「缶コーヒー」とかいう、世界でもユニークな日本文化

 

ジョイフルでランチを食べながら、イギリス人から日本のコンビニについて話を聞いた。
それでこんな記事を書いてみた。

イギリス人と日本のコンビニ②2つの不満、規則とモッタイナイ

このイギリス人と話をしているとき、缶コーヒーを英語で何というかたずねたら、ちょっと考えて「カンコーヒー」と言う。
そうか!英語でも缶コーヒーはカンコーヒーなんだ!ってそんなわけねえだろ。
英検2級だってわかるわ。
でも、イギリスには缶コーヒーがないから、英語で何というかよくわからないらしい。
イギリスのどこかにあるかもしれないけど、彼女は見たことがない。
アメリカに行ったときもオーストラリアに行ったときも、缶コーヒーなんて見なかったという。

そういえばニュージーランド人も「日本に来てはじめて缶コーヒーを見た。あれは便利だ」とか言ってたな。
コンビニ、スーパーに自動販売機と、日本ならどこにでもある缶コーヒーというものは、世界的には珍しいのかもしれない。

英語版ウィキペディアを見たらビンゴ。
「Canned coffee (缶コーヒー kan kōhī) is ubiquitous in Japan」と、缶コーヒーは日本のユビキタス(そこらへんにある・どこにでもある)とある。
そして缶コーヒーは和製英語で日本の発明だったらしい。

Canned coffee is a Japanese innovation, and the term kan kōhī is wasei-eigo: the English-language term “can coffee” was created in Japan.

Canned coffee

 

この日本人の発明が世界でどう見られているかというと、「The Voice of Vietnam」の記事 (2014年11月4日)には「世界のベスト・ドリンク10」の1つとして紹介されている。

The top 10 list was rounded out by Kaffeost of Finland, Kan Kohi of Japan, Café des épices of Morocco, Café Lagrima of Argentina, Turkish Coffee of Turkey, Cafe del Olla of Mexico, Café au lait of France, Cafe Bombon of Spain, and Espresso Romano of Italy.

Egg coffee makes world top 10 best drink list

 

トルココーヒー、フランスのカフェオレ、イタリアのエスプレッソといえば間違いなく世界的に有名なコーヒーだ。
そこに日本代表の「Kan Kohi」がある。
でも、ここにこれを並べていいのか?
フィンランド、モロッコ、アルゼンチンのコーヒーは飲んだことないけど、缶コーヒーよりは上だろう。
この結果を一番不思議に思うのが日本人のような気がする。

でも缶コーヒーという飲み物が世界でもユニークなことは確か。
缶コーヒーの普及には自動販売機が欠かせないけど、日本と同じレベルでそこら中に自動販売機がある国は他にないのではないか。
缶コーヒーだけではなくて、日本では自販機もユビキタス。

それにアイスコーヒーという飲み物が世界的に定着したのもけっこう最近のようだ。

「アイスコーヒー」という文化がスターバックスで成功するまであまり馴染みがないためでもあった。アメリカでは、コーヒー豆をミルで挽いた粉状のもの(レギュラーコーヒー)を缶詰にしたものを「Can Coffee」と呼ぶ(⇒和製英語)。

缶コーヒー

ベトナムコーヒー

 

「MATCHA」という英語メディアの記事(2016.10.14)では、日本のユニークなコーヒー文化について説明している。

Love Coffee? Experience Japan’s Unique Coffee Culture

ここでもやっぱり缶コーヒーは日本以外では人気がないと書いてある。
缶コーヒーのほかに、アイスコーヒーやモーニングコーヒーが日本のコーヒー文化として紹介されている。
「coffee lovers should try while in Japan」と、コーヒー好きならぜひ飲んでみるべきだと。
そういえば、インド人がコメダ珈琲のモーニングの質の高さを絶賛していたのを思い出す。
さらにいえば、きょねん来たインド人旅行者は、自動販売機に熱い飲み物と冷たい飲み物が同時にあったのを見て衝撃を受けていた。

さて日本の缶コーヒーについて上の記事には、ブラックやカフェオレがあることに触れたうえで、これが日本人の生活の一部になっていることが書いてある。

When you are commuting or at work and feel like drinking coffee but are too busy to stop by a coffee shop, canned coffee is the thing for you. Also, it’s very affordable – one usually costs around 120 yen.

 

通勤や仕事で忙しく、コーヒーショップに寄る時間がないときに缶コーヒーはちょうどいい。
それに120円ほどと値段も手ごろ。
これは勝手なイメージだけど、海外ではこんなに忙しくコーヒーを飲まないと思う。
インド人はチャイとおしゃべりはセットと言っていたし。
日本のコーヒー文化として缶コーヒーが生まれた背景には、自動販売機がそこら中にあるほどの治安の良さと、ゆっくりコーヒーを飲むひまもないサラリーマンがいた。

それとこれはオマケだけど、この記事によると日本は世界4位のコーヒー消費国だ(coffee consumption in Japan ranks 4th in the world)。
文化が生まれる第一条件がこれで、広い範囲で愛されているものじゃなかったらその国の文化にはならない。

 

 

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2 件のコメント

  • 缶コーヒーは、ハッキリ言うと、Japanese coffee で通じるくらい海外では日本産の名物飲料として知られています。
    元々、中東(トルココーヒー等)やイタリア(エスプレッソ)からヨーロッパ全域に普及した段階では、コーヒーと言えばドロッとした少量の苦み主体(時として、プラス砂糖の甘さ)の濃い飲み物であるのが普通でした。
    これが、米国において、焙煎して挽いた豆をフィルター上にたっぷり乗せて、大量のお湯を注いで透明感のある飲み物(しかも砂糖をドバドバ入れて清涼飲料のような甘い味)としたのが、American coffee です。つまり、American coffee って、一部の年配日本人が誤解しているように、お湯を注いで薄めたコーヒーのことじゃないのですよ。ブランデー(←ちょっと昔に American が流行りました)とは違うので。)
    で、そのようなAmericanとEuropeanのコーヒーの違いを話題にしていた日本のTV番組で、司会者が、「ではJapanese coffee ってどういうコーヒーと思いますか?」って出演中の外国人に聞いたところ、満場一致で「それは缶コーヒーだ!」って言ってました。同じような経験が私自身、海外でもあります。それくらい日本の発明品として世界中で缶コーヒーは有名です。

    海外で缶コーヒーがあまり普及しない理由については、おそらく、清涼飲料水やミネラル・ウォーターなんかと違って、コーヒーは「カフェでゆっくり飲むもの」「職場で一服しながら飲むもの」的な感覚があるんじゃないかな。

  • 貴重で有益な情報をありがとうございます!!
    缶コーヒーは「Japanese coffee」と言われるほど、日本的な飲み物なんですね。
    いままでいろんな国に行きましたが、気づきませんでした
    コーヒーは「カフェでゆっくり飲むもの」という考えには同感です。
    外国では、分刻みのスケジュールでコーヒー片手に何かをするイメージがありませんから。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。