北朝鮮のミサイル VS 日本の迎撃態勢←日本にいる外国人の感想は?

 

北朝鮮「ミサイルを発射してやる!」
日本「ならば、それをミサイルで撃ち落としてやる!」

ということで、日本政府は迎撃ミサイルPAC3を四国に配備した。
地元の人からは賛成・反対の声があがっている。

前回、そのことを書いた。

このことを日本にいる外国人に伝えて、彼らの感想や意見を聞いてみた。

アメリカ人、イギリス人、タイ人、台湾人、トリニダード・トバゴ人の5人。

今回は、日本の迎撃態勢と地元住民の反応についての外国人の反応を書いていきたい。

ただ、これはあくまで彼らの個人的な考えであって、母国を代表する意見ではない。

 

外国人の声を紹介する前に「もし、北朝鮮が日本に向けてミサイルを発射したら?」というときの、日本の迎撃態勢について簡単に書いておきたい。

まず、北朝鮮がミサイルを発射したら、アメリカ軍の早期警戒衛星がその動きをキャッチする。
その後、自衛隊のイージス艦がこのミサイルをとらえて撃ち落とす。
イージス艦での迎撃が失敗したら、地上に配備されたPAC3で日本に着弾するミサイルを迎撃する。

だいたいこんな感じ。
くわしくはNHKの下の記事(8月29日)をごらんあれ。

米の衛星が発射キャッチ 自衛隊が追尾・迎撃

これを見ると、迎撃ミサイルのPAC3が「日本の最後の守り」であることがわかる。

 

さて、アメリカ人、イギリス人、タイ人、台湾人、トリニダード・トバゴ人の5人の感想は?

まず彼ら5人に共通していたのは、「PAC3の配備を決めた日本政府の判断は正しい」ということ。
彼らも日本にいるから、北朝鮮によるミサイル実験のことはニュースを見て知っている。

北朝鮮による軍事的な挑発を見たら、日本を守るために迎撃ミサイルを配備することは当然。それは必要なことでもある。
ここまではみんな同じ意見。

でも、ここからが違った。

 

アメリカ人とイギリス人の感想は似ている。
2人とも20代の女の子。
彼らの意見をまとめると、こんな感じだ。

「PAC3が配備されたことで、地元の人びとが不安に感じる気持ちは理解できる。それまで彼らは、ミサイル攻撃とは無縁の生活をすごしていたのだろうし。突然、迎撃ミサイルがやってきたら、現実的な恐怖を感じるようになると思う。でも、その配備は必要だ。日本政府が彼らを説得することが大事だろうね」

 

タイ人と台湾人の意見も似ている。
タイ人は20代、台湾人は30代の男性。
彼らの話をまとめるとこんな感じ。

「PAC3の配備に対して、地元の人びとが不安に感じるということがよくわからない。その反対なら理解できる。「迎撃ミサイルがなかったら、不安に感じる」というのならわかる。北朝鮮のミサイルが自分たちのところに落ちてくるかもしれない。怖いのはそっち。そのミサイルを撃ち落とすミサイルが来ることが、なんで怖いのか?」

 

日本にはこれもあった!

 

トリニダード・トバゴ人の反応は違っていた。
彼女は20代の女の子。
ボクの話を聞いて、なぜか笑い出した。

「日本にミサイルが飛んでくるから、それを撃ち落とすためにミサイルを配備したんでしょ?その迎撃用のミサイルが自分たちの地域に来たら怖くなったって、どういうこと?」

彼女の頭の中では、自国に落ちてくるミサイルがあったら、それを迎え撃つミサイルが配備されることは当たり前。
日本に着弾するミサイルではなくて、迎撃ミサイルに不安を感じるということがあまりに現実離れしていて、もはやギャグのように感じてしまうらしい。

彼女がこんな質問をしてきた。

「じゃ、迎撃ミサイルがなかったらどうするの?」

「どうするんだろう?北朝鮮との対話で問題を解決しろ、という人もいるけど」

「日本はそんなことできるの?」

日本政府が北朝鮮を説得して、核とミサイル開発をやめさせることができるだろうか?

