前回、韓国が「我々が手を握るべき日本人」の代表格・鳩山由紀夫さんのことを書いた。
鳩山さんに対する韓国の思いは、この中央日報のコラム(2015年08月17日)に込められている。
日本には安倍首相と右翼だけが存在するのではなく、常識が通じる良心勢力が少なくないという事実だ。
安倍首相の談話騒乱の前に見られた重要な場面がある。柳寛順(ユ・グァンスン)烈士が投獄された西大門(ソデムン)刑務所を、12日に訪問して謝罪した鳩山由紀夫元首相(68)だ。
日本では「宇宙人」と呼ばれている人が、韓国では「常識が通じる」人になる。
玄界灘の向こうには、異世界が広がっている。
鳩山氏が韓国から「良心的」と呼ばれるのは、記者会見でこんなことを言う人だから。
「日本は過去の過ちに対して謝罪の気持ちを持つべきで、韓国人が受け入れるまで謝るべきだ」
くわしいことは前回の記事をどうぞ。
ちなみに、この言葉を聞いた韓国の人たちはどう思ったか?
レコードチャイナの記事(2018年10月3日)を見ると、韓国のネットでは歓喜と称賛がわき上がっている。
訪韓した鳩山元首相「日本は韓国が納得するまで謝罪を」=韓国ネットから称賛の声
「正しいことを話す日本人」
「アジアのリーダーとしての素質がある」
「もう一度日本の首相になってほしい」
「彼のような精神を持つ日本人が増えてくれたら」
「日本国民からは支持されていないことが残念」
「彼の姿勢を安倍首相に見習ってほしい」
「アジアのリーダーとしての素質がある」はナイスジョーク。
でも「もう一度日本の首相になってほしい」は笑えない。
改めて思う。
玄界灘の向こうは、外国ではなく異世界だ。
ここからはアジアのリーダーは関係ない。
「日本は韓国人が受け入れるまで謝るべきだ」という言葉に歓喜する韓国社会のこと。
3か月ぐらい前、レコードチャイナにこんな記事(2018年7月11日)があった。
「日本の植民地支配を謝罪したい」=修学旅行で毎年韓国を訪れる日本の高校が話題
韓国メディア「インサイト」が、修学旅行で韓国をおとずれた日本の高校を取り上げた。
これは智辯学園グループの学校で、修学旅行の理由に韓国人が注目した。
それが記事のタイトルにある「過去の日本の植民地支配を謝罪したい」というもの。
というところで、ちょっと待ってほしい。
これはあくまで韓国側の受け止め方だ。
智辯学園のホームページには、修学旅行の目的について「国際理解」「若者との交流」「国際人としての資質」と書いてある。
智辯学園と韓国側の考え方が一致しているかは分からない。
この学校の修学旅行は、まったく関係ない写真を使われて「土下座旅行」と攻撃されたことがある。
くわしいことはホームページの説明をどうぞ。
この記事は韓国側の理解にもとづいて書いていく。
でも、この学校の修学旅行が、韓国との結びつきが深かったことはたしかだ。
生徒が韓国に行って学ぶことは、前理事長の故・藤田照清氏がはじめた。
中央日報の記事(2009年04月26日)で、藤田氏はその理由をこう話している。
「当初の韓国旅行は日本文化の根源を見るためだった。 飛鳥文化の中心である奈良の文化が韓国から伝来したことを生徒に見てほしかったからだ。 しかし修学旅行を続けながらの植民地時代35年間の日本の蛮行を知ることになった。 その後、韓国への修学旅行は贖罪の旅行になった。 決心もした。 少なくとも35年は贖罪する気持ちで修学旅行を続けなければいけないと。 」
ボクとしては、いまの日本が韓国に謝罪する必要はないと思っている。
でもそう書くと、こんな小さなブログにも、「いや、それは間違っている。日本は謝るべきだ」というコメントが絶えない。
今でもそう考えている日本人は多いらしい。
上の記事について言えば、これは前理事長の言葉で、現在の学園がどう考えているかは分からない。
いまの日本の学校で、韓国への謝罪旅行なんてできないだろう。
でも、韓国にはそれを期待する空気がある。
例えば、2008年から2013年まで大統領をしていた李明博氏は、こんなことを計画していた。
ソウル南山に建設されるユースホステルに日本の修学旅行生を誘致して竹島(韓国名・独島)領有権や日帝(いわゆる「日本帝国主義」の韓国での呼称)の残虐性について学習する機会を設ける計画を考案。
マジかよ!
大統領がこんなことを考えていたのかよ!
とビックリしたけど、これは韓国の常識には合っている。
日本の高校生に謝罪させることはないとしても、「正しいことを教えてあげる」ぐらいのことは考えるだろう。
日本の立場からしたら「反日教育」だけど、韓国では「国際理解」や「国際人としての資質」となるはず。
日本の高校生を呼んで、領土問題や歴史認識問題で韓国側の主張を聞かせたい。
韓国による修学旅行生の誘致には、そんな目的があったことは間違いないだろう。
でも、今はないと願いたい。
願っているけど、不安がある。
韓国へ修学旅行に行って、いろいろな文化を楽しむことはいい。
古代から日本とのつながりがあるから、歴史を学ぶこともできる。
でも、政治は一切抜きでお願いしたい。
そういうのが面倒くさかったら、台湾に行けばいい。
この記事を書いていて、ソウルでお世話になった日本語ガイド(50代男性)を思い出した。
何がきっかけか忘れたけど、一緒にジャージャー麺を食べていたとき、ガイドが「正しい歴史」を話し出した。
日本は数万人の韓国人女性を連れ去って性奴隷にした。
その中には少女もいたし、集団で虐殺された人もいた。
その他にも、いろいろな”日本の蛮行”を聞かされた。
「なあアンタ、TPOって知ってるか?」と思ったけど、それ以前に、これらの話には根拠がない。
でも、この韓国人ガイドは「日本人が知らないといけない歴史」と力強く言う。
それは韓国がよく言う歴史わい曲なんだけど。
話の内容より、ガイドが話をした理由に驚いた。
この人は100%の善意から、ボクに歴史を教えたかったらしい。
「私は日本人が大好きです。日本人はとても誠実でルールを守ります。でも日本人は、政府から間違った歴史を教えられたから、正しいことを知らないんです。それがかわいそうだから、いま私があなたに話をしました」
神父のような目でそう言う。
これは一種の布教活動だと思う。
それよりこっちは、お金を返してほしい気分だったのだけど。
こんな話を聞かせることが「国際理解」や「国際人としての資質」と本気で考え、善意や義務感から日本人に伝えたい韓国人は多いと思う。
「私の話は絶対に正しい」と、宗教的な情熱をもって歴史を語る韓国人は、他にも会ったことがある。
でも、修学旅行ではノーサンキューだ。
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