「いま、世界で一番かわいそうな区長はこの人しかいない」
ちょうど一年前、そんなことを記事で書いた。
それは韓国釜山市東区のパク区長のこと。
この地区に、運悪く日本総領事館があって、反日団体が領事館前に慰安婦像(韓国では少女像)を建ててしまった。でもこれは違法行為。
だから区長は法にもとづいてこの像を撤去する。
すると反日団体、大激怒。
ほかの国民からも通常業務ができなくなるほどの抗議を受けて、区長はこの違法造形物の設置を認めてしまった。
「いやいや区長、アンタは法を守って正しいことをしたのだから、不法者に膝を屈してどうすんの?」という言葉は安全な日本でなら言えることで、韓国社会でそれは無理。
法より情を優先する国、「反日無罪」の原則にもとづいて違法行為が正当化される国で、法は頼りにならない。
実際、韓国中から激しくたたかれた区長はこのあと、世間にたいして謝罪した。
法を守った人間が頭を下げて、無視した側は勝利宣言をする。
つまり、法治国家の常識が通用しないのだ。
韓国政府は区長1人に責任を押しつけて、救いの手をさしのべなかった。
法を順守したら、国民から非難されて政府には無視される。
反日の前では法が放置されるのだ。
釜山・日本総領事館前の慰安婦像
韓国では「平和の少女像」と呼ばれているけど、この像が設置されたことで具体的に達成された平和というのを聞いた記憶がない。
むしろ混乱や摩擦をまねいている。
一難去ってまた一難。
不幸というのは友だちを呼ぶらしい。
法が国民感情に負けて慰安婦像が建てられたあと、今度はそのとなりに徴用工像を建てようという運動がはじまって、反日団体が像の設置を予告した。
法にしたがうなら、区長はこの像を撤去しないといけない。
でも、「国民感情(反日感情)」という絶対神がおさめる国で、そんなグローバルスタンダードはあまりに無力。
「設置を認めるべきか、撤去するべきか?」
究極のハムレット状態におちいったパク東区長は、地元紙との電話インタビューで苦しい胸の内を明かしている。
「法が国民感情に勝つことはできない」
「少女像のように設置を防ぐ手立てがない」
「この問題は外交部が解決しなければならない。地方自治体には力がない」
「昨年、少女像を撤去したところ、東区が激しい袋叩きに遭ったではないか。(労働者像を不法に設置しても)絶対に前回のように撤去することはできない」
上のコメントは中央日報の記事(2018年04月20日)から。
釜山自治体長「国民感情には勝てない」…強制徴用労働者像の設置の可能性高まる
この区長に石を投げれられる人間がいるだろうか?
ボクは慰安婦像の設置には反対だけど、法も政府も頼りにならないのだから、区長には防ぎようがない。
これはどう見ても東区の問題ではなく日韓の外交問題で、韓国外交部(外務省)が対応するべきだった。
「世界で最も気の毒な区長」という言葉になんの誇張もない。
これほどの問題を解決できるなら、この区長が次の大韓民国大統領になるべき。
せめて韓国政府はパク区長に「反日手当て」を出しておげてほしかった。
そしてこの騒動から1年後、また韓国で正義が負けてしまった。
反日感情に法が屈してしまう出来事がおきた。
上の騒動のあと、けっきょく徴用工像が釜山の日本総領事館前に設置されることはなく、別の場所に置かれた。
くわしい過程ははぶくけど、この像は日本総領事館前近くの歩道に設置されていた。
もちろん不法、言うまでもなく違法行為だ。
今度は釜山市が動いて、市長がこの像を撤去してしまった。
これは遵法精神にもとづく行為で、完全に、360度どこから見ても釜山市長は正しい。
でも、それをすると負けてしまう国があるらしい。
徴用工像を建てた団体のメンバーが大激怒。
大挙して市役所へ突入しようとし、警察や市の職員約200人ともみ合いになった。
朝鮮日報の記事には「釜山市庁舎は同日夜まで叫び声と小競り合いが続き、修羅場と化した」とある。
ちなみに釜山市側は、「違法な集会・占拠に当たる」と声明を出して、デモ隊に出て行くことを求めたけど、かえってデモ隊怒らせてしまった。
無力なもの、汝の名は法律なり。
このデモ隊(反日団体)は日本総領事館前を「抗日通り」と名づけようとしたというから、もう手が付けられない。
くわしいことは朝鮮日報の記事(2019/04/15)をどうぞ。
やりたい放題の民労総「釜山の日本領事館前を『抗日通り』に」
違法行為を「正義」と叫び、それに反対する人間がいたら怒鳴りつけて、自分の正義を執行する。
こんな団体を相手にする韓国の区長や市長には、心から同情申し上げる。
一度でも像を撤去したという事実に、線香花火ほどの希望を見た思いだ。
法律を守ることより、「間違った過去を清算する」という反日行為がより上位の正義と認識されている国で、東区長や釜山市長はよくがんばったと思う。
もし像が建てられたら、日本政府がその代償を韓国全体にあたえばいい。
「法が国民感情に勝つことはできない」という区長の悲鳴どおり、正義はまた負けた。
朝鮮日報の記事(2019/04/17)
市民団体に白旗上げた釜山市、撤去の労働者像を返還
市長が一度撤去した像を市民団体に戻すと発表する。
そして市長は、「市民、労働者の皆さんに心配をかけたことを謝罪する」と公開の場で頭を下げた。
違法の反日団体側は、「官と民が手を取り合って民族の自尊心のために一つになった事例は韓国全土で釜山しかない」と記者会見で勝利宣言をおこなう。
朝鮮日報は正義の味方でこう書いている。
外国領事館周辺に労働者像を設置するのは法律に違反しているのはもちろん、韓国も批准している「外交関係に関するウィーン条約」にも反している。
市民団体に白旗上げた釜山市、撤去の労働者像を返還
法の側にいる人間が謝罪し、国内法と国際法に違反する人間が勝ち誇る。
そんな国が日本の近くにあるらしい。
でも、これはいくら何でもやり過ぎだ。
「反日無罪」がまかり通る国とはいえ、ここまでメチャクチャだと、さすがに良心的なマスコミは不安になってくる。
朝鮮日報は社説(2019/04/19)でこう怒りをあらわした。
法を執行した釜山市長が無法者に謝罪、こんな国がほかにあるのか
いや、ないっしょ?
像を撤去した市長は敗北し、市民団体は「4日間にわたる違法行為の成功を祝った」という。
朝鮮日報はこんな大韓民国の惨状をなげく。
労働者像を撤去したのは国として当然やるべき行為だった。ところが法律を執行した釜山市が違法行為者に謝罪し膝を屈した。世の中にこんな国があるだろうか。
いや普通はない。
こういう無茶や無法が現実になってしまうのは、いまの韓国がおかしくなっているのは、やっぱりトップが悪い。文政権の責任を指摘する。
なぜこんな事態になるのか到底理解できない。世界のどこの国でも見られないこの現象は、単に民労総のためだけではないだろう。法律の上に君臨する民労総の権力を事実上傍観し放置してきた公権力の責任が大きい。
この出来事は衝撃的で、中央日報も社説(2019年04月19日)で天下無法の市民団体を非難している。
国民選挙を通じて選ばれた国家・地方権力が一部の勢力を代弁する労働権力に無力にひざまずくことがたびたび起きている。
民主労総の無茶に押されて崩壊する法と原則=韓国
法の上に情があって、反日無罪で違法行為も正当化される。
こんな背景がある限り、「世界のどこの国でも見られない現象」はこれからも続く。
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