世界中で猛威をふるう新型コロナウイルス。
ウイルスが広がるとあぶりだされる“バカ”もいて、日本では陽性反応をうけて自宅待機を要請された男が「ウイルスをばらまいてやる!」と言って外出して飲食店に行ってしまった。
その後、その店の従業員から陽性反応が検出。
韓国でもこれに近い男がいた。
患者が爆発的に増加していたに大邱(テグ)市でバレエダンサーの男が公演をおこない、検査結果がでるまで自宅待機を指示されていたけど、それを無視して外出。
恋人と一緒に北海道を旅行して、楽しそうな様子をSNSに様子をアップしていたのだ。
陰性だったからまだよかったものの、一歩間違えればこれも「コロナバラマキ男」になるところだった。
くわしいことはこの記事を。
これには続きがある。
韓国国立バレエ団に所属する人間でありながら当局の指示を破ったことで、韓国ではこの男に批判が殺到。(きっとバレエ団にも)
けっきょくこのダンサーは解雇された。
SNSに投稿されて“共犯者”となった恋人も、しばらく外を歩けないだろう。こちらが主犯かもしれないけど。
新型コロナウイルスの感染が広がる理由には、政府の対策や公衆衛生などいろいろあるけど、世界のニュースを見ていると国民性も大きいとおもう。
よく言えば独立心が強くて自分の頭で判断する人、反対からみれば政府や当局の指示に従わない自分勝手な人間が感染拡大を後押ししている。
ここでは韓国人とフランス人の例を見てみよう。
韓国ではバレエダンサーが問題視されたにもかかわらず、政府の要請を一蹴して礼拝活動を強行した結果、「クラスター」(集団感染)となった宗教団体がいる。
当然のことながらこの団体はいま国民から猛烈にぶったたかかれていて、ある牧師はこうなげく。
聯合ニュースの記事(2020.03.16)
「いくら神を愛する熱意があっても、隣人と共同体に配慮する知識がなければ結局その愛が損害を与える」と指摘した。
礼拝の自粛要請無視で感染拡大 強行した教会への非難必至=韓国
2017年にソウル地下鉄で火災が発生したときには、「確認中なので待機するように」という車掌の指示を無視して、乗客が直接ドアを開けて脱出したことがあとから問題視された。
ヨーロッパでも自由を尊ぶフランスが同じ悩みをかかえていて、指示に従わない国民に政府が悩まされている。
フィリップ首相は感染拡大を防ぐため、フランス全土の国民に不要不急の移動はしないよう求めたけれど、自由や権利を優先するフランス人は多かった。
ロイター通信の記事(2020年3月16日)
15日には各地で公園や川岸、その他公共スペースに人が集まる様子が依然として見られ、当局者の間で国民が忠告に耳を傾けていないとの懸念が高まった。
フランス、外出禁止令を検討 新型コロナ拡大抑制へ=関係筋
「お願いだけでは手ぬるい」と思ったのだろう、その後マクロン大統領は国民向けのテレビ演説で「我われは『戦争』のさなかにある。感染の拡大を遅らせるため犠牲を払ってほしい」と訴え、フランス全土で15日間にわたって大規模な外出制限をすると発表した。
これは前例のない思い切った措置だ。
NHKの報道によるとマクロン大統領は、「家族や友達との散歩をはじめ、いかなる集まりも禁止するとし、従わない場合は罰則が伴う」と強調した。
ただの要請ではコントロールできないのだ。
ネットの反応を見ると、このニュースに日本との違いを感じる人が多い。
・凄いよねみんな遊んでんのw
・フランスは警備してるのは警察官じゃなく、憲兵がマシンガンで警備してるからな
・フランス人て思ってるよりずっと自由人なのね
・不思議に思うんだが、欧州の連中って
黒死病の恐怖って教育されんのじゃろか?
