韓国が日本に歴史認識を押しつける理由。その善意が迷惑デス

 

10年ぐらい前、韓国のソウルに行ったとき、50代の日本語ガイドと一日行動をともにした。

その韓国人は日本人の女性と結婚して、ソウルに住んでいた。

ボクが「庶民的な雰囲気を味わえるところに行きたいです」とリクエストすると、そのおっさんは「じゃあ、広蔵市場(クァンジャンシジャン)に行きましょう」と言う。

広蔵市場には食堂や屋台がところ狭しと並んでいて、座る場所を見つけるのがむずかしいほど、たくさんの人がいた。
おしゃれ感はゼロだけど、活気はあふれている。

ちなみに、韓国の情報サイト「コネスト」にはこう書いてある。

行き交う人々、韓国語のかけ声、目に飛び込んでくる様々な珍しい商品・・・市場の雰囲気こそ、韓国旅行の醍醐味の一つ!そんな韓国の市場の活気が最もよく感じられると多くの人から支持されている市場が「広蔵市場」です。

広蔵市場

広蔵市場

 

この社会の吹き溜まりのような、いやいや、気さくな雰囲気のなかで、50代のおっさんとマッコリを飲みながら、つまみを口にほうり込む。

そのうち酔いが回ってきたせいか、聞いてもないのに、ガイドが歴史認識の話をはじめた。

「韓国と日本の歴史問題はね、日本が心から反省して謝罪したら終わるんです。首相が謝っても、すぐに別の政治家が変なことを言うからダメなんですよ。それじゃあ、本当の謝罪になってないんです」

そんな話をする。

「よく客にそんなことを言えるもんだなあ」なんて思いながら、ガイドの話に耳をかたむける。
ついでに言うと、首をかしげてしまうような話もしていた。
「少女が日本人に誘拐されて、慰安婦にされたあげく虐殺された」とか。

 

 

どこかで聞いたことのある話ばかりで、新鮮味はない。

でも、このときの話でよく覚えていることがある。

「国が違ったら、考え方や見方も変わってあたり前だと思います。なのに、なんで韓国は、日本に韓国の歴史認識を押しつけてくるんですか?」

こんな感じで、わりとズバッと聞いてみた。
顔を赤くしたガイドが言う。

「私はね、日本人が大好きなんです。妻が日本人ですから、今までに何十回も日本に行ったことがあります。日本人の知り合いもたくさんいます。みんな、すごく親切で良い人ばかりですよ。韓国人は、日本人に見習わないといけないところがたくさんあります」

「この酔っ払い、オレの質問をしっかり聞いてたのかな?」と思いつつ、話を聞く。

「だから、日本の人たちがかわいそうなんですよ」

は?

「日本の人たちは、悪い政治家や教育者に間違った歴史を教えられているのです。だから、本当の歴史を知らないんです」

もう一度、は?
何言ってくれてんの、このおっさん。
頭からマッコリ飲みませるぞ。

「善良な日本人がかわいそうなんです。だから韓国人が真実を伝えないといけなんです」

 

 

ガイドの話はこんな感じだ。

心のやさしい誠実な日本人は、悪者に“洗脳”されていて、本当の歴史を知らない。
だから、韓国人が”善意”で真の歴史を伝えてあげないといけない。

”義務”のような気持ちもあるらしい。

韓国による歴史認識の押しつけは、日本人にとっては嫌がらせでしかない。でも韓国人からしたら、日本人のためを思う誠意の表れでもある。

こういう発想は知らなかったから、印象に残っている。
ただ、そういうのを日本語で、「ありがた迷惑」「無用の親切」「余計なお世話」「小さな親切大きなお世話」と言うのだけど。

 

 

でも、韓国人の言動をみていると、このガイドが言ったことはけっこう当たっていると思う。

「日本人は悪いヤツらにだまされて間違った歴史認識を持っているから、自分たちが本当の歴史を教えないといけない!」と、わりと本気で思っている韓国人は、けっこういるような気がする。

 

たとえば去年、こんな理由で日本にやって来た韓国の大学生がいた。

レコードチャイナの記事(2017年8月18日)から。

「日本の若者に正しい歴史を教え、謝罪を受けたい」韓国の大学生が日本中を回ってフリーハグ

 

