安倍首相の“戦略的無視”に韓国メディア猛反発。首相の真意は？

１月28日、安倍首相が国会でおこなった演説に韓国が衝撃を受けた。
韓国や日韓関係について、何も言わなかったから。

この「韓国無視」に、中央日報はこんな記事（2019年01月28日）を載せた。

安倍氏、施政演説から韓国関連の部分はまるごと抜いた

これは朝鮮日報の記事（2019/01/28）

安倍首相の施政方針演説から「韓国」消える

これまでの演説では日韓関係がうまくいってなくても、韓国を「最も重要な隣国」とか「未来志向の協力関係」と前向きなメッセージは出していた。
なんだかんだ言って韓国は隣国で、無視できない国だったから。
でも、今回は無慈悲にスルー。
時事通信も、「主要韓国メディアは一斉に「意図的な無視戦略」（京郷新聞）などと報じた」と韓国側の反発を伝えている。

日本でも翌日の新聞各紙でこの演説を取り上げていた。
安倍首相の「韓国無視」を日本のメディアはどうみたのか？

毎日・日経・産経・読売新聞の社説には、そのことが書いてない。
「演説から「韓国」消える」と韓国メディアは大騒ぎになっていたけど、日本のメディアは問題視していない。
日本の首相に続いて、メディアからも無視されたわけだ。

でも安心してほしい。
全国紙では唯一、朝日新聞が社説で首相の“韓国軽視”を取り上げ、「両国関係が困難に直面しているからこそ、大局に立った首脳のメッセージが必要ではないのか」と批判していた。
困った時の友が真の友。
韓国が朝日新聞を「日本の良心勢力」と呼ぶ理由がここにある。

余談だけど、朝日新聞の韓国愛は本物だ。
それは、新井浩文容疑者の報道にもあらわれている。

女性に性的暴行を加えたとして逮捕されたこの人物を、読売・産経・毎日新聞は「朴慶培（パク・キョンベ）」と本名を明らかにしている。
けど、朝日新聞だけは「新井浩文」のまま（２月４日現在）。
ちなみにNHKも「新井浩文、本名パク・キョンベ（朴慶培）容疑者（40）」と報道している。
こうしてくれないと、ボクのようにこの俳優を知らない人間が朝日新聞の記事を見たら、この事件を日本人による犯行とかん違いしてしまう。
配慮や気づかいも分かるけど、読者が誤解しない報道をしてほしいっす。

さて韓国メディアが指摘したように、安倍首相が「意図的な無視戦略」をしたことは間違いないだろう。
韓国のことは原稿に書いてあったけど読むのを忘れた、ということはあり得ない。

朝日新聞は、首相が韓国について何も言わなかったのは、「『韓国は未来志向的ではない』以上、（演説に韓国を）書きようがなかったため」と報じている。
安倍首相にも韓国への思いはある。
この演説のあと、１月30日に首相は国会でこう話していた。

「朝鮮半島出身の労働者問題（徴用問題）をはじめ、今まで日韓両国が築き上げてきた関係の前提すら否定するような動きが続き大変遺憾だ」

「政府としては国際法にもとづき毅然と対応していく。主張すべきは主張し、韓国側に適切な対応を求めていく」

結局いまの首相の口からは、韓国に対する批判しか出てこない。
だから韓国側を刺激して日韓関係をこれ以上悪化させないために、安倍首相は演説で何も言わなかったのではないか？

安倍首相の「韓国スルー」には韓国への配慮という側面があったと思うのだけど、あの国にその思いは通じなかった。

ハンギョレ新聞は「無責任」と怒りをあらわす。（2019-01-29）