インドネシアといえば、東南アジアの親日国として知られている。
まあ東南アジアに反日国なんてないけど。
インドネシアが他の国と違っている点は独立宣言の日づけにある。
独立した年は、日本の初代天皇・神武天皇が即位した年から始まる皇紀で記されているのだ。
独立宣言文
右下に皇紀の「05」(皇紀2605年)がある。
太平洋戦争で日本が来るまでインドネシアは300年以上、オランダによって植民地支配されていた。
日本軍がオランダを追い出して、インドネシアは独立をはたす。
その日づけを西暦で記したくなかったスカルノたちは、独立宣言に日本の皇紀を刻むことにしたという。
とはいえ、いまのインドネシア人が日本を「解放者」と思っていることはなくて、独立は自分たちの血と汗によって達成したと考えているはずだ。
太平洋戦争のときに重労働をさせられたロウムシャ(労務者)という日本語は、いまインドネシア語になっているから、この時代の日本を過大評価しないほうがいい。
このへんのくわしい事情はこの記事を。
戦後に日本が支援したこともあって、現在のインドネシアは親日的な良い国だ。
でも、国内で初めて新型コロナウイルスの感染者が現れてから、日本人への視線が一転して冷たくなったらしい。
根拠もなく「感染源は日本人だ」と保健相がきめつけ、日本人だとわかるとレストランから入店を拒否されたり配車サービスの利用を断られりする。
スーパーに行くと冷たい視線を浴びる日本人もいるという。
時事通信の記事(2020年03月07日)を読むと、「日本人=ウイルス」というイメージが形成されつつあるようで不安になる。
日本で感染者数が増え続けているため、一部で日本人が過剰に危険視されている可能性がある。
「感染源」日本人に冷視線 入店や乗車拒否―インドネシア
日本大使館は「悪質な嫌がらせなどが増加する可能性がある」と邦人に注意を呼びかけている。
ボクがインドネシアを旅行した時は、みんな「日本製品は高品質で、日本人は礼儀正しい」とほめてくれたのに、新型コロナが日本ブランドを失墜させやがった。
このことを日本で住んでいるインドネシア人にメールで聞いてみたら、「まったく知らなかった!」とおどろく。
彼の返事を読むと、現地ではインドネシア人は中国人を警戒していて、日本人と中国人は目が似ているから間違われたのではないかと推測している。
「Between japanese and chinese are seem similar by their eyes for indonesian. The main target of indonesian worries is Chinese tourists….since we got a news that there are still Chinese tourists allow to enter Indonesia.」
インドネシアでは中国系住民とマレー系住民との間でトラブルがよくあって、中国系の人たちを嫌うマレー人は多い。
1998年には1200人以上の中国系インドネシア人が殺される事件も起きたし、中国人と間違われて嫌がらせを受けた日本人もいる。
それはこの記事を。
海外で日本人が中国人に間違えられて、人種差別を受けたという話
だから「日本人に冷視線」というのは、新型コロナウイルスの“感染源”というウワサと中国人との混同から生じているのでは。
でもそのインドネシア人が言うには、これはそんなに深刻な問題にはならない。
But….i think this is not become serious since it also happens at another countries which worry about Corona Virus epidemic
そうならないことを願うしかない。
いまこそ独立宣言の日付けを思い出してほしい。
こちらの記事もどうぞ。
日本とインドネシアの関係①歴史教科書からみた日本「解放と独立」
日本とタイ(東南アジア)の仏教の違い① 飲酒・肉食・喜捨(タンブン)
インドネシアにおけるマレー系と中国系の対立については私も若干の体験があって、よく知っています。でももう、このメールの文面からしてその対立を象徴していますよね。
>現地ではインドネシア人(indonesian)は中国人(chinese)を警戒していて、日本人と中国人は目が似ているから間違われたのではないかと推測している。
と、そのようにこのインドネシア人は言っていますけど、それでは、中国人(中国系住民)はインドネシア国民ではないのですか? その言い方は差別的でしょ?
でもまあ、ちょっと意地悪なツッコミかな。彼らはマレー系住民のことは通常「ムスリム(イスラム教徒)」と言いますから。Indonesianと言った場合、インドネシア国民を意味する場合と、マレー系インドネシア人を意味する場合と、両方があるのです。
それに中国系インドネシア住民も、彼ら自身では決して自分たちのことをIndonesianとは言いませんしね。
中心部ジャカルタから遠く離れた離島の住民たちも、あまりインドネシア人としての自覚はないみたいですね。(実際に話をした経験はないですが。)
国家への帰属意識・国民としての認識が、多民族国家においては我々日本人とは全然違うことに驚かされます。
わたしから見たらこれは表現の自由の範囲内です。
それとこれにはツーリストとありますしね。
インドネシアでは「じゃんけん」の言い方も島ごとに違うといっていました。
日本も島国ですけど、多様性ではぜんぜん違います。