日本語を学ぶ外国人の前にそびえる絶望的に高い壁、それはkanji。
中国人、台湾人、香港人など漢字文化圏の人ならいざ知らず、欧米人や東南アジアの人たちは日本語の漢字によく悪戦苦闘、四苦八苦している。
「kanji is killing me」というトリニダード・トバゴ人の言葉は印象的だった。
でも漢字文化圏の人にとっては別の問題があって、日本語の漢字は彼らの漢字とは意味が違ったり、見ても意味が分からないものもある。
例えば中国の漢字で「手紙」はレターではなくてトイレットペーパーの意味だし、「真面目」「怪我」という漢字を見ても台湾人にはさっぱり意味がわからなかった。
外国人が漢字でどれだけ苦戦しているか?
日本で生まれ育った人間がそれを正確に理解するのはむずかしいけど、こんな言葉を見れば少しはその気持ちが分かると思う。
台湾人が下の写真にこんな文章をそえてSNSにアップした。
今天沒跑課表(粉開心
盪鞦韆ing
はっきり分からないけど、「今日(今天)はランニングをしないで筋トレをしているところ」といった意味だと思われ。
ingは「~中」のことだろう。
さて、このまえ日本語を勉強中のドイツ人とチャットをしているとき、こんなメッセージをもらった。
*「勉強」という漢字も台湾人には意味不明。
このジャーマンが何を言っているかおわかりだろうか。
「その小さな漢字のひらがなが欲しい。^^
いつも例えばマンガにみえる。携帯で書けないよ。漢字の上に」
漢字の上にある小さなひらがな?
ああ、ルビのことか。
と思って伝えると、「はい! 名前は知らなかった。」と返事がきた。
このあと彼が「ルビ」はカタカナだから外来語かと聞いてくる。
そう言われてみるとたしかに外来語の気はするけど、ルビの語源について考えたことがなかった。
「宝石のルビーだったりして」と思いながらネットで調べてみたらまさかのビンゴ。
ルビの語源は7月の誕生石で、「熱情・情熱・純愛・仁愛・勇気・仁徳」という石言葉を持つ ruby だった。
宝石商のリチャードに「good for you」とか言ってほしい。
NHKの「ことば言葉コトバ」にこんな説明がある。
「ふりがな(ルビ)」と 記してきたが「,ルビ」は,宝石のルビー(ruby) に由来していることは,すでに多くの人が ご存じのことだろう。
ふりがなの別名「ルビ」
いや初耳です。
「金」が三つで何て読むんだ?というときにルビが必要になる。
19世紀後半のイギリスでは、活字の大きさにそれぞれ宝石の名前が付けられていた。
明治の文明開化の時代、日本の新聞もその呼称システムを取り入れて、イギリスで5.5ポイントの大きさの活字を ruby(ルビー)と呼んでいたから、日本でもその大きさの文字を「ルビ活字」と呼ぶようになってこれが現在の“ルビ”になる。
ちなみに一般的な活字の大きさは5号だ。
だから活字の大きさによってこんな言い方がある。
4.5ポイントはダイヤモンド
5ポイントはパール
6.5ポイントはエメラルド
ルビー
でもこれはイギリス基準で、アメリカでは5.5ポイントの活字を agate(アゲート)と呼ぶ。
日本語にしたら「瑪瑙」(めのう)だから、もしアメリカ経由だったら、いまごろルビではなくて「メノをふる」なんて言っていたかも。
瑪瑙
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日本語の漢字に対して最も習得時の抵抗が少ないのが、「繁体字」を日常的に使用している台湾人なのですが。中国本土の人は「簡体字」を使用しているので、日本語の「日本式簡略漢字」を識別するのは非常に難しいとのこと。つまり、繁体字→日本式漢字の推定は比較的容易ですが、簡体字→日本式漢字の推定は難しいらしい。
その台湾人にも分からないとなれば、他の国の人にとってはもう絶望的でしょうね。
ボクにも簡体字より繁体字のほうが意味が想像しやすいです。
中国の漢字は簡略化しすぎて記号のようで意味の類推がむずかしい。
知り合いのアメリカ人は漢字のせいで日本語学習を断念しました。