日本人と韓国人との間ですっかり有名になったこの慰安婦像。
韓国では「平和の少女像」と呼ばれているのだけど、最近はこの像の前で争いが絶えない。
中央日報の記事(2020.06.03)
今度は少女像前「集会申告」で対立…保守・進歩の激戦場になった水曜集会
韓国の世論はけっしてひとつではなくて、慰安婦像を設置した「反日的」な正義連(日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯)に反対する、反日銅像真実糾明共同対策委員会という市民団体などがあっていま激戦となっている。
それにしても韓国国内で「反日銅像」という呼び方があるとは。
*以下、韓国での呼称「少女像」を使う。
この少女像は2011年にソウルの日本大使館前に建てられたのが始まりで、像の制作者であるキム・ウンソン、キム・ソギョン夫妻は像に込めた思いをこう語る。
「日本は従軍慰安婦問題で謝罪しないだけでなく、事実があったことさえ認めない。史実を隠蔽し、歪曲し続けている」
「日本政府が心から謝罪し、反省しない限り、いつでもどこでも少女像を作る。違った姿の少女像をいろいろ考えている」
「少女像は数十年間胸の中に隠していた恨みを取り出して、日本の蛮行を責める慰安婦被害者の勇気を尊重するという意味で作った」
これらの言葉をよく覚えてほしい。
こんな思いで作られた像には、細部にいろいろな意味が込められている。
たとえば少女が椅子に座っているのは、「日本政府の反省と悔い改め、法的賠償を待っている」という。
肩にとまっている小鳥は「平和と自由の象徴」で、はだしの足は「険しかった人生」をあらわす。
さらに、ぎゅっと固く握りしめられたこぶしは「像の設置を妨害しようとする日本政府に備えて」のことだとか。
くわしいことはこの記事をどうぞ。
「日本政府が心から謝罪し、反省しない限り、いつでもどこでも作る」というこの少女像、握ったこぶしは日本政府による妨害を許さないという強い意思のあらわれだけど、像の設置を妨害したのは実際には製作者だった。
彼らが要求する高額の著作権がネックになっている。
首都ソウルにある高校の敷地で、2013年に少女像が設置された。
でもこれは韓国でよくある上の少女像とは、髪型や頭の向きなどが違っている。
というのは、はじめは一般的な少女像を制作したものの、像が完成して除幕式まであと1週間となったときに、像の制作者が学校へ電話をかけてきた。
朝鮮日報の記事(2020/06/03)
「著作権侵害なので設置してはならない」という話だった。当時瑞草高校の校長だったイ・デヨンさんは「教育目的で使うのに著作権を主張するケースはほとんどないので当惑した」と話す。
校庭に少女像設置しようとしたら…正義連理事が著作権を盾に阻止
韓国の常識でも、これで著作権を請求することは普通はあり得ない。
学校側は「圧力に耐えられず」、600万ウォン(約54万円)かけて作ったこの像を廃棄。
イさんは、「金運成氏の少女像はあまりにも高価で、学校の財政的には無理だった」と無念そうに語る。
結局、学校は像の製作費600万ウォンを無駄にされて、別の少女像をつくって校内に設置した。
このとき生徒が描いた図案は国内の他の高校でも使われている。もちろん著作権なしで。
でも像の制作者にしてみれば、この高校の生徒や教師の考え方が甘い。
記事によるとキム夫妻は少女像1体につき3300万ウォン(約300万円)を受け取っといて、もう3億円近くを手にしている。
旧日本大使館前に設置したのと同じ高さ1.3メートルの「平和の少女像」を95体販売し、少なくとも31億ウォン(約2億7700万円)の売り上げがあったと推定されている。その費用は少女像を設置した地域の住民の寄付により負担された。
このほかにも高さ10~50センチメートルの少女像1万体近くを販売し、「2カ月間で9003人が小さな少女像を合計2億6652万ウォン(約2400万円)で買った」という。
さらに客様のニーズに応えてキム夫妻は、高さ30センチメートルの少女像(約4万5000円)と40センチメートルの像(約5万4000円)を何体も売って1000万円以上をゲット。
こんなにオイシイものを無料で他人にゆずるはずがない。
キム夫妻は太白市に設置された少女像についても、著作権法違反を理由に廃棄処分を迫った。
「慰安婦被害者の勇気を尊重するという意味で作った」という像でも、著作権を払わなかったら容赦なく破棄させる。
そんなキム夫妻に対していま韓国社会の風当たりは厳しそうだ。
朝鮮日報のコラム「萬物相」(2020/05/30)
元祖の製作者が著作権訴訟を予告し、類似した作品を作った人に対し、「犯罪行為だ」と指摘したことには戸惑いを感じた人が少なくないようだ。少女像を特定の製作者がほぼ独占製作し、著作権争いまで繰り広げることには苦々しい思いだ。
少女像の著作権
きょねん愛知県が開催した「あいちトリエンナーレ2019」では、彼らが制作した少女像も展示された。
でも、他の展示物もふくめて批判の声が上がり、このイベントは一度中止になったことで、制作者のキム氏はこう怒る。
共同通信の記事(2019/8/3)
少女像を展示することで日本の市民らの理解を深めたかったと趣旨を説明し「日本の政治家たちは真実を知らせたくないのだろう」と述べた。
日本が表現の不自由宣言 韓国の少女像制作者が反発
でも他人には高額の著作権を要求して、払わなかったら像の廃棄を迫る。
たとえそれが高校生のしたことでも。
像の設置を妨害しようとする日本政府に備えて、少女像はこぶしを固く握りしめているというけど、実際に妨害していたのは制作者の金への執着心だった。
3億でもまだ足りないのか。
これは氷山の一角で、韓国には慰安婦問題を絶対に終わらせたくない人がたくさんいる。
だからこの問題は終わらない。
こちらの記事もどうぞ。
秩父市、韓国への職員派遣を中止。原因は慰安婦像?ネット右翼?
>太白市に設置された少女像についても、著作権法違反を理由に廃棄処分を迫った。
この箇所だけフォントが違って小さく表示されます。何か意味があるのですか?
>3億でもまだ足りないのか。
あははー、少女像(?)の著作権をいくらで販売するかについては、それは作成者の自由でしょう。
その価格に見合うと考えられる設置だったらやればいいし、予算的に手当できないなら諦めるしか他にない。勝手にやらせておきなさいよ。
著作者が著作権を主唱するのであれば、教育目的だろうが反日政治活動目的であろうが何であろうが、とりあえず支払うべきです。不満があるなら裁判等の法的手続きを経て撤回させるべし。それが法治国家のあり方です。
フォントについてはミスでした。
ご指摘ありがとうございます。
韓国人の校長の常識から考えてもおかしいというのは、やっぱり夫婦の金銭感覚はおかしいのだと思いますよ。