佐賀新聞にこんな記事があった。(2019/09/03)
台風14号が発生、トンキン湾 南シナ海に向かう見込み
9月3日にベトナムのトンキン湾で、熱帯低気圧が台風14号「カジキ」にかわった。
台風カジキは中心気圧996ヘクトパスカル、最大風速18メートルでこれから南シナ海に進むという。
日本には来ないというから、まあどうでもいい。
ここで取り上げたいのは、ベトナムにある「トンキン湾」という地名のこと。
赤字のところがトンキン湾
さて、「トンキン」という言葉をヤフーで検索すると、「トンキン湾事件」が出てくる。
たくさんの日本人がこの事件に関心や興味がある証拠。
トンキン湾事件は高校世界史でならう出来事で、「アメリカ軍の駆逐艦が北ベトナムの魚雷艇による攻撃を受けた」と、1964年にアメリカがでっち上げた事件のこと。
北ベトナムはそんなことをしていない。
これは、ベトナム戦争に本格的に介入したかったアメリカ側による自作自演だった。
実際このあと、アメリカは50万もの兵士を送り込んでベトナムを焦土にした。
日本ではこういう世界史の出来事のほかに、インターネット用語として「トンキン」は使われている。
これは東京をあらわすスラングで、「ニコニコ大百科」にはこんな説明がある。
*あくまでもこれはネット民が使う冗談。
トンキンとは、日本列島の関東地方南部に位置する都市国家である。首都はトンキンシティ。人口は1370万人。周囲には3900万の人口を吸収し、核家族をどんどん殖やしている(別名、東京ブラックホール(出典は読売新聞記事))。国王は小池百合子。
トンキンにいる人間は他人に関心がなくて人間関係が薄いから、「トンキン砂漠」と言われることがある。
もう一度言うけど、これは「グンマー」や「修羅の国(福岡)」と同じネットスラングだから、熱くならないように。
さて、トンキン湾のトンキンも漢字で書くと「東京」になる。
そして歴史上、「トンキン王国(東京王国)」は日本の高校でならうガチ・レベルで存在した。
ソンコイ川流域、ベトナム北部の旧称。16世紀以降、黎朝は南北に分裂し、鄭氏の支配する北部はトンキン王国と呼ばれた。
「世界史用語集 (山川出版)」
トンキン湾の名称もここから生まれた。
緑がトンキンのエリア
英語版ウィキペディアにも「トンキン」の項目がある。
“Tonkin” is a corruption of Đông Kinh (東京), the name of Hanoi during the Lê Dynasty. Locally, Tonkin is known as Bắc Kỳ (北區), meaning “Northern Region”.
英語人口を考えたら、世界でも最も有名な「トンキン」はきっとこれ。
どうでもいいマイナー情報だけど、むかし日本ハムに「マイケル・トンキン」という投手がいた。
「トンキン」という地名は18~19世紀に西洋世界に伝わって、ベトナム北部をさす言葉として使われていた。
いまでは「東京」といえば日本の首都をイメージするけど、もともとこの言葉は中国語だ。
この語源は、日本でいえば弥生時代、後漢(25年 – 220年)の時代にある。
長安から東の洛陽へ都をうつしたとき、当時の中国人がそこを「東京」と呼ぶようになった。
この背景は京都から東京へ遷都したことにそっくり。
そういえばむかし、「東京は中国語ですよ」と中国人ガイドに言われたことがある。
お礼に下の事実を伝えてあげた。
「中華人民共和国」の7割は“日本語”。日本から伝わった言葉とは?
中国で生まれた「東京」はその後、ベトナムや朝鮮半島にも伝わって、各国でこの言葉が使われるようになる。
現代では日本の東京を指す場合が多いが、他にも歴史上「東京」と呼ばれた都市は存在する。ここでは各国・各時代の「東京」という地名について述べる。
東アジアの歴史を見ると、19世紀後半にできた日本の首都「東京」は本当に新しい。
ちなみに、ベトナムではバクボ湾(Vịnh Bắc Bộ)と言われているから、日本にいるベトナム人に「トンキン湾」と言ってもまったく通じなかった。
この漢字表記が「東京」と知ると、そのベトナム人は「えええっ」と衝撃を受けていた。
漢字だと「東京湾」になって日本の東京湾と誤解されるおそれがあるから、ベトナムではこう呼ばれるようになったといわれる。
「東京」のくわしい情報はこの記事をどうぞ。
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確かに人民共和国はつい最近知りましたが、共産主義・社会主義も日本由来とは思いませんでした。
右派が中国・韓国を、支那・朝鮮と呼ぶのは差別だと左派は徹底的に批判しますが、韓国に朝鮮がつく企業があります。但し、”ちょうせん”ではなく”ちょーすん”或いは”ちょーそん”です。
中国は「支那」は差別語ですが、「シナ」は差別語ではないようです。しかし、漢字か片仮名か区別しにくいので漢字に捉われるそうです。
けれども、シナ(支那)より中国(中華)が差別ではないかの声も少なくありません。石原慎太郎元東京都知事も「中国はシナ(支那)と呼ぶべきだ」と反論しました。ただ、日本も「日の出ずる国」「太陽が昇る国」とも言われ、あまり変わらないとのことです。
ベトナムの方が漢字を使わないから変えたってことなんでしょうか。 どこかの国とは大違いですね。
日本はそっちは北西だもん。 ありえない!
別の記事の西安と洛陽、京都と東京の位置関係がほぼ重なるのはびっくりでした!
江戸は東京になるべくしてなったと思ってしまいました。 都市伝説に使えそう(笑)
東京の位置の変遷を見ているともっとも東に位置するので落ち着いたって感じですかね(*^^*)
台風って陸地近くで発生して海に向かうこともあるんですね。 今まで気にしてなかったです(^^ゞ
共産主義とか社会主義とか近代西洋思想をあらわす言葉は日本人の翻訳や造語が多いと思います。
「支那」については基本的にダメですが、「東シナ海」や「インドシナ」のような地名はOKです。
よかったら過去記事を参照してください。
「朝鮮」も人を表す言葉としてはダメですけど、「朝鮮日報」のような会社名なら問題ありません。
ベトナムが「トンキン」を使わない理由はわかりません。
ベトナム人に聞いても、いまはこの言葉を使っていないそうです。
西安~洛陽、京都~東京の距離は自分でも驚きでしたね。
背景はそっくりだし、歴史の縁かも。