・政府のいうこと聞かない俺たちかっけー
中学生ぐらいのイキってるガキと同レベル
・国民の差だな。感染拡大は
パリ在住の作家、辻 仁成氏がブログにこう書いている。
日本人やドイツ人のように厳守できなかったりする。先の日曜日も快晴だったので大勢の人が闊歩していたし、セーヌ河畔では人だかりさえ出来ていた。
政府の人たちが嘆いていた。国民性というのか、そこがフランス的でもある
新型コロナが深刻な問題となって、先週にはフランスのサッカーリーグが無観客試合を行ったところ、ファンはスタジアムの外に集結して発煙筒をたき、雄たけびを上げていた。
PSG fans outside the stadium. pic.twitter.com/cn8UYYxDN4
— SPORTbible (@sportbible) March 11, 2020
外国人に日本人の印象を聞くと、「discipline」(訓練、自制心、しつけ)と言う人が多い。
実際、日本人はルールや規則をしっかり守る。
車が来なくても赤信号をわたらない人は多いし、スポーツ観戦が終わるとゴミを拾ったり列をつくって静かに退場する。
イギリス人はこれを見て驚いていた。
くわしいことはこの記事を。
上からの指示に従うことは必ずしも良いことではないけど、「戦争」のよう有事にあってこれは大きな武器になる。
ちなみに統計数理研究所が発表した国民性についてのアンケート調査(2013年)では、日本人の長所として「親切」「礼儀正しい」「勤勉」が7割を超えて過去最高を記録した。
こうしたところを日本人のイイトコロと考える日本人は多いのだ。
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高輪ゲートウェイの開通できっぷ買うのに5万人も集まってましたけどね。
渋谷は中高生で溢れていますし、比率で見れば違うでしょうけど、どの国でもそういう人はいるのでは?
ここでのポイントは指示を破ったかどうかです。
指示を守らずに5万人が集まったら大問題ですね。
>2017年にソウル地下鉄で火災が発生したときには、「確認中なので待機するように」という車掌の指示を無視して、乗客が直接ドアを開けて脱出したことがあとから問題視された。
まあしかし、これはその時の韓国人乗客の気持ち(恐怖)も分かります。
2003年、大邱地下鉄放火事件(テグちかてつほうかじけん)、韓国・大邱広域市で発生した地下鉄列車への放火事件で192人が死亡し148人が負傷する大惨事となった。2014年、セウォル号沈没事故、死者295人、行方不明者9人を出した。
どちらも、乗り物を運営している乗員から「待機せよ」との放送があり、乗客がそれに従ったため結局は避難が遅れ、多数の死者が出る大惨事となった。現在の韓国人は乗り物の運営者を信用できないのでしょう。
>上からの指示に従うことは必ずしも良いことではないけど
ははは、その「まず最初に用心する」感覚は、近代個人主義的と言うか、欧米自由主義的と言うか。むしろ前述の韓国人の考え方に近いですね。おそらく伝統的な日本人の価値観とはあまり一致しないでしょう。
「ガバナビリティ(被統治性)の高さ」こそが日本人の最も優れた民族特性であると考える人も多いですよ。
私自身は、どっちもどっちですかねぇ。少なくとも自分と同じような人間が多数存在する社会は、あまり居心地がよくないだろうと思います。
根本的な問題として、指示をだす人の信頼性もありますね。
そこがいい加減だとアメリカじゃないけど、自分の身は自分で守らないといけなくなる。
セウォル号事故のときは指示を守って死んだ人が多かったと言いますし。
国民性は場面によって良くでるときと悪くでるときがあります。
マニュアル人間は日本でも批判対象です。
>マニュアル人間は日本でも批判対象です。
そうなんですけどね。
「マニュアル人間に陥らず、自分の頭で考えて判断できる人間になれ!」と全国民に向かって諭すのは、ある意味理想論であり、実際には全ての国民どころか、特に日本人のように「形からの習得を重んじる」国民性・教育システムの国だとそのことが邪魔して、自分独自の判断ができる人間はごく一部に留まってしまうというのが現実です。
で、根本に立ち返って、それが悪いことかと言うと必ずしもそうとは言えない。
そのことが良い結果を招くか悪い結果を招くかは、そのマニュアルがうまくできているかどうかによるのです。
それもひとつの見方ですね。