5円玉の“意味”。日本の軍国主義の終わりと民主主義の始まり

 

きょう7月19日は「戦後民主主義到来の日」だっ。

1949年のこの日、新しい民主主義の到来をテーマにした青春映画『青い山脈』が上映されたことから、「戦後民主主義到来の日」になったという。
まー無理やり感がないわけでもない。

さて、いま日本人の身近にあるものの中で、「民主主義の到来」を感じさせるものには何があるだろう?

それはやっぱりコレですね。

 

 

毎日のように使っている五円玉をよ~く見ると、戦後民主主義の到来というか、民主主義への「期待」を感じることができるのだ。

この硬貨が発行されたのは太平洋戦争が終わった年(1945年)の3年後、1948年(昭和23年)のこと。
当時の日本はまだ敗戦国で米軍の占領下にあり、新しく始まるいろいろなものごとは戦争の影響を受けていた。
5円硬貨もそのひとつ。

 

すこし脱線しちゃうけど、この時代の日本では公の場で君が代を歌ったり、国旗を掲揚することがアメリカによって禁止されていた。
それで5円玉が登場した昭和23年にはこんな出来事がおこる。

6月に制限令を知らずに横浜で国旗を掲揚した男性が、アメリカ軍軍事法廷で重労働6か月の判決を受けるなどの判例がある

占領下の日本

これは戦後直後の日本の立場をよく象徴している。

 

 

日の丸の使用が禁止されていたから、日本の商船はこんな旗を掲げていた。

いったいどこのフィリピンですか?

 

 

話を5円玉に戻そう。

5円玉に描かれた稲穂のデザインの意味は分かりやすい。
古来からお米を食べて生きてきた日本人は稲作とは切っても切れない関係で、特に神道で稲は重要視されている。
それで神社で使うお金を「初穂料」と言う。

 

くわしいことはこの記事を。

日本にいる外国人の疑問「神社の“初穂料”ってなんだ?」

 

5円玉のこの稲穂は、日本の主要産業である農業を象徴しているのだ。
「五円」の文字のまわりのいくつもの線は水、つまり水産業のことで、真ん中の歯車は工業をあらわす。

 

 

戦後直後の日本は世界最貧国のひとつで、食べ物がなくて苦しい思いをしていた人も多くいた。
だからこの5円玉のデザインにはこれからの日本が豊かな食べ物に恵まれて、水産業や工業でも成功するようにという願いがあったのだろう。
当時の日本はまさにその正反対。

では、裏面の左右にある双葉は何のシンボルか?

 

この双葉は、新しく民主国家となった日本そのものをあらわすと言われる。
軍国主義を抜け出して、民主主義に向かって伸びていくこれからの日本をこの小さな双葉に重ねたのだ。

「青い山脈」も悪くないけど、5円玉のデザインこそ戦後民主主義のシンボルにふさわしい。
この硬貨には豊かな農産物や水産物に恵まれることや工業で成功するなど、君が代・日の丸が禁止されていた時代の人たちの、これからの日本へのいろんな期待が込められている。

参照:造幣局ホームページ「貨幣のデザイン

 

5円玉が金色なのは、旧日本軍が使っていた銃の薬莢などのスクラップ(黄銅)を再利用して作られたから。

 

薬莢

 

1円玉の若木のデザインは伸のびゆく日本を象徴している。
ちなみにこの若木は実在しない架空のもの。

 

最後にお得情報

財布の中に下の五円玉が入ってないか確認してみよう。

 

 

ゴシック体の5円玉と違って、かい書体のこの5円玉は筆で書いたように見えることから「フデ五」と呼ばれている。
「国」が「國」になっているところも違う。
発行枚数が少ない昭和32年の「フデ五」の五円玉は高く買ってもらえる可能性がある。

フデ五は、ギザ十ほどの知名度はないものの、その識別の容易さから従来コイン収集の対象とされてきた。

フデ五

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。