先週、知り合いとメシを食った。
そのときヤツがこんなことを聞いて驚がくしていた。
「今では絵の具やクレヨンで、『肌色』って色はないんだよ」
「ええっ!マジで?肌色はなくなったんだ」と目を大きくして言う。
彼は今年で35歳。
そうか、この世代の人でも肌色消滅を知らないのか。
「肌色」と一言でいっても、世界には黒人も白人もいる。
日本人の肌の色だけが肌色ではない。
それで「肌色」という言葉は差別的だということで、この色名は使われなくなった。
ネットを見たら、肌色という言葉は2000年のあたりからなくなっている。
かつての肌色はいま「うすだいだい」とか「ペールオレンジ 」なんて呼ばれている。
英語版ウィキペディアで「肌色(Human skin color)」の項目を見たら、こんな画像があった。
確かにすべて肌色だ。
時代が変われば、人々の考え方や認識も変わる。
海外旅行をしていてもそれは感じる。
むかし「スチュワーデス」と呼ばれていた人はいま「CA」になっている。
スチュワーデスは女性乗務員のことだから、この言葉は性別を決めつけてしまうことになる。
それで性差のない「キャビンアテンダント (Cabin Attendant)」とか「フライトアテンダント(flight attendant)」といった言葉が使われるようになった。
このように「差別や偏見のない政治的に中立・公平な言葉遣い」のことをポリティカル・コレクトネス(PA:political correctness)という。
いわゆるポリコレ。
ポリティカル・コレクトネス(political correctness)
人種・宗教・性別などの違いによる偏見・差別を含まない、中立的な表現や用語を用いること。米国で、偏見・差別のない表現は政治的に妥当である、という意味で使われるようになった。言葉の問題にとどまらず、社会から偏見・差別をなくすことを意味する場合もある。
デジタル大辞泉の解説
このポリティカル・コレクトネスの考え方にもとづいて、いろいろな言葉が言い換えられるようになった。
ビジネスマンはビジネスパーソンになった。
ポリスマンはポリスオフィサーに。
キーマンはキーパーソンに。
カメラマンはフォトグラファーに。
ポリティカル・コレクトネスの考え方からすると、「マン(男)」という言葉がマズい。
「アンパンマン」もポリコレにひっかかる可能性があるらしい。
さすがにアンパンマンやスーパーマンを問題視する人はごく一部の人だけだろうけど。
クレヨンや絵の具に肌色があった時代の人なら、学校で「1492年、コロンブスがアメリカ大陸を発見した」と習ったと思う。
でも今では「発見する(discover)」はNGワード。
コロンブスたちヨーロッパ人が来る前から、アメリカ大陸には人が住んでいた。
それを「発見する」というのはヨーロッパ人を中心とする見方で、ポリティカル・コレクトネスの観点からよろしくない。
そういうことで、今の学校では「到達する(reach)」などの言葉を使っている。
では、「もともとアメリカ大陸にいた人たち」の正しい呼び方は何か?
ボクはむかし学校で「インディアン(インド人)」と習ったのだけど、これはポリコレ的にマズイ。
それでしばらく前に、「ネイティブ・アメリカン(アメリカ先住民)が正しい言葉だ」と聞いた。
でも最近、アメリカ人がこんなことを話していた。
「ネイティブ・アメリカンでもいいけど、それを問題視する人もいる。だから『ファースト・ピーポー』という言い方をする人もいる」
このアメリカ人意見では「ファースト・ピーポー」がいいらしい。
「黒人」はどうか?
黒人の正しい呼び方や英語は何か?
”政治的に正しい”黒人の呼び方もむずかしい。
「Black」という言葉についてウィキペディアにこう書いてある。
人種・民族においては、黒人を指す「Black」がアフリカ系アメリカ人を意味する「African American」に置き換えられた。
でもこれはアメリカの話。
イギリス人に話を聞いたら、「黒人はブラックでいい」と言う。
BBCなどのイギリスメディアも黒人を「Black」と呼んでいるらしい。
そもそもイギリスにいる黒人はジャマイカから来た人も多い。
だからイギリスの場合、黒人を「African British(アフリカ系イギリス人)」と呼ぶことはできないという。
ポリティカル・コレクトネスによって、日本でもいろいろな名称が変わった。
看護婦は看護師に。
助産婦は助産師。
保母は保育士。
痴呆症は認知症。
ここまでのことは知っていた。
けど最近では、「お母さん」や「お父さん」という言葉まで”差別用語”になっていると知って驚いた。
「日本のポリコレもここまで来たか」と。
次回、そのことを書いていきます。
アメリカのポリティカル・コレクトネスの考え方では「メリークリスマス」という言葉も適切ではない。
それで最近、公共の場では「ハッピーホリデーズ」と言うことが増えている。
日本では「蒙古」という言葉もポリコレ的にNGワード。
そのことについては、こちらの記事をどうぞ。
こちらの記事もどうぞ。
最近ポリコレは、当事者の考え方に関係無く一人歩きしている気がする。例えばインディアン。彼らの中では‘インディアン’という呼称に否定的でない人も多く、逆に‘ネイティブアメリカン’とエスキモーやハワイ先住民と一緒くたにされるより、‘アメリカンインディアン’と呼ばれた方がいいという人も数多くいる気と聞いています。
そうなんです。
アメリカ人に話を聞くと、アメリカ先住民には「インディアンがいい」という人もいるそうです。
自分はアメリカ人とは思ってなく、先住民はヨーロッパ人に差別されてきた存在だから「インディアン」という呼び方がふさわしいと考える人もいるとか。
人の意識によって変わるから、これはむずかしいです。
気になって黒人について調べてみました。黒人自身(混血・アフリカ系以外も含む)がどう呼ばれたいか?ウィキペディアによると1位がブラックで約44%、次いでアフリカ系アメにリカ人が約28%らしいですね。黒人の方と話す機会があったとして「ニガー」さえ使わなければあまり意識する必要はないんじゃないですかね。相手が気分を害したなら、「ごめんなさい。知識があまりないもので。」で許される程度の事だと思います。
ニガーは絶対ダメ。メジャーリーガー新庄がコーヒー飲んで「苦っ!」と言ったら、黒人のチームメイトに殴られそうになったとかならなかったとか・・・
アメリカ人やジャマイカ人の黒人の人と話す機会があったのですけど、「ブラック」で問題はなかったですね。
その人と自分の距離が大切ですけど。
仲が良かったら、神経質になる必要はないと思いますよ。
ニガーはマズいです。
新庄さんの話は初めて聞きました。
そういうことが起こりそうなオーラを持ってますね。笑。