いま日本のマスコミでは、韓国・北朝鮮と中国では“表現の仕方”がちょっとちがう。
これは2019年8月12日付のNHKの記事
韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領は「日本の経済報復に対するわれわれの対応は感情的であってはならない」と述べ
韓国大統領 冷静に対処すること必要と強調
そしてこれは2019年6月18日付のNHKの記事
習近平国家主席と会談し、来年春、習主席の国賓としての日本訪問を実現することで一致しました。また習主席は先に北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長に
習近平国家副主席が中央軍事委員会の副主席に就任
ムン・ジェイン(文在寅)大統領とキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長にはカタカナ表記があるけど、習近平国家主席にはそれがない。
これは、日本のマスコミでは「韓国と北朝鮮の人名は現地の読み方でするけど、中国人の場合は日本語の読み方でOK」というルールがあるから。
習近平氏は中国語で読まなくてもいいから、カタカナでの現地発音は必要ない。
一方で、文在寅大統領を「ブンザイイン」と読むのはまずい。
そのことはNHKの放送ガイドラインに書いてある。
韓国と北朝鮮の地名・人名・企業名などは、原則としてカタカナで表記し、原音読みとする。
在日韓国・朝鮮人の人名も同様とする。
*この「放送ガイドライン 2015」はいまリンク切れ。
また復活するかもしれないので、一応残しておこう。
といっても、日本のマスコミ各社が同じ対応をしているわけではない。
朝日新聞の場合は習近平氏を(シー・チンピン)と中国語の読み方で書いている。
くり返しになるけど何事にも例外はあるから、すべてのマスコミや記事が同じ表記をしているわけではない。
*日本では『現地語読み』を採用していることがよくある。
まえロシア人と話をしていて英語の「ピーターバーグ」がわからなくてきいたら、そのロシア人の出身地「ペテルブルグ」(ロシア語読み)のことだった。
では、中国人の名前や地名は日本語の読み方でいいのに、なぜ韓国と北朝鮮ではそれがダメで現地の発音で読むのか?
その理由は、中国の場合は昭和47年の日中首脳会談による。
このとき中国を訪問した田中角栄首相が周恩来首相と会談して、「日本と中国の人名は相手の国の読み方で読んでいい」ということで合意したのだ。
これによって、日本では中国の人や地名、会社を日本語で発音してもOKとなる。
それに対して韓国の場合は、昭和59年に全斗換(チョン・ドゥファン)大統領が来日したとき、韓国側が韓国の名前は韓国語の発音で読んでほしいと求め、日本側もそれに合意したことによる。
それでこなった。
朝日新聞デジタル(2011/11/07)
日本では「ぜん・とかん」と呼ばれていた全斗煥大統領(当時)が途中から「チョン・ドゥファン」と現地音読みになったことを覚えている人も多いでしょう。
「ヨプ」記 ― 変換辞書のはなし9
この原則は韓国も同じだから、現在の韓国のマスコミでも「安倍信三」は「アベシンゾウ」と呼ばれているはず。
韓国に行ったとき、ホテルのテレビでアナウンサーがそう言ったのを聞いたことがある。
でもこれも、韓国のすべてのマスコミが同じなのかは知らない。
とにかくこういう理由で日本のマスコミでは、中国人は日本語読み、韓国人には韓国語の発音で読むようになったのだ。
終わり。
というわけではなく、これには続きがある。
上に書いてきた理由とは別に、在日韓国人の故・崔昌華(チェ チャンファ)氏の訴訟も大きな影響があるはずだ。
1975年に北九州市に公開質問状を送った。同年NHKを相手取り”韓国人名の発音を日本語読みにて放送するのは人権侵害である”と主張して訴訟を起こした。
これについては、1988年の最高裁の最終判決で原告の敗訴が決定。
でも、在日外国人から「人権侵害」を理由に裁判をおこされて、最高裁まで争うというのは企業にとっては悪夢でしかない。
この裁判はいまでも日本のマスコミに影響をあたえていると思う。
以下、余談
ある中国人と知り合ったとき、「趙です。日本語で「チョウ」と読んでください」と彼が言ったから、ずっと日本語読みで呼んでいるから、中国語の発音はいまも知らない。
でも韓国人の知り合いには韓国語で呼んでいるから、彼の名前の日本語読みを知らない。
不思議なのが台湾人だ。
「マイケルです」「ジェシカです」と本人が欧米風の名前で呼ぶように言うから、付き合って5年以上になるけど、いまだに彼らの本名を知らない。
こちらの記事もいかがですか?
