5月16日に日本初の肉食禁止令!で、いま外国人が困ることは?

 

きょう5月16日は何の日か?

いまから約1350年前、日本初の「肉食禁止令」が出た日ということは、日本人なら誰もが知る事実だ(という話は聞いたことがない)。
日本書記によると、675年5月16日(旧暦だと4月17日)に、天武天皇が肉食を禁じる命令(詔)を出したとある。
といっても今も昔も日本人は「期間限定」が大好きで、この肉食禁止令は4月1日から9月30日までの半年間と定められていた。
それも対象はウシ・ウマ・イヌ・ニホンザル・ニワトリの五畜といわれていて、すべての生き物が守られたわけではない。
といっても「上に政策あれば、下に対策あり」で、なんだかんだ言って肉を食べていた人もいただろう。

この禁止令には神道の影響もあると聞いたけど、殺生を禁じる仏教思想の影響のほうが大きいでしょ。
それに4月1日から9月30日なんていったら、日本ではむかしから農作業がはじまるときだから、そのときは牛や馬の力が必要になる。
「牛肉は食べない」というインド人やタイ人は多く、その理由のひとつに、田畑を耕す牛は食用と見なさなかったことがある。

 

その後の日本で、肉食文化に大きな変化をあたえたのが江戸時代の徳川綱吉だ。
綱吉の出した「生類憐みの令」では、犬が「お犬様」と呼ばれて異常なほど大切にされていた。
だから犬食なんてもってのほか。
ということは、そのときまで日本人は犬を食べていたことになる。事実、ふつうに食っていた。
日本人の犬食文化を一変させたのが徳川綱吉だった。

これらの犬喰いの事例は、いずれも生類憐み令以前のことで、元禄時代以降、今日まで犬喰いの習慣は日本にはない。社会の価値観変化の一例である。

「詳細 日本史研究 (山川出版)」

海外では「食べていいもの/ダメなもの」は宗教によってきめられることが多いけど、日本では政治がきめてしまう。

 

日本の歴史をみると肉食の文化は全体的に少なくて、福沢諭吉が書いた「福翁自伝」には、幕末の大阪では牛肉を食べられる店(牛鍋屋)は二軒だけとある。
天下の台所・大阪でさえ、それだけしなかなかったのだ。
それにこの店も西洋文化の影響でできたかもしれない。

日本人の肉食を根底から変えたのが明治政府で、福沢諭吉が好きだった牛肉をはじめとして、国民にいろんな肉を食べさせる「肉食キャンペーン」を全国的に展開した。
「肉だ。肉を食え。肉肉肉、肉を食うんだ肉を」とさかんにすすめる。

でも日本人を変えたのはやっぱり天皇だった。
明治5年に明治天皇が初めて牛肉を食べたことが新聞に大きく取り上げられて、一般国民も肉を食べるようになる。
天皇という存在は日本人の行動基準になるのだ。

 

そして令和のいま、外国人に日本で困ることをきくと、「ベジタリアンには日本は本当にツラい」とよく言う。
この前会ったイギリス人は、イギリスでは法律によって、レストランはベジタリアン料理をメニューに加えておかないといけないと言っていた。
そのイギリス人はベジタリアンで、日本では自分が安心して利用できるレストランは少ないし、「野菜サンドウィッチ」と書いてあるのになぜかベーコンがあったと言う。

去年、ベジタリアンの台湾人と京都旅行をしたときも、彼らの旅の第一条件というか、絶対条件は「肉を食べない」で、これを中心に旅のプランがきまった。

西洋の影響で本格的に肉を食べ始めた日本はいま、世界屈指の肉食大国になっていた。
そのことは、大阪で牛肉を食べられる店が何軒あるか調べたらわかる。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。