日本と中国&台湾の漢字の違い:妻は愛人で新妻は老婆

 

日本語を学ぶ外国人の前に立ちはだかる巨大な壁、それは漢字。

きょうも日本語を学ぶ外国人が集まるグループには、こんなメッセージをが寄せられていた。

 

 

漢字を覚える最も効率的な方法を教えてくれ!

返信を見ると、

・Breaking down the kanji and learn the radical

・Learn how to write them and learn Kanjis from sentences to understand its usage and meaning.

漢字を分解して部首を学べ!という人がいれば、漢字の書き方を学び、文脈から使い方や意味を理解しろとアドバイスする人もいる。
とにかく外国人は漢字に苦労しているのだ。

 

でも中国人や台湾人、香港人といった漢字の民なら、日本語を学ぶ時点で大抵の漢字はマスターしているから、こんなことに頭を悩まされることはほとんどない。

 

 

中国人や台湾人、または中国語を学ぶ日本人が気を付けないといけないのは、同じ漢字でも意味がまたく違うケースがあることだ。

互いが互いの言葉について知ると、「なんでこの漢字がそんな意味になるんだ?」とビックリすることがあって、文化の違いを感じて面白い。

これからその例を2つ紹介しようと思う。

 

〇愛人

日本語で愛人といえば結婚している男性の不倫や浮気相手のことだから、この言葉には罪深いニュアンスがある。
だから「わたしには愛人がいる」なんてセリフはまず他人には言えない。
でも、中国語なら大丈夫。

白水社の中国語辞典では「愛人」についてこんな説明がある。

「(自分の夫または妻のことを他人に言う場合)主人,家内,(相手の夫または妻のことを言う場合)ご主人,奥さん」

つまり愛人とは夫や妻のことだから、我的爱人で「私の妻(夫)」という意味になって、第三者に「わたしには愛人がいる」と言っても特に問題も波乱も起こらない。

だから、「これはわたしの愛人です」と言われたとしても、日本語と中国語では天地の違いあるのだ。
でも「愛する人」だから、文字通り解釈すれば中国語の方が正しいのかも。
逆になんで日本語では、愛人が「不倫相手」の意味になったのか分からない。

ちなみに「恋人」は中国語で「情人」で、バレンタインデーは「情人節(节)」になる。
個人的には「情人」という言葉にも、浮気相手のような背徳のにおいがする。

 

〇老婆

日本語でおばあさんを表すこの言葉は、白水社の中国語辞典には「妻,女房,かみさん」とある。
中国語で「老婆」というと先ほどの愛人、つまり「妻」という意味になるのだ。
だから20代の新婚さんでも、夫にとって新妻は老婆になる。

日本だと夫が妻をそう呼んだら、顔面をグーで殴られても仕方ないけど、ある台湾人はネット上で「台湾の女の子は自分のダンナに「老婆」と呼ばれないと、逆に違和感を覚えるかもしれませんね」とコメントしていた。
日本人の漢字感覚すると、これこそ違和感ありまくり。

木村拓哉さんと工藤静香さんが結婚したとき、台湾メディアが「木村拓哉老婆工藤靜香」という見出しを付けていたのを見て、現地の日本人が驚いたという話を聞いたことがある。「老婆=新妻」を知らないと何の話はまったく見当がつかない。

ちなみに中国本土は知らないけど、台湾では妻のことを「太太」とも言う。
ラブラブならいいけどこれだと「デブデブ」みたいで、日本人の妻が夫にこう呼ばれたらやっぱりグーパンチは必然。

日本と中国では価値観や文化が違うから、同じ漢字でもどこか違って面白い。

 

最後に、漢字の効率的な覚え方を教えてくれ!という呼びかけに、ある外国人がこんな返信をしていた。

Write write write today and tomorrow day after too, after read that every day, if i forget or couldn’t read… I write again

今日も明日もひたすら書くべし、書くべし、書くべし。もし忘れたり、読めなかった漢字があったら、また書いて覚える。

日本人・中国人・台湾人にはこういう努力がほとんどいらない。

 

 

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1 個のコメント

  • >日本語で愛人といえば結婚している男性の不倫や浮気相手のことだから、この言葉には罪深いニュアンスがある。

    日本語の「愛人」に少々良からぬ意味があるのは、仏教の影響もあるのでしょうね。もともと、日本語の「愛」とは「愛着」とか「執着」とかに近い言葉で、全てのことに執着しない「無の境地」を理想とする仏教においては、あまり良い言葉ではなかったのです。
    しかしながら、明治時代になって、キリスト教の「アガペー(=無償の愛)」とか、欧米文化の「エロス(=愛欲)」をすべて「愛」という漢字に翻訳してしまったために、日本語における「愛」という言葉に混乱が生じたのです。
    日本人は一度立ち止まって考えるべきです。あなたの言っているその「愛」とは、誰を対象にしているのですか?

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。