【米騒動の怒り再び】ぼったくりに批判殺到・転売屋のイイワケ

 

米の値段がどんどん上がっていって、大正7年(1918年)、ついに国民の怒りが爆発した。
「米騒動」と呼ばれる民衆暴動のぼっ発だ。
米屋が破壊されたり燃やされたりして、参加者は全国で数百万人、鎮圧のために10万人以上の軍隊が出動した。
この事件の責任をとって、当時の寺内内閣は総辞職する。

米騒動の大きな原因には第一次世界大戦で大もうけしたことから、日本で資本主義経済が進んでいたことがある。
収入の増えた農家では主食がムギやヒエから米にかわって、都市部の中流階級の人たちもたくさん白米を食べるようになった。
賃金のいい仕事を求めて地方から都市へ労働者が流れていくから、米の生産量が需要に追いつかない。
米価が上昇する条件はそろっているのに、これに加えてシベリア出兵を見越した米商人などがぼろ儲けをたくらんで米の買い占めをおこなう。
米の値段は爆発的に上がった結果、米屋は民衆の反撃にあった。

暴利取締令から「ぼる」(暴る)という言葉がうまれたのもこのころだ。

 

焼き払われた商店

 

この米騒動から約100年すぎたいま、令和の日本国民も怒っている。

 

 

 

新型コロナウイルスの感染拡大で、いまみんなが欲しいマスクがほとんど手に入らない。

さらにトイレットペーパーがなくなるというデマも流れて、スーパーやドラッグストアから消えてしまった。
需要と供給のバランスが崩れて、ネットではマスク約3000枚を7万5000円(送料込み)、トイレットペーパー30ロールを5555円で出品するなど転売屋が暴利をむさぼりまくり中。
濡れ手に粟とはまさにこのこと。

これは資本主義の進展ではなくて、弱い立場の人間を食い物にしているだけ。
このぼったくりに国民は米騒動のときのように怒って、こうした転売ヤーには批判が殺到する。

でも、ある転売ヤーは、ドラッグストアなどで買うと消費者が新型コロナウイルスに感染する可能性があるから、自分が代理で購入して転売して手数料を取っていると言い返す。
そして自分を批判する人を「正義マン」と呼んでバカにする。
また別の転売者は自分への非難を「誹謗中傷」と言って止めるように訴えた。
加害者が被害者にすり替わる精神とは何なのか。

そんなことで日本のネット上ではいま、一般のネットユーザーと悪質転売屋とのバトルがくり広げられているのだ。
ネットの反応を見ると、これに賛否は分かれない。

・やってる事は火事場泥棒だろ
・みんな10枚とか5枚小分けで売るようになってるww
・使用済みマスクも売られているらしいぞ
未開封じゃないものは要注意
・ストレス発散にもなるし
転売屋はガンガン吊し上げしたらええわ
・マスク無くなると歯医者閉院にすると テレビで言ってる
いい加減にしろよ 転売ヤーども

 

さすがにメルカリも度を越えた高額転売については、次々と出品を削除しているようだ。

先月2月には全国展開するドラッグストアで、1箱約500円のマスクに冷却シートや栄養ドリンクなんかを付けて9000円ほどで販売する店舗が登場して、これも世間にぶったたかれた。

よくこんな抱き合わせ商法を店でやってたな。
大正時代なら焼き討ちにされてるわ。

1995年に阪神大震災が起きた直後、被災地におにぎりをひとつ1000円で売る車が現れたという話を神戸出身の知人から聞いたことがある。
大正でも平成でも令和でも、いつになっても悪い人間はいる。
人の弱みにつけこむことを、「需要と供給」とか「資本主義」とか言って正当化するな。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。