記事のタイトルのままだけど、韓国の大学生が、日本人に正しい歴史を教えると同時に、日本人から謝罪を受けるために日本へ来た。

こんな理由で海外旅行をする人間が韓国人以外にいるだろうか。

この大学生たちは動機をこう話している。

3人は自転車の旅を始めた理由について「今後の日本を引っ張っていくのは若い世代だが、彼らの多くが慰安婦問題を知らない、または間違った知識を持っている」とし、「正しい歴史を教え、“謝罪の抱擁”を受けるため」と説明した。

 

基本的な発想は、ボクが話を聞いた50代のガイドと同じ。
「正しい歴史を教え」るだけではなくて、「“謝罪の抱擁”を受けるため」という部分は、むしろ症状が悪化している。

これを「ド迷惑」と言わずに何と言うのか。

これ以上の内容はこの記事をご覧ください。

「日本人に正しい歴史を教え、謝罪させたい」と言う韓国人と出会ったら?

 

 

いったいどうやったら、こんな発想をする大学生ができあがるのか?

と思ったら、韓国社会では、上にいる人間も似たような考え方をしていた。

中央日報の記事(2018年03月22日)から。

韓国の金相坤(キム・サンゴン)社会副首相兼教育部長官が、日本の高校学習指導要領改訂草案の独島(ドクト、日本名・竹島)歴史わい曲問題に関連し、日本側に是正を要求した。

韓国教育副首相、日本に独島わい曲是正要求したが…「安易だ」評価も

 

「竹島は日本固有の領土です」と日本の学校で、教師が児童生徒に教える。

「あたり前」以外の言葉が見つからないのだけど、韓国側からしたらそれは歴史のわい曲で、日本の教師は間違ったことをしていることになる。
言ってみたら、子どもは歴史わい曲の”犠牲者”だ。
だから韓国が日本に言って、誤りを改めさせるという。

 

このニュースに対してネットの反応は、ほぼ反感しかない。

・内政干渉するな
・心配するな。日本の教科書には独島という用語はないから。
・国際司法裁判所に提訴するのが一番早いと思うよ
・真実の歴史にいちゃもんとは・・・。 竹島は日本固有の領土です。
・なんだよ独島って?

 

 

日本も竹島を自国の領土と主張するけれど、韓国の教育には、直接口を出さない。
日本の政治家が「歴史わい曲問題に関連し、韓国側に是正を要求した」という報道を見た記憶がない。

日本の歴史認識に合わせて、韓国の教育を変えさせるようなことを言わないだろう。

でも、中央日報の記事を読むと、韓国の大学教授はこう言っている。

「日本の歴史わい曲を正すためには韓国政府がもう少し強く対応する必要がある」と述べた。

 

こんな感じに、韓国は一線を簡単に超えて、日本に要求してくる。

ここまであたり前のように言われると、問題はむしろ、日本にあるような気もする。

 

日本語ガイドは、「善良な日本人がかわいそうなんです。だから韓国人が真実を伝えないといけなんです」と言った。
大学生は、「彼らの多くが慰安婦問題を知らない、または間違った知識を持っている」から、正しい歴史を教えるために日本へやって来た。

「日本は歴史わい曲を改め、正しい歴史を教えないといけない」と言う韓国の教育副首相や教授も、基本的な発想は同じだろう。

韓国が日本に歴史認識や価値観を押しつけてくるのは、悪意はなく、本当に善意のつもりかもしれない。
それが一番迷惑なことなんだけど。

 

 

 

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2 件のコメント

  • 韓国人が善意でやってることなんて全く知らなかった!!
    新しい目線を知ることができました。有難う。でも…解決しないね。
    韓国と日本の歴史どちらが間違ってるのか、周辺諸国の歴史資料も照らし合わせて検証したら良いのに。
    自国の情報ばかりで判断して押し付けるなんて幼稚過ぎる。

  • コメントありがとうございます。
    「自分たちの歴史が正しい。でも、日本政府はウソを伝えている」という考えから、一般の人が気の毒だという発想は出てきます。
    個人的にもそんな韓国人に何人か会ったことがあります。
    相手は善意のかたまりなので、かえって困ってしまいます。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。