5年ぐらい前に中国旅行で上海を訪れたとき、現地の日本語ガイドと話をしていて韓国旅行の話題になった。
その中国人は日本語ガイドだから、中国人のツアー客を連れて何度も日本へ行っているし、プライベートで家族や友人と日本旅行をすることもある。
でも個人的な旅行なら、最近は韓国が増えたという。
いちばんの理由はショッピングで、特に韓国の化粧品がとても魅力的。
当時の中国は階級社会で(今もそうだろうけど)、お金のない女性は中国製の化粧品、金持ちは日本製を使っていて、中間層が値段も品質もまあまあの韓国コスメを使っていた。
*これは上海の話で、他ではちがうかもしれない。
太原という地方都市でお世話になった30代の女性(日本語ガイド)は、「化粧?しません。あえて言うなら、顔を洗うだけです」ときっぱり言っていた。
とにかく上海では平均的に収入が上がっていって、韓国製化粧品を使う人が増えていた。
だから「こんど韓国へ行く」と言うと知人や友人から頼まれるし、個人的にネットで売ることもあるから、結果的に化粧品を爆買いすることになる。
日本製品は質はいいけど高すぎるから、なかなか手が出ない。金持ちにとってはそれが優越感という付加価値になるけど、圧倒的に多い中間層にとっては韓国製コスメが一番いいという。
「だからいまの中国では日本の化粧品より、韓国のほうが勢いがありますよ」と話していた。
上海で見た富士山と桜
あれからときは流れて、きのう韓国紙・朝鮮日報にこんな記事(2019/12/13)があった。
韓国コスメの代わりに日本製使う中国
ここ3年間、輸入化粧品市場でトップを誇ってきた韓国コスメが、ことしは日本に逆転される見通しだ。
記事を読むと、KビューティーとJビューティーの勢いのちがいがはっきりとわかる。
「中国で人気を集めたKビューティーブームがJビューティーの攻勢に押されている。」
「日本の「NARS」のダークローズカラーのリップスティックが韓国「ラネージュ」のライトピンクのリップスティックを追撃している。」
「SK-IIの売り上げは韓国のLG生活健康の「后」を軽く上回った。」
世界の化粧品業界からは、「『眠れる巨人』だったJビューティーが中国でついに目覚めた」、「基本に忠実ながら優れた技術力を持つJビューティーの時代が帰ってきた」といった声が聞こえるという。
日はまた昇ったか。
中国で起きているこの「下剋上」にはいろいろな理由がある。
韓流ドラマなどで韓国製化粧品は「トレンディーなアイテムとして注目を集めた」けど、やっぱり質で日本製品を上回ることはむずかしかった。
時流に乗ってイメージで勝負すると、流れが引くと同時に過去のものになってしまうのだ。
それに、韓国の終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備をめぐる対立で、中国での反韓感情が高まったこともある。
Jビューティー躍進の理由は、日本企業が中国の消費者を徹底的に調べて、中国人の価値観や好みに合う商品を企画、生産した結果という。
いままでは品質の良さにあぐらをかいて、現地化の努力が足りなかったようだ。
他にも単純に、中国人が全体的が金持ちになって、5年前の中間層が金持ち層へ仲間入りした結果だと思う。
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