今の韓国人は漢字をどう思う?漢字を読めないハングル世代はいつから?
韓国のソウルを漢字で書けない理由:漢城?京都?首爾(首尔)?
>不思議なのが台湾人で、「マイケルです」「ジェシカです」と本人が欧米風の名前で呼ぶように言う
最近は、韓国人でも、自分のファーストネームに漢字が無い(ハングルのみ)とか、自分の名前を漢字で書けない(覚えてない?)人が増えているそうなので、今後は韓国に欧米風の名前が増えてくるかもしれません。
姓名の「漢字日本語読み」は漢字があればこそ。韓国はすでに公的には漢字を撤廃していますから、人名を現地語読みでカタカナ表記することも、まあ、的外れという訳でもないのでは。
ただし、漢字を撤廃してしまった政策そのものは、韓国にとって大失敗だと思いますけど。
知り合いの韓国人が最近、自分のSNSの名前に欧米風の「ローラ」を加えていました。
外国人と交流する機会が増えて、その人たちから「ローラ」と呼ばれているからだそうです。
日本人にもそうするかわかりませんけどね。
韓国での漢字廃止については、国内でも批判と漢字教育の復活を望む声があります。
でも、国民のハングル愛が強すぎてうまくいっていません。
これからの日本人の名前ですが、韓国人や台湾人みたいに完全に欧米風の(カタカナ表記的な)名前が増えることは、おそらく無いでしょう。なぜなら昔から日本人の名前には、漢字やカナで表記しても、アルファベットで表記しても、どちらでも不自然ではない名前がたくさんあるからです。
たとえば、Hanna, Naomi, Sakura, Juri, Seiko, Miya, Mey, Sonokoとか、男だったらKei, Keit, Show, Shouta, Tarho, Ken, Kenta, Benn(勉)とか。ぜんぶ日本語でも書けるし、そのまま英語で使っても不自然じゃない。これって、かな書き、カナ書き、それと漢字の読み方がたくさんあるからこそ可能なことですね。
今後はそういう名前が増えるのではないかな?実際、私の身の回りではそういう傾向があるような気がします。
そう考えると日本人の名前は便利ですね。
スズキ、トヨタ、ホンダならすぐに覚えてもらえます。
その名前で海外のレストランの予約をすると、「会社の関係者か?」と勝手に勘違いしていい席を用意する、という話を聞いたことがあります。
どこまで本当かわかりませんけどね。
日本人だけど、アメリカ人に
My name is Tetsu!
って大声で言ったら、オッパイだってよ、ブ〜〜って、大人数から指差して笑われたぞ
titsと間違われたんですかね?
まあ、ドンマイです。
”欧米風”の名前ってのは聖書(旧約・新約)の登場人物(の英語訳)にそのままあやかってるだけだからね。漢字の組み合わせで名前を創れないからそうするのが一番楽。フランスでは決められたリストの中から名前を選ぶことになっている。しかし、台湾人とかがそうなのるのはあくまで通名であり、パスポートに正式に載せられるのはシンガポール(英語が公用語)くらいでしょう。旧約聖書はヘブライ語、新約聖書はギリシャ語(当時の為政者がギリシア系だったから)で書かれて、のちに国教と定めたローマ帝国のラテン語聖書から英訳聖書が認められたのが16世紀になってから。それ以降、子供に付ける名前は聖書由来が圧倒的になった。しかも、ラテン語と英語が逆転し、今では英訳聖書が主流になりつつある。よほどユダヤ保守的な人でない限り、ユダヤ人、イスラエル人も英語的な氏名を名乗っている。実はヘブライ語の氏名は別に持っている。こういう世界の潮流から、ロシア人でもミハイルではなくマイケルって名乗るのは自然になって来てるし、台湾人がまいk