平昌五輪の開会式に欧米・日本・中国、世界の反応は?

 

2月9日、いよいよ平昌五輪が開幕した。

冬季五輪なだけに、関係者は薄氷を踏む思いだったのでは。

世界は平昌五輪の開会式をどう伝えたのか?
今回は、欧米・日本・中国の反応を取り上げていこうと思う。

 

将軍標(しょうぐんひょう)は平昌五輪をどう見ているのか。
朝鮮半島にあった魔除けのための境界標。

 

まずは開会式を「イマイチ」と伝えたところから。

AP通信はこの開会式について、世界的には盛り上がりに欠けたと伝えた。
初日の視聴者は「2014年ソチ五輪時の2千万人から、20%減の1600万人に落ちた」という。

USAトゥデーが伝えたのは、「シベリア開幕式」とも呼ばれた厳しい寒さだ。
韓国の五輪組織委員会が予算と工期をカットするために、スタジアムに屋根をつけなかった。
寒い韓国の中でも、平昌はもっとも寒いところといわれている。

厳しい風の中でおこなった開会式を、USAトゥデーは「屋外の開会式を夜に実施するのは、これが最後になるのではないか」と伝えた。
ひょっとしたら、あの開会式はラストチャンスだったかもしれない。

 

 

次は、開会式を好意的に伝えたところを紹介したい。

米CNNはニュースで、開会式の様子を「スペクタクル(壮観だ)」と表現する。
英BBCは「すべての公演が繊細で洗練されていた」と評価した。

米ABCニュースとBBCが注目したのは、ドローンだ。
1218台のドローンがスタジアム上空で五輪のマークを作ったことを、BBCは「Wow moments(すごい瞬間)」』で「ギネス世界記録だ」と報じた。

またCNNは、本物のハトではなくて「風船のハト」を飛ばしたことに「賢明な決定だ」という。
これについては、この記事をご覧ください。

聖火は消え鳩は焼けた。不吉な予感の平昌オリンピック開会式

 

米ワシントンポストは韓国と北朝鮮の”仲の良さ”を取り上げる。
開会式には、北朝鮮の最高指導者・金正恩(キム・ジョンウン)氏の妹、金与正(キム・ヨジョン)氏が出席した。
ワシントンポストは、韓国の文大統領と金与正氏の握手を「数日前まで想像できなかった瞬間がこの日現実になった」と強調する。

米CNNも韓国と北朝鮮の親密さに注目し、両国の選手が統一旗を持って同時に入場したことを伝える。
CNNも文大統領と金氏の握手について触れたけれど、「ペンス副大統領は近くの席に硬い表情で座っていた」と、”南北握手”に対するアメリカの冷めた反応も紹介した。

アメリカは、韓国と北朝鮮が近づきすぎることを不愉快に思っているはず。

 

ここまでの内容は以下の記事による。

朝日新聞の記事(2018年2月10日):世界はどう見た?五輪開会式 米報道「視聴者20%減」
朝鮮日報の記事(2018/02/10):平昌五輪:開会式、海外メディアの反応は
中央日報の記事(2018年02月10日):海外メディア「洗練された開会式」「文大統領-金与正氏の歴史的な握手」

 

簡単に、日本のネット上の反応もどうぞ。

・あの鳥なんだったの
・ドローンは見事だったわ
・TV見てないし冬季五輪にも興味ないからどうでもいいわ
・開会式長過ぎなんだよな
リオでの東京五輪のアレのように、「もうちょっと見たかったのに~」
と思わせるくらいの短さでちょうどいいのに
・ソチも悪よのう
・CGとわけわからん人面鳥とキムヨナが今の韓国を代表するものというのはわかりました

 

 

違う反応を見せたのが中国だ。

平昌五輪の開会式を見た中国人の感想は、サーチナの記事(2018-02-12)のタイトルを見たら、だいたい分かる。

平昌五輪開会式は「中国の村祭り」 唯一「韓国」だったのはキム・ヨナがキムチ壺に着火した場面だけ=中国

 

今日頭条というメディアによると、中国人が平昌五輪の開会式を見て感じたのは「中国らしさ」だった。

開会式のパフォーマンスは、中国の古代思想「木火土金水の五行」から始まる。
そして途中にはこんなシーンがあった。

朝鮮日報の記事(2018/02/12)から。

人面鳥は開会式序盤に四神を意味する青龍・白虎・朱雀・玄武やさまざまな動物たちと共に登場した。人面鳥は高句麗時代の複数の古墳壁画に描かれている伝説の生き物だ。

平昌五輪:怖いけど心引かれる「人面鳥」、一夜にしてスターに

「青龍・白虎・朱雀・玄武」はすべて中国の空想上の生き物だ。

日本でも大きな話題となった「人面鳥」についてはこうだ。

中国の古典である山海経に記載があるのだが、高句麗時代の不死鳥で縁起物だと韓国人は言う。

韓国の開会式なのに、中国文化の要素が満載。
韓国としては韓国の歴史や伝統文化をあらわしたのだけど、中国人の目には「中国の村祭り」と映ったようだ。

それでこうなった。

聖火リレーの最後にキム・ヨナが登場して『高級キムチ壺』の聖火台に聖火を灯した瞬間だけは、韓国らしさが出ていた

これは今日頭条という中国メディアが伝えたことで、他の中国メディアが開会式をどう紹介したのかは分からない。

でも、中国は韓国に対して容赦ない、ということはよく分かった。
「高級キムチ壺」には笑ってしまった。

 

韓国の国旗「太極旗(たいきょくき)」

陰と陽からできるこの「太極」も、中国の古代思想による。
中国人に聞いたら「若い人なら韓国の国旗だと分かりますけど、老人が見たら道教のシンボルと思うかもしれません」と話していた。

太極のまわりにある「八卦(はっけ)」も中国から朝鮮半島に伝わったもの。

 

道教のマーク。
これが元祖「陰陽」。

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。