「キリスト教の価値観や考え方は絶対に正しい!」と考えたローマ・カトリック教会は、宣教師を世界各地におくってキリスト教を伝えていた。
でもそれは、見方によっては、ヨーロッパ人による価値観の”押しつけ”にもなる。
前回、そんなことを書きました。
では、その続きです。
「ヨーロッパ中心主義」という言葉を聞いたことがありますか?
ヨーロッパ中心主義
本来は地球上に数ある諸文明の一つに過ぎない欧州文明を格別のものとしてみなす考え。欧米文明を西洋としこれ以外の文明を全て東洋とすることなどはその一例とされる。
ヨーロッパ中心主義は、15世紀から17世紀の大航海時代に始まる。
(ウィキペディア)
「15世紀から17世紀の大航海時代」というと、ローマ・カトリックが世界中に宣教師をおくっていた時期と重なる。
大学で歴史を学んでいたイギリス人が、この背景には「Eurocentrism(ヨーロッパ中心主義)がある」という話をしていた。
「ヨーロッパ人は世界の中心にいる」
「自分たちが信じているキリスト教の教えは最高のものだ」
そんな考え方から、ヨーロッパ人は世界の人たちにキリスト教を”押しつけ”ていたという。
インドに「世界でもっとも巨大で豪華なお墓」と呼ばれるタージマハルがある。
インドを植民地支配していたイギリス人をこれを見て驚いた。
「こんなすごいものをインド人がつくれるはずがない。これはきっと、ヨーロッパ人が設計にかかわっていたにちがいない」と彼は思いこんでしまう。
今となっては「インド人をあんまディスるなよ」というところだけど、当時のヨーロッパでは、この話を信じていた人はたくさんいた。
大学で歴史を専攻した先ほどのイギリス人にこの話をしたところ、彼女は「Eurocentrism(ヨーロッパ中心主義)」という単語を使っていた。
「ね?ヨーロッパ人ってえらそうでしょ?バカでしょ?『アジア人がそんなにすぐれたものをつくれるはずがない。それはヨーロッパ人のしわざに違いない』っていう発想をするのよ。Eurocentrismの考え方ね」
タージマハルの話については、くわしいことはここを見てください。
1493年に設定された「植民地分界線(教皇子午線)」は、そんな「Eurocentrism(ヨーロッパ中心主義)」を象徴している。
この当時、ポルトガルとスペインが海外の領土をめぐって争っていたから、ローマ教皇アレクサンデル6世が、いまのブラジルのあたりから東をポルトガルに、その西をスペインに与えた。
ローマ教皇が勝手に地球を東西に分割したこのラインを、「植民地分界線(教皇子午線)」という。
カトリックの頂点に立つローマ教皇なら、世界を2つに分けることができるという、現代からすればごう慢な考え方はまさにヨーロッパ中心主義。
南アメリカ上に記した教皇子午線(右側)。
翌年のトルデシリャス条約によって、西寄りの線に置き換えられた(左側)。
画像:Tzzzpfff
「自分たちは世界の頂点にいる。だから、地球を好きなように分けることができる」というヨーロッパ人の発想は、「えらそう」を超えていて、ふさわしい言葉が見つからない。
さすがカトリック(普遍的)。
これによって、スペイン人は西(中南米)へ向かってそこを植民地にした。
ポルトガル人は東(インド、東南アジア、東アジア)へ向かった。
日本に初めて来たヨーロッパ人はポルトガル人。
これは「たまたまポルトガル人だった」ということではなくて、この教皇子午線が関係している。
今回はここまで。
次回は、日本が外国に価値観を”押しつけた”話を書いていきます。
キリスト教の宗派の違い⑦ 1517年の宗教改革、ルターの「信仰」
タチが悪い事に こうした西欧人の多くは善意、正義感、理想、を持って彼らの価値観を押しつけようとすること。 (ベルリン在住 10年、友人、知人の多くは西欧人です。)
本人は正義や誠意と思っているから面倒ですね。
アジアやアフリカでの植民地支配も大して悪いと思っていないでしょうし。
西欧人といっても大きく分けて保守的な人とそうでない人々がいますよね。 前者は基本的に非文明人を蔑んでいる様なところがあるのでkokontouzaiさんがおっしゃるように植民地支配を悪い事とはおもっていないでしょう。 ただ私が話題にしたい西欧人、私の友人でもある西欧人は非保守的で、教養と知識のある人々です。
彼らはむしろ西欧人が行なってきた植民地支配等に対する罪悪感を強く持っていて(ドイツ人においてはさらに強烈)、その反動による過剰な理想主義と言えると思います。第二次世界大戦においてドイツにおけるナチス と日本の軍事主義を最大悪と考え
るような発言をよく耳にします。他の国々と同様に日本もまた西欧列強国の権力争いに巻き込まれたという重要な事実を見逃しています。さらに環境問題、人種差別、イスラム圏を代表とする女性蔑視などを過剰に批判しますが、西欧の価値観とは違う価値観が存在する事を前提にして世界を見る能力が絶対的に欠けている様に思います。さらに日本に於いていえば、世界のなかでも特殊な文化、社会、モラル、そして精神構造を持っており、それを彼らが理解することは不可能に近いと感じる今日この頃です。
長々と書いてしまって申し訳ありません。ヨーロッパでの生活も10年以上になり、近頃よく考えているテーマだったので。
まず保守的な人間には知識と教養がないというご認識ではないと願いますが、ヨーロッパで植民地支配に対して国家として正式に罪を認めて謝罪・賠償した国はあるでしょうか?
インドネシアに対してオランダが、インド、ミャンマー、マレーシア、最近では香港に対してイギリスが謝罪したという話は聞いたことがありません。
去年、フランスがアルジェリアに対して、植民地支配当時の「蛮行」に対して謝罪しましたが、それだけでも大騒ぎとなりました。
くわしくは産経新聞の記事(2018.9.16)をご覧ください。
「仏大統領、旧植民地独立派の拷問「国家責任」認める 「汚い戦争」の事実解明は「歴史家に」懸念も」
ヨーロッパの国は民主主義国家ですが、その民意が反映された政治で植民地支配を謝罪したという例を知りません。
個人的な感想であれば人それぞれです。
植民地支配については私も関心がありましたので、本を読んだり欧米人に話を聞いたりしてきましたが、植民地支配は現在の価値観からすれば悪ですが、100年も前のことについて個人的に責任を感じている人はひとりもいません。「父の罪を子に負わせてはいけない」というキリスト教的な価値観を話す人もいました。
ドイツについてはホロコーストについて罪悪感を持っていますが、植民地支配に対してはどうでしょう?
たとえばナミビアやニューギニアに謝罪したかどうか。
そして日本はホロコーストのような行為をしていないので、ドイツとは違います。
戦争犯罪についてはすでに裁かれて、かつて統治していた台湾とも現在はすごく良好な関係を保っています。
日本は外国に植民地のように支配された経験がないため、世界のなかでも特殊な文化、社会、モラル、そして精神構造を持っているでしょうね。
それで日本は海外から、なかなか理解されないと思います。日本はもっと自国の文化や価値観を世界にアピールしたほうがいいです。