注意一秒、ケガ一生。
口は禍(わざわい)の元。
今回はそんな話。
いまの時代、誰かを侮辱したり差別するような言葉を言ったり書いたら、大きな社会的ペナルティーを負わされる。
表現について特に中立・公平、慎重さや正確さが求められるのはメディアで、日本なら何と言っても公共放送のNHKだろう。
舌禍厳禁。不適切な言葉を使って、社会問題となる事態だけは絶対に避けないといけないから、NHKでは使われる言葉が超厳選される。
そんなNHKの国際ニュース番組『これでわかった!世界のいま』がこんな動画を投稿。
*話はそれるけど、この「ヨーソロー」について。
ラブライバーなら渡辺曜が頭に浮かぶはずだけど、これは「そのまま前へ進め」という航海用語。(渡辺曜の父親は船乗りという設定)
これは「宜しく候(よろしくそうろう)」が変化したもので、まーくわしいことはここで確認されたし。
さて、この番組はアメリカの人種差別について説明する内容だったのだけど、白いタンクトップを着てマッチョな黒人キャラがまずかった。
これを見た人からは、「こんな動画広めていいの?」「偏見を助長する」といった批判が殺到。
さらに駐日アメリカ臨時代理大使が「動画作成の際、さらに深い考察と注意が払われなかったことを残念に思う。採用されたアニメは侮辱的」と抗議ツイートをしたからもう万事休す。
ブルームバーグやガーディアンといった海外のマスメディアも、「侮辱的で無神経」と反応を示したことで番組側も完全平伏。
NHKは上の動画を削除した上で、「掲載にあたっての配慮が欠け、不快な思いをされた方にお詫びいたします」と謝罪した。
毎日新聞の記事(6/11)
NHK前田会長 米抗議デモ動画の黒人描写に「おわびしたい」 局全体に注意喚起
この動画について学者らがNHKに送った要望書では、黒人が「過度に筋肉質な外見で、乱暴で粗野な言葉づかいが強調された男性」というステレオタイプで描かれていることを問題視している。
アメリカの白人と黒人の格差を取り上げた番組で、差別や偏見をあおるような表現をしたら取り返しがつかない。
舌禍厳禁。
これにネットの反応は?
・デリケートな問題なのに最近のNHKは攻めてるな
・この番組はいつもこんな感じなのに今回はダメなのか
・白黒黄色ヒスパニックと老若男女を混ぜて差別と暴力反対のデモしてる風のアニメなら問題なかったんだろう
・それが正しい政治的態度かどうかだけ
別に言ってることは間違っててもよい
欧米ってこんなんばっかだぞ今
・漫画で黒人を描くときにどう描けばいいんだろう?
このNHKの対応は過剰過ぎるとおもわれ
・すぐ対応しないとネットで騒ぎがどんどん大きくなったりするからね
特定の国や人種・民族について、「この人たちはこういう人間だ」という一方的なステレオタイプのイメージに当てはめるのは差別や偏見のモトとなる。
たとえば海外のメディアで、日本人を「メガネをかけて出っ歯で下駄をはいている」という表現をしたらいまの時代、一発レッドカードで削除&謝罪はまず不可避。
これは別の記事で書くつもりだけど、1950年代の映画『ティファニーで朝食を』で日本人男性(ユニオシ)をこんな風に表現したことで、差別的だと猛批判を受けた。
1993年には『ロサンゼルス・デイリーニュース』も「攻撃的なステレオタイプであり、侮辱と傷をもたらした」と批判するなど、映画版ユニオシへの批判が相次ぐ。
日本に住んでいた知人のアメリカ人がハロウィン用のアイテムを探しに、ディスカウントストアの店内を歩いていたら、白人に変身するためのプラスチック製の付け鼻を見つけてビックリ。
明確な人種差別なのに、日本人がまるで気づいていないことにがく然としたと言う。
このへんの感覚がないと、ユニオシを見ても何も感じないかもしれない。
日本人の中では白人について、「金髪で青い目をしていて高い鼻がある」というステレオタイプのイメージがあるけど、それを商品化したら差別でアウト。
過去に日本を代表する有名企業それをCMで使って批判を浴びた。
今回はNHKでさえ失敗してしまったのだから、ステレオタイプのイメージには要注意だ。
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