「ムリだね」

「じゃ、迎撃ミサイルを配備するしかないじゃん」

「そうだね」

 

ボクとしてはアメリカ人とイギリス人の考え方に賛成だ。

自分たちが住んでいるところに、いきなり迎撃ミサイルが配備されたら、それを不安に感じても仕方がない。

 

15年ぐらい前、エジプトを旅行していた時にこんなことがあった。

ハルガダというところへ移動するために、長距離バスに乗り込んだ。
バスの車内に入って、ギョッとする。

銃を持った兵士がバスの最前列の席に座っていたのだ。

片手で持てるような小さな銃ではない。
彼が手にしていたのは、これぐらいの大きさの銃だ。

 

 

バスの中でこんな銃を間近で見るとは夢にも思っていなかった。
あまりに突然のことだったから、その場で少し固まってしまった。

ハルガダの宿でエジプト人のスタッフにその話をする。

「あの銃を見たときはコワかったよ」

それを聞いたエジプト人はこう言う。

「安心しろ、彼らがいたら大丈夫だ」

話がかみ合っていない。
ボクは「銃を持った兵士がいたからコワかった」と言ったのだけど、このエジプト人は「銃を持った兵士がいるから安心だ」と言う。

「いや、あの銃を見てコワくなったんだけど」

ボクが言うと、彼はあきれた顔をする。

「おまえ、彼らがいなかったら、どれだけ危険かわかってるのか?武器を持った人間に襲われたら、どうやって身を守るんだよ?」

これは正論。
エジプトの治安を考えたら、これが常識的な考えだ。

日本の社会で生活していたら、銃を見る機会がない。
それでボクは銃を見て、条件反射的に不安を感じてしまったというだけ。

当時のエジプトでは、銃なしで長距離を移動することは危険すぎる。

 

エジプトに限らず、海外に行くと思わぬところで本物の銃を目にすることがある。
ある日本人が観光で訪れたフランス(それかベルギー)の街を歩いていたら、前から銃を肩にかついだ兵士数人が歩いて来る。

「黒光りする銃がコワかった」と彼は言う。
でも街の人はそれを見ても、何も反応しない。
街に不安そうな様子は一切感じられなかったという。

むしろ住民からしたら、兵士と銃がない方に不安に感じるかもしれない。

 

今まで小さな銃さえ見たことなかった人たちの地域に、いきなり迎撃ミサイルがやって来たら不安になっても当然だと思う。

でもそれは、地元の人を守るために必要な処置だ。

8月29日の早朝にも、北朝鮮はミサイルを発射している。
このミサイルは北海道の上空を通過した。

これを受けて、菅官房長官は「これまでにない深刻かつ重大な脅威」と述べている。
こうした脅威から日本にいる人たちを守るためには、迎撃ミサイルは欠かせないだろう。

PAC3の配備が“ダメ”だとしたら、代わりにどんな具体策があるのか?

ミサイルを見て心に不安を感じても、頭では「これは必要なことだ」と考えたほうがいい。
政府も住民に対して丁寧に説明して、不安を解消してほしい。

 

北朝鮮はグアムにも「ミサイルを発射するぞ!」と言っていた。
その時、アメリカのトランプ大統領はグアムの知事にこう伝えている。

「アメリカ軍によるグアム防衛は万全だ」

これに対して地元グアムの住民から、「アメリカ軍がいるから不安だ」とか「アメリカ軍が防衛態勢をとることで北朝鮮を刺激しないか心配だ」といった声があがったなんて聞いたことがない。

「軍が守ってくれる」と聞いたら、世界中のほぼすべての人は不安よりきっと安心を覚える。

ただ、アメリカの場合、不安なのはアメリカ軍ではなくてトランプ大統領のほうかもしれないけど。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。