古代日本にあったクニ・邪馬台国。
その漢字を見てある台湾人がこう怒った。
「邪馬台国の邪馬の字は本当に相手を下見する文字です。なぜ日本人は平気に使うのか。自分の祖先を侮辱する気でしょうか。」
邪馬台国だけではなくて、女王「卑弥呼」にも相手を蔑視する言葉がふくまれている。
これは、古代中国人が持っていた中華思想の考え方によるものだと以前、この記事で書いた。
「abc」や「あいうえお」といった表音文字と違って表意文字の漢字にはそれぞれ意味があるから、「邪馬」に「卑」に違和感や不快感を持つ人も出てくる。
それで漢字だと、金と軍事力があるけど自己中で世界に迷惑をかける国を「邪魔大国」と表現することもできるのだ。
さて上の記事に対して、ただいま絶賛日本語勉強中の中国人からこんなコメントをもらった。
「数月前、Netflixのオリジナル韓国ドラマ “ Kingdom”、似たような「誤解」もあった!
元々、Kingdomの中国語タイトルは「李屍朝鮮」と言う名前。
その中に、朝鮮は古い韓国の名前、ゾンビドラマだから「屍」が死体の意味て使う
でも韓国の方は、これは韓国への侮辱行為を思われた。」
「李屍朝鮮」ってそれはひどいな。
*ここで確認しておきたいのだけど、このKingdomとは朝鮮王朝時代を舞台にした韓流ドラマ「キングダム」のことで日本のアニメとは関係ない。
李氏朝鮮(りしちょうせん)といえば、かつて朝鮮半島にあった(1392年~1897年:大韓帝国としては1910年まで)国で、日本との交流もあったから中学校や高校世界史でならった人もいるはず。
そして「屍」(し・しかばね・かばね)という漢字は、死体や屍骸 (しがい) という意味だから、とても不吉で演技の悪い。
これが表意文字の特徴で、漢字は感じを表すことができる。
ちなみに現在の韓国では「李氏朝鮮」という言い方でさえ、侮辱的としてふつうは使わない。
大韓民国では、「李氏朝鮮」「李朝」と言う名称は植民地史観に基づくものとされるため、国内では一般的に使用されていない。
それなのに李氏朝鮮を「李屍朝鮮」と書かれたら、韓国人なら激おこぷんぷんも必至。
と思ってこのタイトルを付けた中国人の感覚を疑ったのだけど、くわしく知ると意外といいネーミンセンスだった。
まずはこのドラマのPVを見てほしい。
これは朝鮮王朝時代を舞台にした人間 vs ゾンビの戦いを描いたドラマだから、真面目な時代劇ではなくて、言ってみれば「時代劇ホラー」になる。
時代背景が李氏朝鮮で、内容はゾンビものだから「李屍朝鮮」は言い得て妙。
漢字四文字にドラマのすべての要素をふくめたネーミングは「さすが中国人!」(台湾人かも)と感心させられた。
のだけど、Netflixの韓流ドラマで「李屍朝鮮」はまずかった。
韓国では「これは韓国への侮辱行為を思われた」ということになってクレームが上がり、このタイトルは変更されることとなった。
個人的には「邪馬台国」や「卑弥呼」なら2千年近く前のことだから今さらどうでもいいけど、江戸時代を「穢土時代」と表現されたら「おいコラマテ」と思う。
だから「李屍朝鮮」は絶妙だけど、韓国人的にはNGというのも分かる。
これからどんなタイトルになるか分からないけど「Kingdom」なら退屈すぎるし、「李屍朝鮮」の正確さやインパクトを超えるものは無理だろう。
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