらしい。
そして2100年には世界の人口は112億人に達する。
くわしくは時事通信の記事で↓
世界人口2100年に112億人=印、7年以内に中国抜く-国連報告書
地球にすむ人間が増えても、それに見合う食べ物がなければ飢餓が発生してしまう。
最悪の場合、餓死してしまう人が出てくるかもしれない。
人口増加による食料難を解決する手段として、国連は昆虫食を世界にすすめている。
昆虫は栄養価が高いし、環境にもやさしい。
国連食糧農業機関(FAO)がまとめた報告書には、昆虫が「世界の未来のために理想的な食料になる」と書いてあるという。
中国の屋台で売っていたサソリの揚げ物。
塩コショウの味がして、「サソリの味」は分からなかった。
昆虫食についてヨーロッパで初めてとなる動きがあった。
スイスで法律(食品安全法)が改正されて、「虫バーガー」が販売されることになったという。
時事通信の記事(2017/08/15)から。
虫バーガーなどはタンパク質が豊富で通常は家畜の餌になるゴミムシダマシの幼虫を使用。ジュネーブ、ベルン、チューリヒなどの店で販売する。
「虫バーガー」はいかが?=法改正で販売可能に-スイス
「虫バーガー」で使われる虫はそこらにいる虫ではない。
食用として厳しい管理のもとで、人間が飼育したゴミムシダマシの幼虫やコオロギなどに限られる。
この点は「とって食べよう」の昆虫食とは違う。
スイスでは「虫バーガー」の他にも、「虫ミートボール」も販売される。
ヨーロッパの国で、虫を食用として法律で認めたのはスイスが初めてだ。
この動きはこれからヨーロッパの他の国にも広がっていくと思う。
世界や日本での動きを見ていると、虫はもう「ゲテモノ」ではなくて、「未来食」になりつつある。
これからの人類が食べるもの、ということ。
もちろん、昆虫を食べることに抵抗を感じる人はたくさんいる。
イギリス人にイギリスでの昆虫食について聞いたところ、「昆虫を食べる人はいるかもしれないけど、自分のまわりではいないし会ったこともない」と言う。
でもこれから世界の人口は増えるし、食肉用の動物の飼育は環境に悪い影響をあたえている。
だからこれから昆虫食は、世界や日本国内で広がっていくだろう。
日本でも2、30年後には、学校給食で週に一度「昆虫食の日」がつくられるかもしれない。
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