「黒人ウザイわ」。差別ツイートに見る日本社会の黒人への見方

 

J1横浜で活躍する黒人のマルティノス選手がツイッターでこんな発言を受けた。

「ほんとこの黒人はウザいわ」

この侮辱的な言葉には、マルティネス選手がバナナを食べる画像が添えられていた。

「所属選手が差別的な行為を受けた」とこのツイートを重く見た横浜は、警察に被害届を提出するという。

くわしいことはスポニチアネックスの記事をどうぞ↓

横浜・マルティノスに差別ツイート「ほんとこの黒人はウザいわ」

 

これは完全アウトの案件。
SNSでもこのツイートを非難する声が圧倒的。

絶対ダメだろ
差別発言するやつは消えろ

アホーターが調子に乗ってんだよ

こういう連中は反撃くらうと途端に弱そうだからな
早く自首して土下座した方が良いんじゃねーか

こういうのはしっかり実名公開すれば自然と減っていくと思うぞ

そもそもネットの異常な叩きとか
普通に警察に通報したらええねん
匿名だからっていい加減暴力と変わらんで

 

なかには日本のイメージダウンを気にする人もいた。

これ世界中で報道されるからな。こいつのせいで日本人の見方が変わっちゃうね

SNSだろうと2chだろうと黒人を差別したり土人とか書き込むバカは日本の恥

ガラパゴスだから日本人は気付かないんだよ
意識がかなり遅れてる

ツイッターでこれを本人に送ったのなら、犯人はすぐに捕まるはず。
これで自分の名前がネットに登場したら、今度は自分が一生ネットで苦しまむことになるかもしれない。
自業自得だけど。

 

SNSでは過去の差別事件にふれる人もいた。

謝れば許してくれると思うから素直にでてこいよツイッターの人よ。
しかしJリーグて年1くらいで差別の問題おこるな

浦和サポがガンバ大阪のパトリックにやったな、結構騒ぎになった

同じ黒人のパトリック選手も、2015年に人種差別的なツイートを受けている。
このときの言葉は「この黒人はウザいわ」よりもひどい。

「黒人死ねよ」

このツイートをしたのは高校生で、後日謝罪している。
くわしいことは日刊スポーツの記事をどうぞ↓

浦和レッズは30日、ガンバ大阪のFWパトリックに対してツイッターで人種差別的な投稿をした埼玉県内の高校生から、学校を通じて謝罪の申し入れがあったと発表した。

人種差別投稿の高校生が謝罪…パトリックも理解、クラブ処分はなし

 

ここまでひどくはないけれど、ボクも日本での黒人に対する見方について、「そりゃマズいだろ」と思うことがある。

数年前にはこんなことがあった。
あるとき、英会話スクールを開いている日本人の知り合いから、こんなことを頼まれる。

「今、英語を教える人がほしいんだよ。いい外国人がいたら教えて」

ということで、早速知り合いのイギリス人にメールを送ってみた。

「だれかいない?」と聞くと、「いるよ!」とすぐに返事が来る。
ただ、その外国人は黒人。

 

それを日本人の知り合いに伝えると、彼が気まずそうな顔をする。

「実は、黒人はマズイんだよ」

これを聞いてビックリ。
英会話を教えていて、「国際人」を育てているはずの彼がこんなことを言うとは!
夢にも思わなかった。

 

でも話を聞くと、一方的に彼を責めることもできなくなる。

彼自身は、英会話の講師が白人でも黒人でもまったくかまわない。

でも、生徒がおびえてしまう。

前に黒人の講師を雇ったら、幼稚園の子どもたちが「コワい~!」と言って大泣きしてしまったという。
まったく授業にならないほど。
母親がそばにいて子どもに声をかけても、どうにもならない。

かといって、4歳の子どもに「黒人にコワいと言うな!」「それは人種差別的な言葉だ!」と怒っても、どうしようもない。

その後、親から電話がかかってくる。

「ウチの子がそちらにいると迷惑をかけてしまうので、スクールをやめさせてもらいます」

 

こんなことがあったから、彼は黒人を雇うことにはためらいを感じてしまう。
くり返すけど、彼個人は黒人に対して、何の差別感情も持ってはいない。

でも、肌の色で仕事を断るというのは許されない。
だからこれはアウト。

黒人の知り合いを紹介しようとしたイギリス人も、これを聞いて驚いていた。

このイギリス人も彼を知っていた。
それでこんな文を送ってくる。

Wow, he would’ve been the last person I would’ve thought to say that.

