10年以上前、中国やタイを旅行中に経験したこと。
宿で飲み食いするものを買おうとスーパーに入ったら、「いや待て」と入り口で警備員に止められた。
その理由は背中のバッグで、このスーパーでは万引き防止策として、バッグやカバンを持って入ることを禁止していたからだ。
でも日本でそんな経験は一切なかったし、相手は英語を話せないから(me too)、その理由とバッグを預けるシステムを理解するのにやや時間がかかった。
「お客さまは神さまです」と日本でチヤホヤされていた自分としては、はじめから客を疑ってかかるスタイルに多少イラっときたけど、宿にいた日本人旅行者に聞いても「そりゃここじゃ仕方ないですよー。じっさい万引きする人が多いですから。自衛しなかったら店はつぶれちゃいます」という意見で全員一致。
万引きを前提にした対応には腹が立ったけど、「日本人のモラルと比べちゃダメですよ」と言われると、そこはかない優越感を感じて、「まっ、まあそれなら仕方ないですね」とかぐや様のようなことを思ってしまった。
そして時代と国が変わって話は現在の日本。
地球環境にやさしい国になるため、全国でレジ袋の有料化がはじまり、マイバッグを持って買い物をする人が増えた。
これまで無料だったビニール袋にお金を払う時代になって、トラブルはおこるだろうと思っていたけどこれは想定外。
BIGLOBEニュース(7月29日)
レジ袋有料化で万引き急増 古本屋が苦肉の策「エコバッグは必ずレジに預けて」
まじかっ。
有料化がはじまってから約1か月の間、「エコバッグ万引き」が急増したため、茨城県にある古本屋は客のバッグをレジで預かるシステムを採用したという。
在庫確認をすると数が大幅に合わないし、高額商品が特に多く消えていることから、店は「何か対策しないといけない」と考えてこの制度の導入をきめた。
万引きが原因となってつぶれるのは古本屋だけじゃないし、「エコバッグ万引き」は他の店でもきっとおきている。
と思ってネットを見てみたら、日テレニュース24の報道を発見。(7/29)
ここでも客のモラル崩壊に、スーパーの店主が頭を抱えていた。
袋有料化で増加“エコバッグ万引き”店悲鳴
BIGLOBEニュースの記事で店側は、「個人のモラルの問題で、できればやめてほしい」と言うけど、万引き魔の良心や善意に訴えかけるとかもう絶望しかない。
さてこのニュースにネットの反応は?
・マイバッグ禁止早よ
・まさに本末転倒w
・防犯カメラあっても、現行犯じゃなきゃ私人逮捕は出来ないからな。
・ホームセンターの店員さんが嘆いてたぞwマイバック持って店内うろついてるやつすべてが犯罪者に見えちまうってさw
・結局万引き損害額は商品代金にonして一般客に負担させるだろうからもう悪循環だね
・何年か前にスーパーがマイバッグ推進したら万引き急増して慌ててやめた経緯知らないのかね
「エコバッグ万引き」という言葉も現象も、ボクには衝撃的だったけど、ネット民は「だよね」と当たり前のように受け止めている人がほとんどだ。
これはこれでビックリなんですけど。
どうやら、日本人の「民度」を過大評価していたらしい。
これからの日本でも、以前タイや中国で経験したことが行われるかもしれない。
万引き前提のシステムにはガッカリすること山のごとしだけど、でもいまの日本は、そうでもしないと店を守れない国になりつつある。
この人は明治の日本にやって来たアメリカ人のモース(1838年 – 1925年)。
東大の教授をしていて大森貝塚を発掘したことでも有名だ。
くわしいことはここをクリック。
このアメリカ人は、日本では家にカギや錠(じょう)、閂(かんぬき)も必要なく、人びとの相互信頼によって社会が成り立っていることに目を見張る。
日本人が正直であることの最もよい実証は、三千万人の国民の住家に錠も鍵も閂も戸鈕も―― いや、錠をかける可き戸すらも無いことである。
「日本その日その日 (モース エドワード・シルヴェスター)」
まだ梅雨明けしない日本に思う。
「降る雨や、明治と民度は遠くになりにけり」
一応、元ネタは中村草田男だ。
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