ラーメンの”ラー”の意味って?日本人のやさしさから生まれた。

 

最近、インターネットの掲示板に、どっかのラーメン好きがこんな質問をした。

「家系ラーメン食べるのやめられた人いる?
友達に勧められてからやめたいんだけどずっとやめられない」

年齢や健康を考えたら、ラーメンとは適切な距離感をとった方がいい。
頭ではそう分かっているけれど、胃袋が許してくれない。
日本人らしい悩みだ。
ただ、この質問の場合は、別の系列のラーメン屋へ行けばいいのでは? という気もするけれど。

さて、日本の国民食であるラーメンの「ラー」の意味って何だろう?

 

 

中国語の「拉(ラー)」は「引く」という意味だから、「手で引き伸ばしたメン」ということで拉面(ラーメン)という名前ができた。

昔、中国人の日本語ガイドからそう聞いたのだけど、NHKの番組『チコちゃんに叱られる!』 によるとそれは違うらしい。
ラーメンの「ラー」は、「おかみさんの優しさから生まれた」という。

日本でラーメンは明治時代に登場し、大正時代に全国へ広がっていった。
でも、そのころは、「しなそば」と呼ばれていた。
この「支那(シナ)」という言葉には問題がある。

日中戦争のときなど戦前戦中、日本人は中国を「シナ」、中国人を「シナ人」と呼んでいた。
この言葉には中国人への蔑視や侮辱が込められていたから、いまの中国人は「支那」という言葉をとても嫌う。

友人の中国人はこんなことを言っていた。

「ボクは旭日旗より、『支那(シナ)』という言葉のほうが嫌いです。理由は中国のテレビです。ドラマでよく、日本兵が中国人をバカにして『シナ』と言っていました。それを何度も聞いたから、旭日旗よりこの言葉のほうがイヤですね」

たとえ悪意がなくても、いまの日本でこの言葉は使わない方がいい。
テレビで「支那」は放送禁止用語になっているし、政治家が公の場で使うことはあり得ない。

このことは前回書いたので、くわしくはこちらをどうぞ。

中国人の嫌いな「支那(シナ)」。日本での使用やNG理由

「支那」にはこんな背景があるから、中国人の彼は日本で「支那そば」という文字を見ると不快になってしまう。

 

友人の台湾人が日本に来たとき、これを見て「なんですかアレは?」と嫌そうな顔をした。

 

中国のラーメンは味が薄いし、麺はうどんに近い。

 

大正時代、北海道大学の前で食堂をやっていたタツさんという女性も、「シナ」という言葉が気になっていた。
北海道大学に通う中国人留学生がよくその店に来ていたからだ。
当時、その食堂には「肉絲麺(ロースーメン)」という人気の麺料理があった。
これは店の中国人が作っていたのだけど、日本人の客は「ロースーメン」ではなく「支那(しな)そば」と言う。

それを中国人が聞けば当然イヤな気持ちになるから、おかみさんはそのことに心を痛めていて、「支那しなそば」とは別の言葉を考えていた。
そのころ店では、中国人シェフが料理をつくると「好了!(ハオラー:できたよ)」と言っていた。
これを聞いたおかみさんは、ある日「『ラー』って響きがいいな」と思ったことから、ロースーメンが「ハオラーメン」に変わり、さらに「ラーメン」になった。

日本人客もこの「ラーメン」という言葉が気に入る。
それで日本人も中国人も「ラーメン」と呼ぶことで、店から「しなそば」という言葉が消えていった。

それで、『チコちゃん』では、「ラーメンの『ラー』はおかみさんの優しさから生まれた」という。
その後、ラーメンという言葉が週刊誌やテレビCMで取り上げられるようになって、全国的に広がったという。

ただ、この番組では、「ラーの由来には、拉(ラー:引く)という説もある」とも紹介していた。
ラーの由来にはいくつか説があるけど、ここでは「おかみさんの優しさ説」を推したい。
ちなみに1958年(昭和33年)に作られた「チキンラーメン」とともに、「ラーメン」という言葉が日本で広がったといわれる。

 

日本を代表する芸術家で美食家の「北大路魯山人(きたおおじ ろさんじん)」という人がいる。

この人は伝説的な人物で、マンガ「美味しんぼ」の海原雄山のモデルにもなった。
北大路魯山人は「食器は料理の着物」なんてことを言う。
「ボールはともだち」みたいな。

とにかくその魯山人は、料理をつくることで大事なことは、知識ではなく愛情だと強調している。

実際、料理 といいますのは、好きでつくるというのでなくてはなりません。それが趣味であります。 ただ知って美味くつくるという知識だけではなく、温かい愛情で楽しみながらやるという気持であります。

「日本料理の基礎観念  (北大路 魯山人)」

こんなことからも、ラーメンのラーの由来は、やっぱり「おかみさんの優しさから説」を推したい。

 

後日談

この記事を書いた後、札幌市北区がHPで、ラーメンの命名について説明しているのを見つけた。(札幌の味、そのふる里をたずねて-竹家のラーメン
それによると、麺を引き伸ばすことから、「拉麺」と書いてラーメンと読ませたことが主な理由で、「好了(ハオラー)」の発音は二次的な理由になっている。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。