日本人にはない韓国的発想。人道支援で「独島アピール」

新型コロナウイルスが地球規模で猛威を振るういま、韓国政府の発表によると、世界は韓国製の診断キットを求めている。
韓国外交部（外務省）の話では47の国が韓国に問い合わせたり、要請してきたりしたとか。
アイドルがすべてのファンのリクエストに応えることができないように、“優秀性”を認められたのはいいけど、韓国がすべての国に対応するのは無理。
ということで政府はいま、人道的支援を要請してきた国の“選別作業”をしている。

聯合ニュース（2020.03.25）

「（人道的支援を）全て行うのは大変なので、優先順位をつける必要があり、関係官庁で緊密に協議している。国内の需給状況を踏まえ、戦略的な重要性を見極めて判断する」と記者団に語った。

韓国の新型コロナ診断キット　海外から輸出・支援要請相次ぐ

世界が放っておけない人気者は大変だ。

ただ別の報道では、診断キットというのは感染の有無を検査するものではなくて、ただの輸送容器だったことが判明して国民はガッカリしたという。

「あんなに自画自賛していたのに」
「輸出したのはプラスチックの箱と綿棒だった（泣）」
「容器と言えばいいものをわざわざキットと言うなんて。わざとでは？」
「大統領府が偽ニュース？処罰してほしい」

くわしいことはレコードチャイナの記事（2020年3月18日）をどうぞ。

韓国が検査キットを初輸出？実は輸送容器だけだった＝韓国ネット落胆「大統領府が偽ニュース？」

いま世界が熱望しているのが検査キットなのか容器だけかは知らないけど、とにかくに韓国からいろんな国へ検査に関わる何かが輸出されている。
これだけなら日本には直接関係ないし、「韓国すごいですねー」で終わる話だけど、この話には続きがあった。

朝鮮日報（2020/03/27）

「韓国製診断キットの名称を独島に」　２０万人超が請願に賛同

「乗るしかない、このビッグウェーブに！」とこの動きに便乗して、政治的主張をしようというのは本当に“らしい”発想だ。
どんな機会も逃さない積極性や貪欲性はさすがの一言で、どこでどんな形でボールをもらっても、すぐにシュートをねらうストライカーのような嗅覚。

記事によるとこの請願をおこなった人は、「韓国が新型コロナウイルスを克服したことを世界各国では模範事例として認識しており、最近では米国のトランプ大統領もわが国に協力を要請した」ということを根拠に、「診断キットが独島という名称で輸出されれば、独島のステータスを大きく高めることができる」ということでこの名称がふさわしいと考えた。
「～という夢を見た」ではなくて、現実に行動するところがすごい。

韓国では30日以内に20万人以上が賛同すると、政府が正式に回答することになっている。
この「独島請願」には３日で20万以上の支持が集まったというから、この共感力はすさまじい。
こうなると一部例外ではなくて、韓国国民の常識を表しているとみていいだろう。
こんな民意を受けた以上、韓国政府は回答しないといけなくなったのだけど、本当に検査キットを「独島」にするのだろうか？
検査キットの名称は「独島」で、パッケージデザインは「平和の少女像」になったりして。

くり返し書くけど、こういう価値観や考え方は日本人にはない。

「日本が新型コロナウイルスを克服したことを世界各国では模範事例として認識している。診断キットが竹島という名称で輸出されれば、竹島のステータスを大きく高めることができる」という主張をする人間がいたら、「恥ずかしいからヤメレ」と思う人が多いだろう。
少なくとも３日で（人口比でいえば）50万人が賛同の署名をすることは考えられない。

個人的に日本人らしいと思ったのは、中国に支援物資を送った時に応援メッセージとして漢詩を添えたことだ。
例えばある物資の段ボール箱には、「山川異域　風月同天」（住んでいる場所は違っても、風や月は同じでひとつの空の下でつながっている）という漢詩があって中国側を感動させた。
「漢詩で応援」というのが何度もあって、中国外務省が公式に感謝のことばを述べている。これはきわめて異例。

くわしいことはこの記事を。

日本と中国の関係を考える：友好ではなくて共益・友情より信頼

竹島は日本固有の領土だと思っているけど、人道支援を利用して他国にそれをアピールしなくていい。

こんな動きがある一方で、首相は経済危機にそなえて日本と通貨スワップ協定を結びたいと考えている。
朝鮮日報（2020/03/27）

丁世均首相「韓日通貨スワップ、やるのが正しいと考える」

これまた韓国らしいアイデアだけど、日韓はやっぱり近くて遠い。

おまけ

2012年に行われたロンドンオリンピックでのサッカー日韓戦で、日本に勝利したあと朴鍾佑（パク・チョンウ）選手がピッチ上で「独島はわれわれの領土（독도는 우리 땅）」という政治的メッセージを掲げて問題になった。
国際オリンピック委員会理事会はこれを韓国の問題ととらえ、朴選手だけではなくて韓国オリンピック委員会に『強い警告（strong warnings）』をした上で、韓国選手にオリンピック精神を周知徹底することを要請する。