富士山のすぐ南にある愛鷹山でハイキングをしようとしたら、入り口の神社でこんな石碑を見つけた。
「塚」という漢字は墓という意味だから、ここは松永さんのお墓ってことか?
そう思って近くにあった説明を読んだらまさにそのとおり。
昭和3年10月のよく晴れた日に、友だちとこの愛鷹山を登っていた静岡商業生の松永敏男君がとつぜんの暴風雨で遭難して、山の中で力尽きてそのまま亡くなった。
この悲劇から現在のような登山道が整備されるようになり、松永君の慰霊と登山者の安全を願ってこの石碑が建てられたという。
「そんなことが昔ここであったんだって」と一緒にいた外国人に話したら、「ハイキング前に素敵な話を聞かせてくれてありがとう」とにらまれた。
ということで今回は漢字の話。
お墓をあらわす漢字について書いていこうと思う。
先ほどの塚は「築 (つ) く」に由来すると考えられていて、人が土を高く盛ったところが「塚」になる。
お墓のほかにも、祭場や「一里塚」のように道しるべとして塚が築かれることもある。
また、神道のイザナギとイザナミの話、磐境(磐座信仰)、「賽の神」などから、塚は結界の意味を持つようにもなった。
くわしいことはここをどうぞ。
じゃあ、宝塚は「宝のお墓」という意味なのだろうか?
調べてみたら半分正解。
宝塚のあたりにはたくさんの古墳(盛り土をした墓)があって、その中の「宝塚」という古墳から現在の宝塚という地名ができた。
ただ、どの古墳が宝塚かは諸説ある。
だから宝は金銀財宝のことではないけど、塚はお墓で正しい。
京都には朝鮮出兵で持ち帰った耳を埋めて供養した耳塚がある。
耳塚
以前、中国旅行でお世話になったガイドから、お墓を表す漢字として塚のほかに「陵」(みささぎ、りょう)があると聞いた。
以下はそのときの話。
塚は一般人のお墓のことで、陵は皇帝のお墓を意味する。
1人や数人で作ることのできる小さな盛土が「塚」で、何百、何千人もの人間が作る丘のような巨大な盛土が「陵」になる。
日本でも天皇陵や皇后陵があるから、これは分かりやすい。
中国ではほかにも「林」の漢字がお墓の意味でも使われる。
これは一般人より上だけど皇帝ほどえらくないという人のお墓のことで、中国では孔子の「孔林」と関羽の「関林」の二つしかない。
盛土の大きさから「塚」と「陵」は分かったけど、なんで「林」が墓を意味するのかはガイドも知らなかった。
いまネットで調べてみてたけど、「林」に墓の意味があるという確認ができない。
だから、この話の根拠はガイドから聞いたということしかない。
孔子は儒教を始めた思想家で、日本風にいえば学問の最高神。
そのお墓・孔林についてはここをどうぞ。
老木の広がる墓域には十万を超える孔子の子孫たちの墓碑が散在し、孔家墓地としては世界最大規模のものである。
関羽は三国志の英雄で武神、さらに商売の神でもある。
洛陽のすぐ南に関林(首塚)がある。
孫権は魏の曹操に関羽の首を贈ったが、たたりを恐れた曹操は、その首をこの地に手厚く葬ったという言い伝えが残っている。
世界の観光地名がわかる事典の解説
ボクの記憶が合っていれば、下の四文字は西太后が書いた。
こちらもどうですか?
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なるほど、林は墓の意味だったのですか。中国人が言うのだから、おそらくそうなのでしょう。
私は、孔林にしても関林にしても、孔子や関羽の子孫一族が集まって暮らしている環状集落だから「輪」、それが転じて「林」になったとばかり思っていました。
「輪」から「林」は想像していなかったです。
個人的には、木が多いから林になったのかなと思っていました。
林という漢字に墓という意味があるから、木を植えたのかもしれません。