「パリは燃えているか?」というのは、1966年に公開された有名な映画のタイトル。
第二次世界大戦中、パリはナチス=ドイツによって占領されていた。
フランスのレジスタンスがナチスと戦って勝利し、パリを解放するという興奮と感動の熱い物語だ。と、観たことない人間がえらそーに書いている。
この映画から約50年が過ぎたいま、パリは燃えていた。
でも今度はフランスの政府と国民の戦いだ。
「燃料税を引き上げる!」と宣言したマクロン仏大統領にフランス国民が大反発。
反マクロンのデモはフランス全土に拡大する。
デモの参加者は約14万人で、逮捕された人は1700人を超えた。
抗議デモはやがて暴徒化し、高級ブランド店が襲われたり放火がはじまったりした。
TBSニュース(12/10)から。
パリではクリスマスシーズンに多くの店が休業を強いられ、経済への影響が懸念されています。
大規模デモから一夜明け、略奪や放火など被害明らかに
「燃料税を引き上げる」という言葉が燃料になって大炎上。
一刻も早くデモを鎮静化させたい、はずのマクロン大統領は新しい燃料をぶち込んでしまう。
軽油やガソリンを買えないのなら、「電気自動車を買えばいい」と言ったという。
くわしいことはジャーナリストの木村正人氏の記事(12/4)を見てほしい。
「エリートが地球の終わりを語る時、僕たちは月末に苦しんでいる」仏・黄色ベストは何に怒っているのか
フランスで電気自動車は最低でも2万ユーロ(約260万円)かかるという。
こんな庶民感覚からかけ離れたことを言うから、パリが燃えてしまうのだ。
「電気自動車を買えばいい」と言ったマクロン仏大統領はいま、「現代のマリーアントワネット」なんて言われている。
18世紀のフランス、食べ物がなくなって「パンをくれ!」と抗議していた民衆に、王妃マリーアントワネットが「(パンがなければ)お菓子を食べればいいじゃない」と言ったといわれている。
*実際はマリーアントワネットの言葉ではないらしい。
このあとフランス革命によって、マリーアントワネットと夫の国王ルイ16世はギロチンで首をはね飛ばされた。
この言葉についてはここをご覧あれ。
このニュースにネットの反応は?
・パンがなければマカロンでも食ってろ
・バンがなければクーペを買えばいいじゃない
・出た!ギロチンフラグ頂きました!
・アントワネットを憑依できるのは宜保愛子だけと思ってたが
・はい、デモ拡大決定
・さすがフランス、マクロンのアントワネット発言炸裂だな
庶民には電気自動車が高くて買えない
・300年の時を超えてまたギロチン革命が興るのか
・わざと煽ったとしかw
・マクロンもいいところはあるんだけどな
毛糸洗いに自信が持てたり
マクロン大統領はちょっと前にも、庶民の気持ちを軽視するような発言をして国民からたたかれていた。
フランスAFPの記事(2018年9月18日)
求職中の若者に対し、レストランの仕事や建設業など求人需要が高い業種なら簡単に見つかると助言し、無神経だと批判を受けている。
失業者への「マリー・アントワネット的発言」で炎上、マクロン仏大統領
求職中の人に「私ならあの通りを渡れば、きっと君に仕事を見つけてあげられる」と言ったことで、「庶民を見下している」「感覚がかけ離れている」なんて批判された。
処刑直前のマリーアントワネットの様子
「民衆の気持ちが分からない貴族」とか「民衆の心を逆なでする政治家」というのはいつの時代にもどこの国でもいるし、多くの人の共感を集める。
マンガやアニメでは憎悪を集めたあげくに倒される大事なキャラクターでもある。
日本では、1950年(昭和25年)に池田勇人元首相(当時は大蔵・通産大臣)が「貧乏人は麦を食え」と言ったとして大騒ぎになった。
“貧乏人は麦を食え発言”をやったときには、委員会が騒然となり、「放言だ!」「重大問題だぞ!」と声が上がり、池田叩きのネタをつかんだ新聞は「またやった!」と大喜びした。
当然このあと、池田氏はぶったたかれた。
これはいまで言う「炎上」だ。
この言葉にはいくつか解釈があるけど、一般的には、「菓子を食べればいいじゃない」と同じく国民感情を無視した発言と受けとめられている。
庶民の気持ちが分からなくて、炎上発言をしてしまう政治家はいつでもどこでもいる。
そして、その言葉をとらえてぶったたくマスコミや国民も。
でもマスコミの場合は、喜びつつ攻撃しているはず。
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