友人に、ワーキングホリデーで東京に1年間住んでいた韓国人がいる。
20代の女の子。
その子と話をしていたとき、彼女がこんなことを言い出しから驚いた。
「日本語を学んでいるとき、日本語の『くだらない』の『くだら』は『百済』だと知ってビックリしました。古代の日本は百済を先進国だと考えていたから、『百済にないものは価値がない』ということで『くだらない』という日本語ができたというのです」
百済は朝鮮半島にあった国で、飛鳥時代の日本と交流があった。
くだら【百済】
建国当初より日本とは友好関係を保ち、日本に仏教その他の大陸文化を伝える。
660年、新羅・唐連合軍に滅ぼされた。「デジタル大辞泉の解説」
その子の話を聞いてボクがビックリした。
「そんな話を本気で信じているのだろうか?」
「くだらない」と「百済」には関係がない。
「くだらない 語源」で検索してくれたらすぐに分かる。
でもその韓国人の子が言った「くだらない=百済ない説」には、言いだしっぺがいる。
それは、洪 潤基(ホン・ユンギ)という韓国の大学教授。
韓民族優越主義に基づいた様々な韓国起源説を主張している
「くだらない」の語源は「百済ない」で、「優秀な百済の文物がないことはみすぼらしいこと=百済・ない」が「くだらない」の起源であると主張している。
「ウィキペディア」
この「韓民族優越主義に基づいた韓国起源説」の例は本当にたくさんある。
韓国起源説の対象は、侍、日本刀、剣道、空手といった武術・武道関連、歌舞伎や折り紙といった伝統文化、寿司や沢庵といった日本料理、「わっしょい」等の様々な日本語の語源、東洲斎写楽や天皇などの著名人物
「ウィキペディア」
他にもソメイヨシノが有名。
ここに「わっしょい」という日本語のことが書いてある。
「韓国語のワッソ(来た)という言葉が『わっしょい』の起源だ」という話が一時広まったことがある。
たしかに発音は似ているけど、それも「くだらない=百済ない」と同じように事実ではない。
インスタントラーメンの起源は日本
なんで韓国の人たちは、日本に対して文化的な優越感をもっているのか?
そのカギは韓国の歴史教育にある。
韓国の小学生用の歴史教科書(1998年発行)から、日本の文化に対する考え方がわかるところを抜き出してみる。
*「王仁」は「わに」と読む。
・(先生は)「わが先祖は発達したわが文化をとなりの日本に教えてあげたと言い」
・王仁は百済の文化を日本に教えてあげた学者である。彼は『千字文』と『論語』などの本を日本に伝えてあげ、日本にながく暮らしながら、日本国王と王子の先生になって学問をおしえてあげたりした。
・そうして、日本の人びとに漢文と儒学がわかるようにつとめた。今も日本人は、王仁を日本文化の先生として崇めているし、彼の功績をたたえる遺跡があちこちに残っている
・高句麗の文化を日本に伝えてあげた曇徴
「わかりやすい韓国の歴史 明石書店」
「王仁を日本文化の先生として崇めている」という日本人に会ったことがないんだが?
この歴史教科書の「教える」、「伝える」、「~してあげた」という表現がとても特徴的だと思う。
韓国の教科書でこうした言葉を使う理由は何か?
そのワケについて、この教科書を翻訳した日本人が書いている。
こうした表現が日本に対する文化記述に使われているのは、韓国の歴史教育が古代史において文化的優越感を堅持することを目標にしているからである
「わかりやすい韓国の歴史 明石書店」
つまり韓国の小学生に、日本に対する「文化的優越感」をもたせるためにこうした表現を使っているということ。
そんなことを小学校教育の目標にするのはやめてほしい。
この「ふなパン」の起源は日本のタイ焼き
鮒パン(ふなパン)あるいは「鮒魚パン」(ブンオパン)は、日本のたい焼きを模倣した朝鮮半島の駄菓子。1930年代に朝鮮半島に渡った「たい焼き」が鮒(フナ)の形に変形した。
「ウィキペディア」
小学生のころに身につけた日本に対する文化的な優越感は、大人になっても変わることはない。
それはもう、韓国社会の常識になっているから。
呉善花さんという韓国人が韓国人の日本への見方についてこう書いている。
韓国は父親である中国から教えてもらった文化を弟である日本に教えてやったーこれが中国・韓国・日本の関係を発想する基本にあります。
「日本の驕慢・韓国の傲慢 (徳間書店)」
また、韓国の日本大使館で働いていた韓国通の日本人もこんなことを書いている。
韓国は、もともと日本に対して「後進国」という認識を持っていたのはないかと見られるきらいがあります。
韓国人に言わせると「朝鮮半島から日本に文化が伝えられた」わけです「つきあいきれない韓国人 (中公新書ラクレ) 渡辺晶平」
韓国の小学校教育やこうした一般の韓国人の感覚を知れば、韓国人の友人が「くだらないは『百済にはない』だった!」という話を信じても不思議ではない。
そんな彼女に、「韓国のテコンドーは日本の空手をもとにしてつくられたんだよ」と話すとかなり驚いていた。
「日本の文化の起源は韓国にある」という話を当然のことと考えていたから、「韓国文化が日本に起源にあった」ということはなかなか信じられなかったらしい。
彼女がそれを信じても信じなくてもそれはどっちでもいい。
でも、「テコンドーの起源は空手にある」というのは本当。
日本でも指折りの韓国通である黒田勝弘氏がコラムにこう書いている。
テコンドーはすでに五輪種目になっているが、2020年の東京五輪に空手が採用されたことで空手との比較論がよく語られる。ところがテコンドーは実は日本の空手を基本に韓国武術を加味し開発されたという歴史的事実は表に出ない。
また、ウィキペディアにはこうある。
1955年4月11日、「テコンドー」という名称は崔泓熙(チェ・ホンヒ) が日本留学中に学んだ松涛館空手を元に独自の工夫を加えて、正式に命名された。
日本に対して文化的な優越感を持っている韓国の人には、「テコンドーの起源は日本の空手だった」ということを信じることは難しいかもしれない。
でも、もっと受け入れがたいことがある。
古代の韓国(朝鮮)と日本の関係について、韓国では「朝鮮の国は日本より上だった」と考えている人が多いけど、これも実際には違う。
「日本史用語集 (山川出版)」に、6世紀末の日本人は「日本は新羅より上」と考えていたと書いてある。
さらに「詳細 日本史研究(山川出版)」にこのような記述がある。
新羅を従属国として扱おうとする日本との間で時に緊張が生じた
「従属国」なんていったら、「家来」のようなもの。
現代の韓国人が古代の韓国と日本の関係をどう考えてもいいけど、古代の日本人は新羅を従属国だと考えていた。
これが現実。
そもそも「新羅の王は日本人だった」という説もあるわけだが。
まあ、信じたくなかったら、信じなくてもいいけど。
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わっしょいはヘブライ語と聞きましたけど
ヘブライ語!
それはビックリですね。
どんな人の説ですか?
長野 徹様。
コメントありがとうございます。
ただ、創氏改名についてはこの記事で扱っていないので、ここで表示することができません。悪しからずご了解ください。
でも、朝鮮半島を通じて様々な文化が入ってきたのは事実かと。
それは事実です。
日本から朝鮮半島に様々な文化が伝わったことも事実です。
お互い様だから優劣をつける必要はない、ということですよ。