【英語になった日本語】アメリカの「skosh」の意味と使い方

 

「そのハッピーなボーイはミラクルなチャンスをゲットした」というように、英語から日本語になった単語はたくさんある。
このへんならまだネイティブでも理解できると思うけど、「オーライ」や「ドンマイ」を聞いた知り合いのアメリカ人は英語とは1ミリも分からなかった。

その逆で、日本語から英語になったことばもある。
ただ最近そうなったものには、kawaiiやbentoはいいとして、karoshi、eroge、hentai、AVみたいに悪い意味のことばが多いような気がする。

英語になった日本語についてはここをどうぞ。

日本語から英語への借用

イギリス政府やカナダ政府のホームページでは、日本に行ったらchikanに気を付けるよう呼びかけているし。

【日本の恥】英国・カナダのHPで「chikan(痴漢)に注意」

 

最近、ニューヨーク出身のアメリカ人と話をしているとき、日本語由来の新しい英語を知った。
それは「skosh」という単語で、日本語の「少し」が英語化されて「skosh」となった。
ボクが耳で聞いた発音は「スコーシ」(またはスコーシュ)。

それを知って「マジか!」と驚いたけど、それはこのアメリカ人も同じで、シカゴ出身のアメリカ人から教えてもらうまで彼もこの英語を聞いたことがなかった。

「英辞郎」といインターネット辞書に「skosh」の項目があって、「〈米俗〉少し、少量、わずか◆a skoshの形で副詞的に使われることが多い。」と書いてあるけど、NY出身のアメリカ人が知らなかったように一般的なことばにはなっていない。

では、なんで「少し」がアメリカで「skosh」になったのか?
「英辞郎」の説明では、この語源は正確には分かっていないけど、太平洋戦争後に日本へ来たアメリカの軍人が使い始めたのだろうとある。
ちなみに例文は、「These pants are a skosh too tight」(このズボンは、ちょっときつ過ぎます。)

 

先ほどのシカゴ出身のアメリカ人はボクも知っているから、メールで彼に「skosh」の意味や由来を聞いてみた。
以下、英会話の勉強感覚で読み進めてほしい。

「Skosh means “a small or little amount”. It became common in the Midwest, specifically starting in Michigan and surrounding states.」

Skoshは小さいや少量といった意味。
これはアメリカ中西部のことばで、ミシガン州周辺から広まった。

「This is because Japanese car companies opened production plants in the Midwest. Then came Japanese employees who spoke a mix of English and Japanese. Some Americans heard 少し, which sounded like “skosh”, and learned that it meant “a little”. Then they repeated it, and other Americans started using it.」

アメリカ中西部にきた日本の自動車会社社員が英語と日本語のちゃんぽんで話をした。
そのとき日本人が言った「少し」を聞いたアメリカ人が、意味はそのままで“skosh”として使い始めた。

「It is somewhat unique to the Midwest of America, and I don’t believe it went out to other parts, so I’m not surprised he doesn’t know it. ^.^」

これはアメリカ中西部のことばだから、ニューヨーク出身のアメリカ人が知らなくても驚くことじゃない。^.^

アメリカ人は「skosh」をこういうふうに使う。

“Just a skosh of pepper will make this soup taste better.”
もう少しコショウがあればこのスープはおいしくなる。

“I think my essay needs just a skosh more work before I hand it in.”
わたしのエッセイは提出前にもう少し練る必要がある。

「skosh」は俗語だからとてもカジュアルな表現だ。
でも残念な知らせがあって、ここまで読み進めたら意味と使い方が理解できたと思うけど、中西部以外のアメリカ人にはきっと通じない。

 

 

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6 件のコメント

  • 皆さん気付いているかどうか分かりませんが、日本語「少し」の発音を「su-ko-shi(す-こ-し)」と正確に(?)発音している日本人は現代ではほとんどいませんよね。多くの日本人は、まさに英語スペルの「skosh」と発音しているはずです。子音(s)+子音(k)+母音(o)+子音(sh)と縮めて、最初の母音「u」と最後の母音「i」は自分達でも気づかないうちに省略されてしまっているのです。英語の考え方では1音節に相当する単語。なので、その発音を聞いた米国人が「skosh」とスペリングしたのも当然なのですよ。彼等はひらがなを知らないわけですから。
    日本人は、日本語の発音はひらがなで完全に記述できるものと考えています。でもそれは、実は、先入観による誤った認識にすぎません。日本人は、1文字1文字ひらがなに置き換えられるような日本語の発音なんか、誰も現実にはしていない。外国人が初めて日本語を学ぶ時、ひらがなを使って発音を覚えようとする際に、戸惑ったり違和感を覚えたりするのは、こういう点だそうですよ。

  • 英語になった日本語というと、聞いた話なので本当かどうかは分かりませんが、アメリカだと仁侠映画の英語吹き替えで若頭を「hancho」と呼ぶそうで、これは日本語の班長が由来の、チーフやリーダーのことを指す言葉なのだそうです。
    日本語を和製英語ならぬ洋製和語に訳してるんですね(笑)
    もともとは自衛隊で小部隊の指揮官を班長と読んでたのが、合同演習などで米軍を通じて広まったそうです。
    「skosh」もそうですが、短くて発音しやすい言葉は調べてみると意外と(一般的かはともかく)英語化してるのかもしれませんね。

  • 平がなの発音をそこまで気にしたことはありませんでした。
    日本人に英語を教えているネイティブスピーカーはよく、日本人は「shi」も「ci」も「し」と発音して区別をつけないと言ってました。
    だからcityがshityになると。
    むずかしいですね。

  • 「hancho」ですか。
    初めて聞きました。
    ただインドネシアでは、日本の工場で研修を終えた人から「ハンチョウ」という言葉が使われているという話を聞きました。
    まだまだ一般的ではないでしょうけど。
    日本人の知らないとことでジャパンが広がっていますね。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。