前から、「プールにイルカを閉じ込めることは残酷だ!」とイルカショーに反対する人たちがいることは知っていた。
街中でそんなプラカードを持って抗議している集団も見たことがある。
具体的にはここをクリック。
「海の生き物を水槽に入れないで!イルカショーに行かないで」キャンペーン
こうして街頭で反対の声を伝えるのならいい。
でも、和歌山県の「アドベンチャーワールド」で起きたことはNG。
この施設でイルカショーをしていたら、ヨーロッパ人の男女2人がプールに飛びこんでショーを妨害してしまった。
当然、2人は警察に逮捕された。
産経新聞にその記事(2017.10.22 )がある。
イルカショーで観客席からプールに飛び込み、「太地でイルカを殺すのを止める」などと書かれたプラカードを掲げてショーを中断させ、施設の業務を妨害した疑い。
2人は「エンターテインメントのためにイルカが利用されていることに抗議したかった」などと動機を話しているとか。
この行為に対して、インターネット上では批判一色。
・イルカ「仕事の邪魔すんじゃねーよボケ」
・イルカも怖かっただろう
・突然縄張りを荒らされたイルカさんの気持ちは
・こんなこと言ってたら競馬場にも乱入しなきゃね
・何でイルカだけなんだろう
・自分の国だけでやって欲しいね
・人間がプールに持ち込んだ雑菌でイルカ死ぬぞ
・欧州文化が絶対だと考えてる
自分が動物を大事に考えているのはいいし、それを伝えることもいい。
でも、それを他人に押しつけてはいけない。
ましてや、自分の主張のために他国の法律を犯すなんて、話にならない。
ただ、このイルカショーに飛びこんだのは「欧米の文化」によるものではなく、彼らが「ヴィーガン」だったからだろう。
肉を食べない人は、「ベジタリアン(菜食主義者)」と言われている。
この言葉は日本でもわりと知られている。
でも、「ヴィーガン」はどうだろう?
この言葉を知らない人は多いと思う。
ベジタリアンには、「動物や魚は食べないけど、卵やチーズならOK」という人もいる。
でも、ヴィーガンとなると、卵やチーズもダメ。
バターやはちみつも口に入れない。
ヴィーガンについて、ウィキペディアにはこんな説明がある。
「ヴィーガン」という言葉は、「酪農製品を食べない菜食主義者」を表すために、1944年にイギリスにおいてヴィーガン協会の共同設立者であるドナルド・ワトソン(英語版)によって作られた言葉である
ヴィーガンとベジタリアンの違いには、「ヴィーガンは酪農製品も食べない」ということがある。
また、ヴィーガンはベジタリアンに比べて「動物愛護」の気持ちが強い。
「ゼクシィキッチン」の記事にこう書いてある。
ヴィーガンという生き方の根底にあるのは動物愛護の精神であり、ここが健康志向から生まれたベジタリアンとの大きな違いなのです。
ウィキペディアによると、アメリカでは人口のうち1.4%、イギリスでは1.0 – 1.6%がヴィーガンである。
酪農製品を食べないというのは、ヴィーガンの人たちが動物をとても大切に考えているから。
ヴィーガンは「動物を守りたい」という気持ちがとても強く、動物を使った製品も使わない。
欧米で、裸になって毛皮製品に抗議する人たちが時どきニュースになる。
あの人たちがヴィーガンだ。
ふつうのベジタリアンなら、毛皮に抗議することはないだろう。
ヴィーガンは、世界中で「毛皮反対!」のデモをおこなっている。
裸になってデモをするのは勝手だけど、日本人のボクの感覚からすると、「それはやり過ぎじゃね?」と思ってしまうものもある。
例えばこのデモだ。
2008年1月27日に、スペインのバルセロナで、日本ではあり得ないような衝撃的な抗議活動がおこなわれた。
まず全裸になる。
そして血をイメージする赤い塗料を体に塗りたくる。
そうした男女が数十人(100人以上かも)が、地面によこたわっている。
日本じゃたぶん逮捕案件。
その画像はこのAFPの記事から見てほしい。
スペインのバルセロナ(Barcelona)のカテドラル前で27日、動物愛護団体「Anima Naturalis」が動物の毛皮を使ったコートの生産に反対し、「skinless(「皮なし」、毛皮を使うなの意味)」のスローガンのもと、裸で抗議活動を行った。
抗議活動だから、できるだけたくさんの人に見てもらわないと意味がない。
ここは有名な「カテドラル(教会)」で、大勢の人が行きかうところらしい。
日本でこんなデモをやっても、共感は得られないだろう。
ただ、ヴィーガンにも、いろいろな考え方や主義がある。
今までに何人かのイギリス人のヴィーガンに会ったことがあるけれど、自分の考えを押しつけるような人は1人もいなかった。
むしろ、そうした独善的なヴィーガンを嫌っていた。
ちなみに、ボクはベジタリアンでもヴィーガンでもない。
ハンバーグも焼肉も大好きです。
人間が肉を食べるために、牛や豚が殺されていることは知っている。
でも、誰が何を食べるのかは本人の自由。
「動物愛護」の精神はいいけれど、自分の価値観を他人に押しつけるのは、迷惑でしかない。
ましてや、他国の法を破ってまで主張するなんてあり得ない。
でも、「自分のしていることは正しい」と思いこんでいる人には、一般常識がなかなか通じない。
イルカショーのプールに飛びこんだ人は別として、外国人と接する機会があるのなら、ヴィーガンという人たちがいることや彼らの考え方を知っておいたほうがいい。
インド人にも、ヒンドゥー教の考え方からヴィーガンの人が多い。
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