【涙で見えない】中国人の反日感情を破壊した「おしん」の力

 

いま、「おしん」の人気が復活しつつあるらしい。
「NEWSポストセブン」の記事(2019.04.22)によると、35年前のこのドラマに令和時代の若者がハマっている。

朝ドラ『なつぞら』絶好調だが『おしん』にハマる若者が続出

1983年~1984年に放送された「おしん」は平均視聴率52.6%、最高視聴率は62.9%を記録したという日本のテレビ史上最強のモンスター番組。

いまBSプレミアムで「おしん」を再放送しているのだけど、これが“おもて”のNHK連続ドラマ「なつぞら」と同じくらい、またはそれよりも面白いという人が続出中という。
くわしいことは上の記事をどうぞ。

 

上のヤフコメにあるように、「おしん」はアジア圏で壮絶な人気を誇った。
海外デビューはシンガポールで、「おしん」に感動した駐日シンガポール大使がぜひ国内の人たちにも見せたいということで、1984年に海外では初めてシンガポールで放送された。
これが視聴率80%というメガヒットを樹立。
このあとタイやアメリカ、中国などでも放送されるようになった。

たくさんの海外領土を持っていて「太陽の沈まない国(=365年24時間、どこかの領土では日が昇っている)」と呼ばれた大英帝国を上回る規模で、「おしん」は世界中で放送された。
明治~昭和の激動の時代、耐えられないような苦労とともに生きたおしんの姿に多くの外国人が涙した。
日本のテレビドラマで、これほど海外で愛されたものはない。
「オシンドローム」という言葉を生んだ「おしん」は、もはや日本ドラマのラスボスだ。

そういえば、1983年に来日したレーガン大統領は国会で「日本にはおしんの精神がある」と発言したことも話題になった。
いまの若い人たちが「おしん精神」にふれることは本当にいいことだ。
原作者の橋田壽賀子さんは、おしんの「しん」には「信じる、信念、心、辛抱、芯、新、真」といった意味があって、「日本人は豊かになったが、それと引き換えに様々な『しん』を忘れてしまったのではないかと思って名付けた」と言っている。

 

 

さて、ここから話は中国ですよ。

ボクの海外旅行デビューは中国で、それから何回も中国には行っている。
その間、中国人から何度か「おしんを見た」という話を聞いた。
そのレビューは高評価しかない。
「良かった・涙が出てきた・前が見えなくなった」のどれかだ。
たしかに小林綾子さんの演技には何かがのり移っていた。
まあ、ボクは小林綾子さんの大学の後輩なんだけどね。と、まったく価値のない情報を挿入してみる。

中国旅行でお世話になったガイドが、日本語学習をはじめた理由のひとつに「おしん」があったと話していた。
*漢字の国・中国では「阿信(アーシン)」。
それまでその中国人は、貧しい農家に生まれて、寒さや貧困を背負いながら必死に生きる日本人を知らなかった。
明治~大正~昭和の日本といえば、「中国を侵略した残酷で野蛮な軍国主義の日本」というイメージしかなかった。
そんな暗くて陰鬱な印象を「おしん」が一変させる。
まあ「おしん」も暗くて重いのだけど、それに耐えて前にすすむ少女の姿に中国人ガイドは釘付けになった。
これはむかしの中国人にも重なるらしい。
7歳のおしんが働きに出るために家から離れるとき、いかだに乗ったおしんが遠くに行く場面が忘れられないと言っていた。

その人は「おしん」を通じて、あの時代の日本人も自分たちと同じ人間だったことを初めて知ったという。
明治から昭和初期、愚かな政治家のために、多くの日本人も苦しんでいた。
ふつうの日本人は中国人と同じく、軍国主義の“犠牲者”でもあったのだ。

これはこの中国人ガイドの感想で、それ以上のものではない。
でも本人にはこの感動は絶対で、まわりの中国人にも「おしん」を見るようすすめた。知人友人の中国人でも、涙で画面が見えなくなった人がいた。
これもこの中国人個人の意見だけど、「あれで中国人の反日感情は確実に減少した」と断言する。少なくとも、その中国人にあった反日感情のかたまりを破壊したことが日本語ガイドをめざすきっかけとなった。

とはいっても、いまになってみれば、「じゃあ、2012年の反日暴動は何だったんだ?」と思ってしまうのけど、「阿信」がなかったら、もっとひどいことになっていたかもしれない。

「おしんに涙腺を壊された」という中国人の話はそのあとも何回か聞いたから、「おしん効果」によって日本への憎しみが軽減した中国人は多いと思う。

 

 

きょう韓国メディアの中央日報にこんな記事(2019年04月22日)があった。

中国に旭日旗掲げた自衛隊艦艇入港…日中関係改善をアピール

中国が開催する国際観艦式に参加するため、日本の自衛隊艦船が青島の港にはいった。
旭日旗をかかげたままで。
韓国とは正反対だ。
きょねん韓国が国際観艦式をおこなったとき、「戦犯旗(旭日旗)は認められない」と言い出して、日韓でモメにモメて、結局日本は式への参加を断念した。
その半年後にコレですよ。
韓国が「軍国主義の象徴」と断固拒否した旗を中国は受け入れた。
韓国にも中国にも反日感情はあるけど、いまの中国は韓国ほど熱くはない。
この背景にも「オシンドローム」があるかもしれない。

というのは、中国・台湾・香港で「おしん」は放送されたけど、韓国だけはなかったから。
日本統治時代のトラウマから「日本語放送が禁止されていた(いまも基本ダメ)」という背景があるのだろうけど、韓国としては「国民には、明治~昭和初期の日本人に感動してほしくない」という事情があったのかもしれない。

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。