ブラジルで生まれ育っていまは日本で暮らしている日系ブラジル人に話を聞いたら、日本とブラジルの最大の違いは「治安ですね」と秒で返す。
ブラジルでは全国にある「ファヴェーラ」という無法地帯が日本ではない。
初めての場所に行っても、夜に出歩ける日本はパラダイスと言う。
そんなことを少し前に書いた。
現地のブラジル人も危険で足を踏み入れないファベーラに、だから彼らにとってはおいしいのだろうけど、「世界中を旅する現代の海賊であり冒険家」を自称する日本人ユーチューバーが足を踏み入れて動画撮影をしてそれを公開したところ、現地メディアが批判的に取り上げて日本にも伝わった。
朝日新聞の記事(2020/2/8)
リオデジャネイロのファベーラ(スラム街)で、ギャングのメンバーとみられる男性と写真を撮ったり、銃のようなものを構えさせてもらったりする動画を投稿し批判を呼んでいる。
邦人ユーチューバー、リオで銃?
自称「冒険家」、批判呼ぶ
賛否や波紋を呼ぶと金も呼べるのがユーチューバーなのかもしれないけど、本当の冒険家にとってはただの風朝日新聞は「批判を呼んでいる」と控えめに書いているけど、実際には批判が殺到した。
同一人物かわからないけど、平和ボケ・日本人ユーチューバーが今度はアルゼンチンのスラムに入って撮影を行った。
でも今度はアウェーの洗礼をあびた。
朝日新聞の記事(2020年2月20日)
近くの駅で知り合った現地女性の案内で、スラム街の路地に入ったところ、突然現れた男1人に後ろから首を絞められ、前から現れた別の男にパスポートや現金、航空券などの入った肩掛けバッグを奪われた。女性と男2人はそのまま逃げたという。
「インパクトある動画」狙いスラムへ 日本人、襲われる
この現地女性もグルだったのだ。
でも、自殺行為をしても命は助かったのだからこの日本人は持っている。
「ユーチューブにインパクトのある動画を投稿したかった」と動機を説明するこの男に情状酌量の余地は永遠のゼロ。
ネット上では批判と嘲笑があふれている。
・迷惑かけてんじゃねーよ
・盗られてみた
・希望通りインパクトのある動画撮れてよかったじゃん。
・間抜けすぎで笑った
・五体満足なら大成功では?
・パスポートと現金は入場料的なw
・インパクトあるネタができてよかったですね
・「スラムに動画取りに行った結果www」
まだてすか?
ブラジルのファベーラ
上の2人はバカだけど運はよかった。
2013年には新婚旅行でエクアドルを訪れていた日本人カップルが銃撃されて夫が死亡、妻が重傷を負う事件が発生。
宿泊先のホテルからレストランまで行こうとハイヤーをお願いしたら、その料金が普通のタクシーの約10倍だったことから、それを断って夫婦は流しのタクシーに乗ってしまう。
このときホテルが提示した金額は20ドル(当時で約2060円)だったけど、「ぼったくりだ!」と思ったのだろう。
南米で2000円を惜しんだツケがこれだ。
犯行グループはそのタクシーをつけて、夫婦を襲撃したとみられる。夫婦は襲われた後、路上に放置されていた。
警察当局の調べでは、犯行グループは8人以上とみられ、夫婦は一時的に拉致された可能性もある。
1997年には、アマゾン川をイカダで下る冒険旅行をしていた日本人大学生がペルー軍兵士に殺害されて、山刀で頭や足などを切断された事件も起きた。
くわしいことはこの記事を。
今回の2人は平和ボケしたバカだったけど、本当に運がよかった。
こちらもどうぞ。
まあ、確かに危険地帯へ自ら出向いて、運良く何事もなく逃れられる人もいれば、命を落とす人もいるでしょう。ただ、他人がその行動を「非難する」というのはどうかなぁ。私としては「無茶なことをするもんだ」と呆れはするものの、別に行きたけりゃあくまで自己責任でどうぞ、としか。このユーチューバーが面白い動画を撮影したいから危険地帯へ果敢に突撃したということも、本質的には、戦争や麻薬取引やスラム無法地帯を取材する目的でプロのメディア記者が潜入することと同じ種類の行動だと思います。ただし、事前の準備や用心・備えにおいて、アマチュアとプロとのレベルの差は当然あるでしょうけど。
それに、ブログ主さんのこれまでの旅の様子を読んだ限りでは、危険地帯へ足を踏み入れるこのユーチューバーとレベル的にはあまり変わらないようにもしばしば感じられます。主さんも、なかなか肝の座った地球の旅人ですよね。私にはとても無理。
行動には責任がともないますから。
愚行が非難をよんでも仕方ありませんよ。
私も海外旅行は好きですけど、一線を越えたことはありません。