【外国人とNINJA】リトアニア人が想像する忍者はこんな人たち

 

いまや世界で「NINJA」といえば桜やサムライと同じく、日本の代表的なアイコンとなっている。
とくに日本にいる外国人にとって忍者は常識で、ボクが会った外国人で忍者を知らない外国人は一人もいなかった。
でもイメージは人それぞれで、歴史上の忍者の話をする人や「ナルト」の思い出を語り始める人もいる。

このまえリトアニア人と話をしていたとき、突然「ニンジャ」という単語がでてきておどろいた。
でもその話をするまえに、日本での知名度はかなり低いリトアニアという国を簡単に知っておこう。

この地図では北海道の横にある。

 

面積:6.5万平方キロメートル(北海道が約8.4平方キロメートル)
人口:281.0万人(2018年)
ビリニュス(人口約53万人)(2017年)
言語:リトアニア語
宗教:主にカトリック

リトアニア共和国(Republic of Lithuania) 基礎データ

 

リトアニアは1940年ソ連に併合されて、1990年に独立した新しい国。
リトアニア人と話していたのもソ連との独立革命(戦争)で、これは日本では歴史好きの人しか知らないような出来事だけど、世界史にあたえた影響は大きい。
このときの勝利がソビエト連邦崩壊につながったのだから。

でもKGBの特殊部隊も送りこんだソ連軍は強く、はじめリトアニア側はかなり劣勢に立たされていた。
くわしいことはここをクリック。

1月13日

・1時50分、戦車および兵士がテレビ塔を守備する市民に発砲、また戦車が市民の列に列に突入。13人が死亡。ソ連軍兵士の一人が味方の発砲で死亡。
・2時00分 ラジオ・テレビ局を襲撃。生放送中のテレビが中断される。最後の映像はカメラに向かってくる兵士の姿だった。

リトアニア独立革命

ソ連軍の戦車に立ちはだかる市民
手にしているのはリトアニアの国旗(1991年1月13日)

 

そのリトアニア人もテレビ局の襲撃と占拠のことを話していた。
この独立革命のとき、森にこもって、そこを拠点にソ連軍と戦ったリトアニア人の集団がいたという。
「ふんふん」と話を聞いていると、突然「彼らはニンジャだ」と言いだす。
「え?」と思ってなんでそれが忍者なのか聞いたら、彼らは森林に隠れていて、正規の軍隊ではないけど戦う集団だから「ニンジャ」になるという。
このリトアニア人にとって忍者とはそういう人たちのことをさす。

でも、森にこもっていてソビエト軍と戦えるのか?という疑問はあったけど、アメリカ軍が50万の大兵力をもってしてもベトナム戦争には勝てなかったのだから、森林にこもってゲリラ活動をおこなうというのはかなりやっかいな相手かもしれない。

 

 

続いて、その忍者のイメージはどうやってできたか聞いたら、「君が言ったじゃないか」と言う。
そういえば以前、滋賀県の甲南PAに行ったときにそんな話をしたのを思いだした。

深い森に囲まれたこのへんは甲賀流忍者のふるさとで、ふだんは農業や各種商品を売り歩く行商をしているけど、命令が下ると戦地へ向かう。
それが忍者だ。
といっても、一言で忍者といっても場所や時代によっていろいろ違うから、くわしいことはWikipediaで調べてほしい。ニンニン。

世界唯一の忍者の公式組織「日本忍者協議会」のウェブサイトにはこんな説明がある。

伊賀・甲賀地方は京都にほど近く、まわりを山という天然の要害に取り囲まれていることもあり、大名勢力が弱い一方自治が発達し、一揆を形成して武装していた。

忍者とは?

 

甲賀流忍者は薬の知識があって、薬を扱う技術にもすぐれていた。
いまでも甲賀に製薬会社が多いのはこの名残といわれる。

 

ボクの話を聞くまで彼は、忍者というのは暗殺専門のトレーニングを受けた人たちのことだと思っていたらしい。
このとき「アサシン」という言葉をつかっていた。

元々の意味合いとしては、重要な人物を殺害した人物または団体を指す言葉である。歴史の文脈では the Assassins は11世紀から14世紀、大シリアにおいて十字軍やザンギー朝などの諸勢力に対し、暗殺を一つの手段として勢力を築いたイスラム教ニザール派を指す

アサシン

 

前から持っていたこの情報とボクから聞いた話を組み合わせて、リトアニア人の彼は「森にいる+正規の軍人ではない+でも戦う集団」を忍者と思うようになったという。
つまり半分はボクのせいだった。

 

いまでは本場でも観光客誘致のアイコンになっている。

 

おまけ

リトアニアの勝利とソビエトの終わりの始まり

 

 

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2 件のコメント

  • 「忍者というのは暗殺専門のトレーニングを受けた人」というイメージですが、不思議とヨーロッパ人に多いのですよ。やはり十字軍とか、イスラム教徒のアサシンとか、地理的に身近に感じられるせいですかね?
    これに対して、米国の忍者は、「修行を積んで超人的な身体能力を身に付け、悪い奴らをやっつける」というイメージです。これにほとんど一緒と思えるのが「スパイダーマン」です。あるいは「覆面をしたカラテ・キッド」かな。最近の「デッド・プール」なんかも不良の忍者。
    いずれにせよ、欧米人もアジア人も、テレビアニメやマンガを通じて知った「忍者大好き人間」が信じられないくらいに多い。もう世界中で大人気です。

  • ヨーロッパ人は日本人より歴史的にイスラーム教との接点があるから、アサシンと忍者を重ねる人は多いかもしれません。
    アメリカはヒーローものが好きですね。

    >「忍者大好き人間」が信じられないくらいに多い。もう世界中で大人気です。
    全くその通りですよ。
    このことについても書こうと思ったのですけど、長くなったのでひとつの記事として書こうと思ってます。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。