英語はもはや日本人の天敵。
2年前のイギリスBBCの記事でも、日本人の英語力のなさを指摘している。(29 March 2017)
Japan turns to Basil Fawlty in race for Olympic English
日本人の英語の”ダメっぷり”を示すため、この記事ではTOEICの結果をあげている。
48カ国中、日本は堂々の40位。
2017年の英語能力指数(EF EPI)をみても、1年前の「標準的」から「低い」に転落した。
そんな日本人を見て、BBCはこう疑問を投げかける。
So why is learning English so difficult for the Japanese?
「日本人が英語を習得するのは、なんでそんなにむずかしいのか?」
日本人もその原因を議論するのは大好きだ。
数十年前から雑誌や新聞、テレビ番組でこの話題を取り上げている。
上の記事ではその理由として、まず英語を教える教師の力不足を指摘。
日本人が日本語で英語を教えているし、文法や語彙、作文に多くの学習時間が当てられている。
だから全体的にみれば、日本人が英語で話す機会は少ない。
コミュニケーションのコンサルタント会社に所属していて、東京五輪招致に携わったこともある外国人の専門家はこう話す。
“As a result, many Japanese are much stronger at reading and writing than they are at speaking.”
結果として、多くの日本人は話すことより読み書きの方がずっと強い。
これがテストのための英語学習、いわゆる受験英語で、その弊害はずっと前から指摘されていた。
日本の英語教育は、議論は盛んだけど現状はあんまり変わってなさそう。
日本人は英語を話せないけど、読んだり書いたりすることはできる。
20年ぐらいまえエジプトを旅行中に、これと同じことを宿のエジプト人スタッフからも聞かされた。
「今夜、ここに泊まることができますか?」ぐらいの簡単なやり取りならいいけど、ツアーの申し込みなどで日本人の客と英語で話をするのはかなり大変と言う。
日本人の英語はたどたどしいし、文を考えながら話すからすごく時間がかかる。でもって、その英語発音もエジプト人の彼には理解がむずかしい。
ちなみにその宿は安宿だから、宿泊客の日本人は大学生が多かった。
「他の国の旅行客と比べて、日本人の英会話能力は際立って低い」ということは当時のエジプト人のホテルスタッフの間では常識だった。
でも、日本人は文句を言わないし部屋をきれいに使うから、客としてはありがたいとも言う。
でも、日本人はなぜか書ける。
そのホテルにの泊まった感想を英語と日本語でノートに書いてほしいと頼むと、つたない会話からは想像できないほどうまい英文を書くことができる。
当時のエジプトの旅行会社やホテルの関係者の間では、「日本人はエジプト人を相手にしない。日本人は日本人しか信用しない」と考える人が多くて、ボクもホテルのレビューを頼まれた。
そのときに大学受験で覚えた英単語を書いたら、「オレはこんな単語を見たことがない。よくこんなむずかしい言葉を知っているな」と感心されたことを覚えている。
他の日本人客も受験英語で覚えた単語をよく使うらしい。
「こんな単語わかるか?」とそのエジプト人が疑問に思うようなものでも、日本人に見せると理解できるという。
エジプト人から見ると、日本人はあきれるほど英語を話せないのに、感心するほど正確に書くことができる。
20年ほどまえのことだけど、この点はいまも変わっていないと思う。
そのエジプト人スタッフは英語を話せるけど書けない。
これはいまのボクも同じで、外国人と話す機会が増えたから、以前に比べれば英語を話せるようになったけど、書けなくなってしまった。
たとえば「水曜日」の「Wednesday」というスペルを忘れたから、いまは「Wed」と書いている。
「外国人」も「フォーリナー」とは言えるけど、「foreigner」という単語は頭から消えた。
いまは知人の外国人とメールするときは、「gaikokujin」か下手したら「gaijin」と書いている。
話を先ほどのエジプト人にもどすと、彼の使う英単語や文法のほとんどは、日本の中学校でならうレベルだった。
あの英語能力では日本の大学には受からない。
でも日本の大学生だったら大学受験には受かることができても、エジプトの宿でフロント業務をすることはできない。
けっきょく英語を学ぶ目的が違うから、のびる能力も違うのだ。
“As a result, many Japanese are much stronger at reading and writing than they are at speaking.”
こうは言っても、試験に受かるために英語を学習するのなら、きっと状況は変わらない。
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日本人はなぜ英語ができないのか?理由は簡単です。生きていくのに英語なんか必要ないからです。
海外へ行くと痛感するのですが、例えば東南アジアだと、ローカル言語しか使えない人はその国の中で(主にブルーカラーとして)しか働き口がありません。それが、宿泊、観光、航空、多国間ビジネスに関わるようになれば必ず英語が必要になるのです。英語ができないと、その手の仕事ができない。ちなみに技術系専門職でもこれは同じで、日本には日本語の理工学系専門図書が山のようにありますが、アジアの他国ではそうではなく、英語か、もしくは日本語からの翻訳本しかないのです。韓国なんか、数学・理科のテキストから受験参考書に至るまで、元ネタはほとんど日本語からの翻訳本ですよ。
EUも実は同じで、いま英国は脱退を図りつつありますが、その反面、EUの標準語は完全に英語です。したがって、ヨーロッパで多国間ビジネスに関わる場合は英語が必須なのです。あのフランス人だって最近は英語を使うビジネスマンが多い。
多民族・多言語国家であるインドも同じ。英語ができなきゃインド全域では仕事ができない。中南米でも全く同じです。スペイン語だけじゃ、米国相手の商売には不十分。
英語が使えなくても国内で支障なく生活できて、かつ、1国内で相当に大きなビジネス・経済圏を廻していける、そんなごく例外的な事情が、日本人の英語下手の原因になっています。
もちろん、日本人でも仕事や生活で英語を必要とする人はいます。ただしそういう人は実は非常に少数。そもそもTVや新聞で英文・英会話を目にすることが日常的にありますか?普通の人はないでしょう。
最近、やたらと教育関係者が「英語、英語」と若い人達をたきつけるのは、ちょっと皮肉な見方をすると、「英語ができるようになって外国を相手に働いて稼いでこい、我々年寄は国内でゆっくりさせてもらうから」という身勝手な考え方の現れだとも言えます。(そんな事を言ってるあんたら学者・先生たち、自分は英語使えるの?)
たしかにそれはありますね。
日本では英語ができなくても仕事はありますし、生活に困りません。
インドのように多言語の国で共通語としての英語も必要ありません。
ある意味、恵まれているから英語を身につける必要性が少ないのでしょう。