「彼がそんなことを言うなんて、絶対考えられなかったのに」

そんなことをボクに言われてもですねえ。

 

彼としてもむずかしい立場だ。

「おまえは差別主義者だ!」なんて非難されないように、黒人の先生を雇ったとする。
その結果、生徒がやめたとしても、だれも何の責任もとらない。

たとえ、その英会話スクールがつぶれたとしても、「人種差別は絶対にいけません」と言っていた人たちが何かをしてくれるわけでもない。
すべて自己責任。

そうなると、裏ルールができてしまう。
「当スクールでは、どんな肌の色の人間でも問題ありません」と言って講師を募集しておいて、後で黒人を落とす。

「人種差別は絶対にいけない!」というのは当たり前。
だけど、自分の店をつぶして従業員や家族に迷惑をかけるわけにもいかない。

 

本人に差別意識がまったくなくて、そうすることが心苦しくても、生徒がいなくなってしまったらどうしようもない。

彼が何らかの努力する必要はあると思う。
「子どもたちが抵抗を感じないような、楽しい活動ができなかったのかなあ?」とは思う。
けど、彼一人にすべての責任を押し付けるわけにはいかない。

実際、日本の社会から黒人への抵抗感をなくすことはむずかしいし、かなりの時間もかかる。

「ガラパゴスだから日本人は気付かないんだよ」という声があったけど、「気づけば解決できる」ということでもない。

 

4歳の子どもが黒人を見て「コワい」「イヤだ」と言うのは、いいことではないけど、「仕方がない」で許される。
これは差別ではなくて、慣れの問題だから。

高校生が「ほんとこの黒人はウザいわ」とか「黒人死ねよ」とかツイートしても、反省と謝罪ですむと思う。

でも、18歳をこえた大人がこれをしたらアウト。
警察につかまって実名が公表され、前科一犯のでき上がり。

 

差別的な言動があったとしても、それをした個人だけではなくて、それを生み出した日本社会にも目を向ける必要がある。

さっき、「日本全体が成熟する」なんてことを書いた。
これは要するに、「いろいろな人たちに慣れる」ということ。

子どものころから、黒人をふくめていろいろな人たちと一緒に遊んだり料理をつくったりする経験をして慣れるしかないと思う。
ある程度強制力がある学校がこうした活動をしたらいい。
子どもが泣いてもわめいても、やめられないようなところが。

「差別は絶対にいけない!」とか「日本人の意識がかなり遅れてる」とか言っているだけで解決することでもない。
そうなったら、自分が非難されないように、表と裏を使い分けるテクニックが磨かれるだけだろう。

 

 

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アメリカ 「目次」

日本 「目次」

 

5 件のコメント

  • 差別うんぬん言うより、日本にいるとか日本の女を騙して食い物にしてんだろ?そうゆうのはどうなの?奴等のせいで泣きをみてる日本の女性がいるのは事実だろ?彼等も自国で外国人に好き勝手されたらイイ気持ちはしないだろ。この手の奴等は一握りかもしれないが、彼等に対して悪い感情移入は拭えない。少なくとも俺は嫌い派なのは間違いない。

  • 竹下通りとかに居るよな、彼等は田舎者の学生なんかをしつこく口説いて自分の店に連れて行き、二束三文の服を高額な値段で吹っ掛けて買わしているらしいが、自分もあの辺歩いていて不振な声かけされたことがあるのでガセではないだろ。竹下通り、でぐぐってみればわかる。つまり彼等に対してイイ印象は何もない。これも一握りだけなのかもしれないが、自分を含め、特に怖い思いをした学生などは、そんな暗い印象を心に残すのも無理はないだろ。警察も黙認してるのがよくわからない。もっと大きな影があるのか。自分も彼等のうちの1人から渡辺さんとか、いきなり片言の日本語で脅されたことがあったが周りにいた女の子たちのほうが怖かっていた。勿論自分は渡辺ではない(笑) これが一部だったとしても敵視するようになって不思議じゃない。おそらく、自分と同じ感覚の人間は沢山いると思う。知らない人達はもっと彼等を知るべきだ。

  • 現在ですらこれだもん。 弥助さんは農民たちに寄ってたかって殺されてるかも知れませんよね。
    そうでないことを祈ります。
    うちの母も黒人は汚いっていうんですよ。 アジア人も差別しますしね。
    そのくせキリスト教系の新興宗教に入ってるからみんな平等とか言うんですよ。 まあ差別と平等は違いますからね。
    差別や偏見がなくなるといいのですがどうしても優劣つけたがるのが人類です。 なくなるのはるか未来になるんでしょう。 その頃の人類って人類なのでしょうか?

  • 弥助のその後は気になります。
    日本史からキレイに消えましたからね。
    この記事でおどろたいのは、「黒人ウザイ」というツイートに共感するようなコメントがいくつかきたことです。
    差別的な内容で載せられませんでした。
    個人的に嫌な経験をした人も単なる偏見の人もいました。
    こういうのをなくすのは本当に難しいです。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。